経営者への信頼感、賃金よりもモチベーションに影響――法政大学が産学連携共同研究

働くモチベーションが下がるのは「経営者や上司への信頼感をなくした時」――。法政大学とアイエヌジー生命保険は産学連携共同研究プロジェクト「中堅・中小企業の社員の勤労意欲を高める方策等に関する調査研究」の事例研究を書籍『なぜこの会社はモチベーションが高いのか』にまとめたと発表した。

» 2009年12月10日 13時41分 公開
[鷹木創,Business Media 誠]
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 法政大学とアイエヌジー生命保険は12月10日、産学連携共同研究プロジェクト「中堅・中小企業の社員の勤労意欲を高める方策等に関する調査研究」の事例研究を書籍『なぜこの会社はモチベーションが高いのか』にまとめたと発表した。

 4月〜12月にかけての調査を取りまとめたもので、製造業流通業、サービス業、建設業の約50社を訪問し、社長人事担当者にヒアリング。そのうち、モチベーションを高めるユニークな取り組みを行なっている企業15社の事例を紹介している。


坂本教授

 調査を実施した法政大学大学院の坂本光司教授(政策創造研究科)によると、今回の調査は2008年に実施したアンケート調査を受けてのものだという。「1年目のアンケート調査では見えにくい個別の事例を手分けして調査した。アイエヌジー生命保険からも有志の研究員が手伝い、法政大学の学生らと連係して50社程度の現地調査を実施している。書籍には地域や規模のバランスを考慮しつつ、役立ちそうな話を15社ほど取り上げた」(坂本教授)

 調査を通じてなぜ社員のモチベーションが下がるのかが分かったという。2008年のアンケート調査(サンプル数559件)で最も多かったのは、「経営者や上司への信頼感をなくした時」が63.3%と、「賃金や処遇に対する不満が生じた時」(50.6%)を押さえた。坂本教授は「モチベーションを上げるには、福利厚生や賃金などが重視されがちだが、経営陣や上司に対する信頼感の喪失が最大のポイントだ。リストラなどで同僚を失ってしまったことなどにより、不安感がモチベーションの喪失につながるのではないか」と説明した。

 「上司の背中と心に信頼感が宿る」と強調。「社員のモチベーションが高い企業ほど業績も高い。経営情報の公開や全社会議の実施など、当たり前のことを実施すべきだ」とコメントした。

 なお今回の産学連携について、アイエヌジー生命では「(当社は)中小企業を生命保険でサポートしている。中小企業の現状を研究する今回のプロジェクトに参画することで、中小企業の経営者に対して適切なアドバイスなどができるようになる」と述べた。

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