我慢エコはもうやめた コクヨのオフィス提案とは御社のオフィス見せてください

エコの取り組みが“面倒”、何かを“我慢する”というイメージが強い。「質素なことを我慢するだけがエコではない」を提唱するコクヨオフィスシステムのオフィスを見学してきた。

» 2009年09月02日 20時00分 公開
[塙恵子,Business Media 誠]
photo コクヨオフィスシステムのエントランス。水のゆらぎ、光、風、緑をイメージしている

 今や「エコ」はさまざまなところに存在する。オフィスでエコを強化している企業も多いだろう。しかし取り組みが“面倒”、何かを“我慢する”というイメージが強い。「質素なことを我慢するだけがエコではない」を提唱する、コクヨオフィスシステム(KOS)の霞が関オフィスを訪ねてみた。


人の行動そのものがスイッチになる照明

 KOSによれば、企業のCO2の排出量の約4割が“照明”によるもの。照明負荷をいかに軽減するかが課題だ。しかしテナントオフィスビルの場合、照明の改修は容易ではない。「配電盤も変えるなど大々的な改修は、なかなか費用の回収のめどが立たない」という。そこで提案するのが、既存の天井照明を利用しない照明システムだ。

 KOSでは、人感センサー付きの照明システム「センサーライティングスタンド」を提案。人の動きを感知し、スイッチをオン/オフする。「照明の切り忘れに敏感になることもない。人の行動そのものがスイッチになる」(ソリューション本部の新井臨さん)

 ちなみにセンサーライティングスタンドには、あえて蛍光灯を採用したそうだ。「LEDを導入するのは費用がかかり、まだまだハードルが高い。この照明システムは完成型ではありません。しかし1つの形として提案してみたい」(新井さん)

 また内勤用のデスクにはPC上のインタフェースから自在に照度や色温度を変更する「インテリジェントワークライティング」(知的照明)を導入。就業時は高輝度にしたり、ランチタイムには照明はくつろぎモードの色味に変更も可能になった。

photophoto (左)センサーライティングスタンド。デスクも可動式で、床の立ち上げ線はない。KOSが独自に開発した、バッテリー内蔵の「バッテリーシェアードデスク」を設置し、ワーカーが使用するPC電源配線などが不要だ。人員変更などでコストをかけることがない。(右)インテリジェントワークライティングで照度を変更

座席割り当てはチーム単位での予約も

 仕事に集中できるのはせいぜい2時間――KOSでは2008年から同じ席には2時間までしか座れない、フリーアドレス制オフィス向けの座席割り当てシステム「OfficeDARTS」を導入している。人がばらばらになり、照明の無駄なコストが発生しがちなフリーアドレス制だが、OfficeDARTSなら自動で人を集中的に配置でき、電気代も抑えられる。

 そのOfficeDARTSがOfficeDARTS IIにバージョンアップ。これまで座席割り当ては「ソロワーク」に限定していたが、「チームワーク」というプロジェクト単位での座席の割り当てにも対応した。

 「フリーアドレス制というのは基本はソロワークだが、どうしても仲がいい人同士で集まってしまう傾向があり、逆にコミュニケーションの活性化のさまたげになることもある。また、わざわざミーティングスペースの予約をしなければならないという手間もなくなる」(KOS)。バージョンアップによって、ソロワークだけでなくチーム内のコミュニケーションや生産性向上を図れるようになったというわけだ。

photo 執務室の入り口にOfficeDARTS IIを設置。社員の属性(嗜好性や年代など)の選択画面が日によって変わる。属性によって席の割り当ても決まる
photo オフィスの中央にもOfficeDARTS IIを設置し、最大2時間の仕事が終わったあと、新たな席の予約や休憩をするスペース。プロジェクトの進捗を把握できる「プロジェクトウィンドウ」など“見える化”のスペースとしても活用している
photo 11月1日に発売する円形テーブル「WORKLINK」。天板面を円形テーブルをほぼ等角度に分割する着脱可能なスクリーン(仕切り板)を取り付けて、扇状の個人席を複数設定できる。長方形のデスクに比べて1人当たりのデスク占有面積を最大40%削減できるという

photo 会議室「パノラマ」。全壁面にホワイトボードを設置。時間軸で区切った発想もできる
photo 30分で会議の結果を出す「グリッド」
photo 目的別会議空間や音声認識テキスト変換入力を利用した打ち合わせ空間も導入。書きたい人は書き、しゃべりたい人はしゃべる。音声認識して資料を。行動にしばられない資料づくりが可能に

企業の固定観念を壊すオフィスの提案

 KOSの霞が関ライブオフィスは、2007年からオフィス構築のテーマを「RESONANCE FIELD」としている。3年目の今年は3.0にバージョンアップした。

 今回は「Crash the RULE(クラッシュ・ザ・ルール)」と題し、オフィス運用や企業の固定観念を壊し、新たな発見や気づきを取り入れたワークスタイルを提案するという。

 Crash the RULEは、利便性を上げれば生産性が向上するという「生産性向上の常識」、個人のパフォーマンスを追求すれば成果が上がるという「成果主義の常識」、効率化や管理の視点だけの「見える化の常識」、テナントビルでのエコ対応は無理という「執務環境の常識」を壊すというものだ。

 コクヨの黒田章裕社長はRESONANCE FIELD 3.0で「企業のルールを変え、新しく道を切り開く、応援できるオフィスを提案できればと思う。働く場の価値を生み出し、そして価値を増強するようなオフィスの提案をしたい」と話す。

 RESONANCE FIELD 3.0は「KOS Fair」として9月3日、4日の2日間、一般公開する。RESONANCEとは、鳴り響く、響き渡る、共鳴するという意味。固定観念を壊すというコクヨのオフィスで不協和音が鳴り響くのか、それとも生産性を向上させるのか、この機会に確かめてみてはいかがだろうか。

photo エナジーピット。夏の暑い時期は「クールダウンルーム」となり、ポットクーラーで冷却することで、外出モードから執務モードへすばやく気持ちを切り替える
photo オフィスの一角に菜園スペース「ベジガーデン」を設置。都心で自然や季節や1日の変化を感じる。8月には夏野菜収穫祭が行われ、社員で収穫した野菜をチーズフォンデュで食べたそうだ
photo 超エコルーム。自然光で照度を確保。蓄電式のソーラーパネルで昼に充電し、夜に点灯するタスクライトを採用

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