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» 2010年01月22日 17時35分 UPDATE

「現場の仕事」を見える化する:人事異動の繰り返しで「マニュアル」を見える化する

マニュアル作りは、組織の「総合力」を高めるのに必須事項。武蔵野のマニュアルは、人事異動を繰り返すことによって進化するしくみになっています。

[小山昇,Business Media 誠]

 長引く不況の中、自社の経営に悩みを抱えている中小企業の経営者が多いのではないでしょうか。そんな中、経営の内部を社員に公開し、徹底的な透明化(=見える化)を継続することで、社員のモチベーションを高め、増収増益を達成した会社があります。それが経営サポート事業などを行なう武蔵野です。――。「中小企業のカリスマ」と呼ばれる同社の小山昇社長が「現場の見える化」の方法を伝授します。5回目は「人事異動とマニュアル化の関係」をご紹介しましょう。


この連載は書籍『経営の見える化』から抜粋、編集したものです


マニュアルの修正は、新人の仕事

 業務の標準化を図るためには「マニュアル」は必要です。当社・武蔵野にもマニュアルはありますが、武蔵野のマニュアルは、人事異動を繰り返すことによって、進化するしくみになっています。マニュアルの作成にあたって私は何をしたかというと、賞与の評価をする際、社員に次のように命じました。

  • 各自マニュアルを3本作って提出
  • 1つのマニュアルにつき、最低5行でOK
  • 内容は何でもいい

 このようにして集まった「マニュアルの基礎」を、半年後に戻して、「これを改善して出せ。今度はひとつにつき10行で」、さらに「今度は15行で」と書き直させながら、少しずつマニュアルを作らせていきました。

 こうしてできたマニュアルを使って仕事を覚えさせていくわけですが、教えられた社員は、仕事を覚える過程でメモを取ることがあります。メモを取ったら、その内容を入力させる。そうすると、さらに進化したマニュアルができ上がります。AさんからBさん、BさんからCさんと、人事異動を繰り返すたびに、マニュアルの修正・登録が行なわれるため、内容が刷新されていきます。

 ただし、新人だけが修正・登録を行なっていては、マニュアルのクオリティーアップが図れません。そこで5年に1度くらい、過去の体験者を戻します。戻ってきた社員は、違う部署を経験したことによってスキルアップしていますから、マニュアルを高いレベルに引き上げることができるのです。

 武蔵野の強みは、総合力です。野球に例えるならば、イチロー選手も、松井秀喜選手も、松坂大輔選手もいませんが、「中堅レベルの選手が、切れ目なく、1番から9番まで揃っているようなチーム」といった感じでしょうか。しかも、控えにも同じレベルの選手がいるため、ケガをしても同じレベルの力を発揮できます。また、ひとりの選手がいくつかのポジションをこなすことができるため、穴があきません。マニュアルやダブルキャスト体制が整っているからこそ、武蔵野は強いんです。

著者紹介 小山昇(こやま・のぼる)

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 株式会社武蔵野の代表取締役社長。その経営手法には定評があり、2000年に日本IBMと並んで、日本経営品質賞を受賞した。「中小企業のカリスマ社長」と呼ばれ、現在は全国300社以上の中小企業に経営のサポートを行っている。


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