「5秒のアイデア」の価値Biz.ID Weekly Top10

逆ダース、逆小枝、大樹の小枝。森永製菓の商品企画部には、ついつい感情移入してしまう筆者である。

» 2010年01月06日 19時31分 公開
[杉本吏,Business Media 誠]

 2010年も明日で1週間。ちょっと出遅れた感もありますが、新年明けましておめでとうございます! 今年も誠 Biz.IDをよろしくお願いいたします。

 ということで、年末年始のアクセスランキングでは編集部一同で2009年を振り返った記事が1位に輝いた。今年の年末には、どんな振り返り記事を書くことになるのか楽しみだ。


 昨日1月5日付けのBusiness Media 誠に、「“逆チョコ”人口が増えている? 「女性へチョコをあげたい」――27.2%」という調査記事が載っていた(お正月が終わったばかりなのにもうバレンタインデーの話題か……と思われる方も多いかもしれないが、筆者も同じことを思っているので、まあ我慢して読んでいただきたい)。

 この記事の基となった調査は森永製菓が実施したものだが、調査に合わせて「逆ダース」と「逆小枝」という期間限定商品も登場している。これは通常のものを反転したパッケージデザインになっており、「これ、逆チョコです。」の一言が書かれているそうだ。

 ここからは筆者の完全なる想像でしかないのだが、この逆ダースが生まれた新商品企画会議の様子は、おそらくはこんな感じだったのではないかと思う。

 逆チョコの習慣、盛り上げたいよねー。なんかいいアイデアない?

 そっすねー、パッケージの見た目を逆にした「逆ダース」とかどうっすか? なんか楽しくないっすか?

 いいねー! それ採用!

 (ここまで約5秒)

 念のため繰り返すが、これは筆者の単なる想像である。が、なんとなくこのくらいのフットワークの軽さで、アイデアを形にしたのではないか。この場合の筆者は当然、「もっと時間をかけないと!」などと言っているのではなく、「この身軽さ、いいなー」と感じているのである。

 思うに、森永製菓の商品企画部には「SCAMPER法」(オズボーンのチェックリスト)の考え方を普段から自然に実践できる人がたくさんいるのではないだろうか。同じチョコレート製品の「大樹の小枝」(通常「大枝」)などを見るにつけ、ますますその思いは強くなる。

 何かアイデアを思い付いたときに、「それじゃなんだか普通だから、逆にしてみたらどうだろう?」「思いきり大きく(小さく)してみたらどうだろう?」と考えるのは、たやすい。しかし、それを言葉にして、形にして、製品として世に送り出すには多大な苦労があることだろう。

 「こんなアイデア、幼稚だと思われるかも」「できるわけないと言われるかも」――そんな内なる声を押さえて(あるいは、そんなことを感じさせない職場の風通りの良さによって)、「逆にしてみましょう!」と発言した発案者の姿勢には、大いに学ぶべきものがある――そんな思いに至った筆者。共感ついでに逆チョコの実践も考えたかというと、それはそれ、また別な話なのである。

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