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» 2009年11月02日 14時25分 UPDATE

最強フレームワーカーへの道:ビジネスパーソンのための“寝技”講座

寝ることは人間の生活の中で最も大事なこと。日中に集中力を高めて成果を出さなければならないビジネスパーソンにとって、睡眠がコントロールできるかどうかは最重要課題なのだ。

[永田豊志,Business Media 誠]

 睡眠に対する考え方や習慣はかなり個人差がある。

 例えば、不眠症は年々増えており、4人に1人が睡眠が足りないというリポートが出ているという。最近では、韓国で睡眠障害の患者が4.5倍に増加したというショッキングなニュースも流れた。その一方で、週末に「寝貯め」と称して昼まで爆睡する人もいる。どこにいても誰といても、すぐに寝れる人もいる。睡眠は個人差が大きいのである。

 しかし言うまでもなく、寝ることは人間の生活の中で最も大事なことだ。しかも日中に集中力を高めて成果を出さなければならないビジネスパーソンにとっては、睡眠を自分の味方につけ、しっかりコントロールできるかどうかは、最重要課題だ。変な意味ではない、ビジネスのための「寝技」を身につけ、効率的に仕事をすすめられるようにしたいものだ。

睡眠時間はどのくらい圧縮可能か?

 忙しいビジネスマンが健康をキープしながら、睡眠時間をどこまで削れるのか。睡眠時間を記録するWebサイト「ねむろぐ」が行ったアンケート調査によれば、私と同じIT関係の人の平均睡眠時間は「6.26時間」だったという。ちなみに睡眠時間が6時間を切ると業務上の判断ミスが発生しやすいという報告もある。そういった意味では、現在のナレッジワーカーの睡眠時間はギリギリセーフと言えるだろう。

st_nagata01.jpg 睡眠時間を記録するWebサイト「ねむろぐ」によるアンケート調査

 一方、3時間、4時間といった“短眠”を推奨する本もちらほら出回っている。健康に影響が及ばないのは4.5時間までという説もある。もちろん、睡眠は個人差があるので一概に否定もできないが、基本的には6時間を切るのは好ましくない。

 なぜなら、私たちの体は寝ている間に約60兆個ある細胞のうち、1兆個程度が再生している。これは「リモデリング」というらしいが、これが睡眠時間内にきちんと行われないと、体調が悪くなったり、老化が進んだりするのだ。理想的な時間割を組む場合は、かならず6時間以上の睡眠を確保できるようなスケジューリングが大事だ。

 ところで、いつ寝ても6時間あればOKかというと、そうでもないらしい。それは就寝と起床には体のリズムに合わせた「ゴールデンタイム」というものがあるからだ。体内のグリコーゲンがエネルギーに変わる時間や、25時間周期で回っている人間の体をリセットするには朝10時までの太陽光が良い、とかいろんな理由があって、睡眠のコアタイムはどうやら「0〜6時」だそうだ。

 私自身は2〜8時という6時間睡眠派なので、理想的なコアタイムに比べてかなり「夜派」であることが分かる。これはいつの日か修正したいと思っているが……。

短時間に寝るコツ――永田家の場合

 私はかなり寝つきのいいほうらしい。逆に妻は不眠症タイプだ。なので、我が家ではいろいろと工夫している。不眠症、睡眠障害の人はぜひ、試してみてほしい。

 まず、スムーズに入眠するためには、体温と光が重要らしい。体温が下がると自然と眠くなる。そのため、寝る前に軽い運動(散歩やストレッチ)やぬるい風呂に入るのは非常に入眠効果が高い。ただし、激しい運動や熱いお湯は交感神経を刺激して、逆に目が覚めるのでほどほどが大切だ。

 もう1つは光だ。朝、早朝の太陽光で体が目覚めることはよく知られているが、夜は逆に明るい光を浴びてはいけない。夜は夕食あたりから色温度の低い照明にし、暗めの部屋で過ごすのがベター。ゆめゆめ、寝る直前にコンビニの店内の灯りを浴びてはいけない。

 アルコールによる寝酒の効果はかなり個人差があるようだ。私自身は寝つき効果をさらに高めるような気がするが、逆に興奮作用で眠れないという人も多いようだ。また、飲みすぎると数時間後にアルコールの作用で体温が上がり、夜中に起きてしまうので注意が必要だ。あくまでたしなむ程度が大事なのだ!

レム睡眠とノンレム睡眠で何が起こっているか?

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 眠りに入るとレム睡眠とノンレム睡眠が交替しながら90分周期でめぐってくる。レム睡眠は眼球が動くということで知られているが、実際には神経が活発で眠りが浅く、夢を見たり、昼間見た情報を整理し、記憶に閉じ込める時間だ。眠りは浅いが体はしっかりと休んでいる時間だ。

 一方、ノンレム睡眠は4段階あって、一番深い眠りでは夢などは一切見ず、成長や美肌に重要なホルモンが分泌される時間だ。レム睡眠で活発だった脳がしっかり休養をとる時間と言える。

 朝に近づくと、ノンレム睡眠の深さはだんだん浅くなり、覚醒に近づく。ちょうど覚醒に近づいた時間に目覚まし時計をセットしておけば、気分よく目覚められるというわけだ。

朝の始動、昼食後の睡魔をどうするか?

 朝をスピーディに始動するためには、まず水分をとり、朝食をしっかり食べることだ。吸収がよく、エネルギーに変わりやすい糖分を朝取ると、脳が活性化し、仕事がはかどる。大昔、編集者だったころは夕食がいつも深夜になり、そのせいで朝は食欲がないからコーヒーだけ、という悪循環の生活を送っていた。しかし、朝食を取るためにも、夕食はなるべく早めに済ませることが重要となる。

 光も大事だ。目覚めには朝の太陽光を浴びるのが一番良いため、私は起きたら犬の散歩をすぐに行っているが、朝の散歩ができない人でも出勤前にベランダなどに出て、太陽光を浴びることをお勧めしたい。

 ちなみに「脳の働きは午前中がピークである」というのは多くの脳科学者も指摘している。午前中になるべくクリエイティブな仕事(戦略を練る、提案書を作る、アイデアを出す)をいれ、午後にミーティングや商談などを入れるように工夫したいものだ。

 ちなみに昼食を取ると眠くなるといわれるが、これは胃に血流が集中するからではなく、そういうリズムなのだとか。確かに、昼食後は眠くなるが、朝食後や夕食後はさほど眠気は起こらない。

 この昼間の眠気のピークは14時前後らしいので、眠くなったら、さっさと寝ることをお勧めしたい。眠いのを我慢しても集中力が低ければ無意味だからだ。昼食後に眠くなったら、15分間だけ仮眠する。これで随分スッキリするはずだ。私自身も、昼間は商談への移動が多いので、電車移動の5分や10分のすきま時間をしっかり昼寝に当てている(15分以上仮眠をとると、睡眠のレベルが深くなり覚醒に時間がかかるのでNG!)。

 人生は長い。頭も体も健康がそのベースとなる。睡眠を制する者は、人生をも制する――というのは、さほど言いすぎでもないと思う。読者はどう考えるだろうか?

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com


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