Yammerって知ってる? Twitterみたいな企業間コラボツールツール de オシゴト

メール以外のコミュニケーションツールやコラボレーションツールを模索する連載「ツール de オシゴト」。プロジェクトリーダーを任された主人公のマコトがプロジェクトの進行管理のためにさまざまなツールを試します。連載第2回は「Yammer」に挑戦――。

» 2010年02月04日 12時07分 公開
[後藤康成,Business Media 誠]

「『Yammer』って知ってる?」「何それ?」――。

 マコトと晋作は会議室でそんな話をしていた。晋作とは学生時代から10年来のつきあいだ。学部は違ったが、スキーサークルで知り合った。晋作は卒業後大手クリエイティブファームに入社、その後ネットビジジネス市場が成長するのに合わせてクリエイティブの腕を磨き、2年前に独立した。Web系クリエイティブが専門だが、DTPもこなす幅広いスキルを持っている。

 そういう事情もあって晋作はマコトの紹介でマコトの会社とWeb製作の契約をしており、クールなクリエイティブは社内でも評価が高い。今回のプロジェクトでもWebクリエイティブを担当することになった。ちなみに晋作はマコトの会社のほかにも数社と製作の契約をしていることもあり、トレンドに敏感だ。いわゆるネットサービスに関してもアーリーアダプターだと言って間違いない。国内外を問わず常にトレンドを追いかけ、自分のブログにそうしたネットサービスのレビューも書いている。

 プロジェクトの進行管理にマッチするコラボレーションツールに悩んでいたマコトは、そんな晋作にいくつか使えるツールを紹介してもらったのである。

Yammer

晋作 「Yammer」って知ってる? 最近流行のTwitterのような“つぶやき機能”がメインのコミュニケーションツールがあるんだ。もちろんファイル共有もできるし、携帯電話やスマートフォンからもアクセスできるんだ。

マコト それ、いいかも! 今回のケースにぴったりかもしれない。ちなみに費用はどのくらいかな?

晋作 フリー版と有料版とあるんだけど、今回のプロジェクトのようにメールのドメインが異なる企業間で利用する場合は1アカウントあたり月額5ドル。

マコト 20人のプロジェクトで利用するのであれば100ドルだから、今のドル円換算だと月額1万円以下で利用できるんだ〜。

晋作 Yammerのサイトを見る限り、米国での導入事例も多いみたいだよ。

マコト サービスは日本語化しているのかな。クライアントには英語が苦手な人もいるし……。

晋作 メッセージを入力したり、表示したりすることは日本語でも問題ないと思うんだけど、メニューやヘルプなどのコンテンツは英語となっちゃうね。

マコト OK! まずは今回のプロジェクトで利用できるか試してみるよ。

 費用はマコトにとって結構重要なファクターだ。プロジェクトの1クールは広告掲載期間を含めて半年なのでまずは、半年間利用してみて良ければ今後も利用したいと考えている。「Yammer」の場合はざっと半年間で6万円弱というところだ。十分プロジェクト予算内で利用できる。

 早速マコトはYammerのフリー版を試してみることにした。Yammerでコラボレーションするには、もちろんひとりではできないので、晋作とアシスタントのアイをトライアルに巻き込むことにした。

 アイは今回のプロジェクトでマコトのアシスタントである。入社3年目でこれまでもマコトと同じプロジェクトを何度か担当した。物心ついたときには既にインターネットがあったアイはデジタルネイティブだと言えよう。マコトほどITスキルが高くはないが、社内ではやる気と行動力が評価されている。プレゼン1週間前は夜遅くなることも多いこの業界であるが、弱音を吐かずに淡々と仕事をこなす。英会話もそこそこできるようだ。

 そんなアイに、マコトはトライアルで使っているYammerの感想を聞いてみた。

マコト どう? Yammerって使えそう?

アイ いつもTwitterを使っているから、どう使えばいいのかはすぐに分かりました。Yammerは企業間のTwitter――という感じですね。

マコト あー、その感覚分かる! 僕もTwitterを使っているからYammerはとっつきやすかったもん。

アイ これまで仕事ではメールしか利用していなかったので。チャットのようにリアルタイムでメッセージ交換できるのはスゴくいいと思いますよ。ただ、メッセージが時系列で流れていくので数日前のメッセージを探すには苦労しますね。

マコト なるほど、Twitterでは過去のつぶやきをほとんど見ないから気づかなかったけど、確かに企業利用の場合は過去のメッセージを検索する必要がありそうだ。

アイ そういえば、GoogleがTwitterに似たようなサービスを始めたと友達に聞いたことがあるんですが、それも試してみてはどうですか?

マコト あ、「Google Wave」のことだね。そういえば年末の忘年会で情報システム部の同期がアカウントをくれるとか言ってたなあ。あいつ、まだくれるかな……。ちょっと確認してみるよ。

 ――今回はここまで。次回、マコトは「Google Wave」を試してみることになりそうです。(つづく)

今回紹介したツール de オシゴト 概要
Yammer 企業向けのTwitterライクな社内コミュニケーションツール。ファイアウォールの内側にある企業内サーバにインストールする。登録者同士のメッセージはもちろん、過去やり取りされたメッセージを参照することが可能。
Twitter ブログとチャットの中間のようなサービスで、140文字以内の短いつぶやきを入力して、みんなで共有するサービス。気軽にフォローしたりフォローし返したりすることで繋がりができる。
Google Wave グーグルが2009年に発表した、メッセージングおよびコラボレーションのための新しいプラットフォーム。メール、インスタントメッセンジャー、ブログ、Wikiなどの機能を統合したサービス。

筆者紹介:後藤康成(ごとう・やすなり)

 フィードパスCTO兼feedpath Rooms エバンジェリスト。シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。技術開発担当取締役としてネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当しビジネス&テクノロジーと幅広い経験を持つ。

 2005年、クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立。Zimbraの日本市場展開、ビジネススケジューラーのfeedpath Calendar事業統括を担当するとともに、3月サービス開始予定のメールに変わる次世代企業間コラボレーションツールのfeedpath Roomsのエバンジェリストでもある。著書として「Web2.0 BOOK」など。Twitterアカウントはfeedpath。


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