仕事の優先度が付けられない人へ――「時刻表示のないスケジューラ」のススメ(1/2 ページ)

ジャストシステムの「山積みスケジューラ」は、スケジューラなのに時刻表示ができない。だが、そこがポイントなのだ。万人向けではないが、ハマる人はハマる――そんなタスク管理ツールである。

» 2009年12月18日 18時00分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 スケジュールやタスクをどうやって管理するかというのは、ビジネスパーソンにとって永遠の課題だ。一般には、以下のようなやり方が望ましいとされている。

  • タスクには締め切り時間を設けよう
  • きちんと優先順位をつけよう
  • 長時間かかる大きなタスクは、短時間で済む小さなタスクに分解しよう

 ……分かっている。こうした手法が効果的だということは、分かってはいるのだ。しかし実際に習慣化するとなると、これがなかなか難しい。なぜか。

 将来の忙しさを見越してちょうどいい時期に締め切りを設定するのも、優先順位を決めたそばから新規タスクが割り込んでくるのも、タスク分解にかかる一手間も、どれもけっこう煩わしいものだからだ。

 こうして、結局は紙かテキストファイルにやるべきことを単に個条書きで並べてみただけで、「ま、とりあえずこれでいっか」ということになってしまうのである。

タスク管理の不満から生まれたツール

 そんなわけで筆者自身も、「何かそこらへんの問題が解決できるようなうまいやり方はないものか」「そしてそれをサポートしてくれるツールはないものか」とあれこれ探してきた。時には知り合いのソフトウェアメーカーさんに「そういうツール作ってくださいよ」とお願いもしてきた。すると数日前に「ホントに作ってみましたよ」という報が届いたのだ。それがジャストシステムの「山積みスケジューラ」である。

 これは「xfy Planner」というタスク管理ソフトで使えるリフィル(テンプレートファイルのようなもの)の一種だ。詳しい機能や使い方などは、開発者の山口さんのブログに書かれているので、ここでは山積みスケジューラの良い点と現状での不満点について触れてみたい。

 なお、xfy Plannerは月額利用料315円の有料ソフトなので、「お金を払ってまでタスク管理しなくても……」という人向けではない。とはいえ試用版も用意しているので、興味を持ったら30日間は無料で試してみることもできる。

時刻表示がないスケジューラ

 山積みスケジューラは、スケジューラなのに時刻表示がない。つまり、「●時〜▲時の間にこの仕事を片付けよう」といった使い方ができない。メイン画面には日付だけが並び、時刻の目盛りがないバーティカルタイプの手帳のようだ。

メイン画面。画像では5日分を表示しているが、最小で1日、最大で10日分まで表示できる

 ではどうやってタスク(予定)を管理するかというと、所要時間を使う。タスクに登録できるのは、時刻ではなく所要時間。そのタスクを「いつ片づけるのか」ではなく、「片づけるのにどれくらいかかるのか」を登録していく。

 所要時間を登録したタスクは、画面右の「棚上げ中のタスク」に並ぶ。これをメイン画面にドラッグ&ドロップすると、所要時間に応じた大きさの「タスクブロック」を表示してくれるのだ。こうしてタスクブロックを“山積み”していく。

画面右にならぶ「棚上げ中のタスク」を、メイン画面にドラッグ&ドロップして登録していく

 要するに山積みスケジューラは、「この仕事は今日中に処理できるのか」あるいは「今日の仕事を全部片づけると、どれくらい時間が残るのか」を可視化するためのツールだ。これは大橋悦夫さんが発明したExcelツール「タスクシュート」と同じようなコンセプトと言える。

「タスクのリスケ」がなくなる

 このやり方でタスク管理をすると、いくつものメリットがある。

 既に述べたことだが、まずは「この仕事は今日中に処理できるのか」がすぐに判断できること。タスクブロックが多すぎて(長すぎて)1日分をはみだしてしまうとなれば、それはどうしても今日中に片づかない仕事があることを意味している。この場合、ドラッグ&ドロップでぐいっと別の日にタスクを移動してやればいい。つまり、積み上げた山の「山崩し」(プロジェクト管理でいう「Leveling:平準化」)がたやすい。

 次に、「タスクに優先順位を付ける必要がない」というのも大きなポイントだ。そもそもタスクの優先順位付けが面倒なのは、「割り込みタスク」が発生するたびに、優先順位を並び替えなければならない点にある。

 「この仕事は●時〜▲時の間に片づけよう」と決めていても、それより優先度が高いと思えるタスクが割り込んできたら、いちいち“リスケ”しなければならないのだ。そんなことをするくらいなら、最初から時刻など登録しておかないほうがいい。山積みスケジューラが「時刻」ではなく「所要時間」でタスクを管理する意味が、ここにある。

 なお、「優先順位をあえて付けない」ことの利点は、永田豊志さんの過去記事で詳しくまとめられている。永田さんの言葉を借りれば「やるべきことはすべてやる」「“どれから手を付けるか”ではなく“どれをやらないか”を徹底する」ことが重要というわけだ。

Googleカレンダーとの同期も

 山積みスケジューラが使えるソフト「xfy Planner」では、このほかにも多くのリフィルを公開しているので、Googleカレンダーとの同期などが簡単に行えるのも大きい。

 また、片づけるために長時間かかる大きなタスクをとりあえずそのまま登録しておいて、少しずつ“切り取り”ながら作業を進められる機能もユニークだ。例えば、所要時間10時間のタスクなら10時間のまま、分解せずに登録しておく。そして、時間に余裕がある日に1時間ずつ切り取りながら片づけていく、といった使い方が可能なのだ。タスクが発生した時点では「分解する必要がない」のである。

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