源泉徴収票の見方、教えます個人事業主もサラリーマンも読める「税金の話」(2/3 ページ)

» 2010年02月16日 12時36分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

 サラリーマンの方は1月の給与明細の封筒に「平成21年分 給与所得の源泉徴収票」と書かれたA6サイズの小さな紙が入っていたと思う。この紙に書いてあることが理解できれば、ニュースを見てモデルケースのロジックが理解できるし、隣の若いOLに解説したりすると「スゴ〜イ」と言ってもらえるかもしれない。

源泉徴収票

 先ほどのケースだと「支払金額」の覧に800万円、「給与所得控除後の金額」の覧に600万円、「所得控除の額の合計額」の覧に190万円と記載されているはずだ。ピッタリ同じ人はいないので、ご自身の源泉徴収票を見て支払金額から給与所得控除後の金額を計算していただきたい。ちなみに支払金額には通勤費は含まれていない。

 計算してみると、微妙に異なる人が多いはずだ。年収(支払金額)が660万円以下の人は、「給与所得控除後の給与等の金額の表」というものがあって、その表から算出する仕組みになっているからである。表の一部を抜粋すると以下の通り。

給与所得控除後の給与等の金額の表
給与等の金額 給与所得控除後の給与等の金額
以上 未満
3,500,000 3,504,000 2,270,000
3,504,000 3,508,000 2,272,800

 表の意味は、350万円以上350万4000円未満の人は、下限の350万円で計算し、給与所得控除後の給与等の金額は227万円ということ。例えば350万円ジャストの人の給与所得控除額は、

  • 350万円×30%+18万円=123万円
  • 350万円−123万円=227万円

 でピッタリ一致するが、350万3000円の人は

  • 350万3000円×30%+18万円=123万900円
  • 350万3000円−123万900円=227万2100円

 となり、表とは2100円の差異が出るわけだ。「給与所得控除後の給与等の金額の表」は国税庁のサイトから「平成21年分 年末調整のしかた(PDFファイルの65ページ以降に給与所得控除額の表がある)」をダウンロードしていただきたい。どうしても表計算ソフトで正確に計算したい方は、計算方法も表の数ページ前に記載している。

 恐らく表計算ソフトが一般化する以前は、多くの社員の給与所得控除額を手計算をするのが大変で、一覧を見て転記したのが現在まで続いているのであろう。

 さて、源泉徴収票の「支払金額」「給与所得控除後の金額」までは理解できたとしよう。次の覧は「所得控除の額の合計額」だ。控除に関しては、基本的な部分は個人事業主もサラリーマンも同じだ。所得控除とは、個人個人の事情に応じて税金を値引きしてくれる様なものだ。「独身だから税金が高い」などと聞いたことがあるだろう。専業主婦の奥さんがいると生活費が増えるから税金を減らしましょう。子供がいるならさらに減らしましょう。息子さんは大学生、それならさらに上積みして減らしましょう。地震保険に入っているならもう少し減らしましょうといった具合に課税対象となる所得を減額するのが控除だ。ここが人それぞれ違うので、ニュースなどで税金の話をするときはモデルケースで紹介することになるわけだ。

 多くの人が該当する代表的な控除は以下の通りだ。

控除一覧
控除名 金額 概要
基礎控除 38万円 一律に受けられる控除
配偶者控除 38万円 所得が38万円(所得控除前で103万円)以下の配偶者がいると受けられる控除
配偶者特別控除 〜38万円(配偶者の収入によって) 所得が38万円を越え76万円未満(所得控除前で103万円〜141万円)の配偶者がいる場合の控除
扶養控除 38万円+α 子供や老人がいると受けられる控除。16歳以上〜22歳未満、70歳以上は増額
社会保険料控除 その年の支払額 年金や健康保険、雇用保険を納めた分の控除
生命保険料控除 〜5万円 生命保険の支払いがあると受けられる控除
地震保険料控除 〜5万円 地震保険の支払いがあると受けられる控除
医療費控除 その年の支払額マイナス10万円 年間の医療費が10万円を超えた分に対する控除
住宅ローン控除 ローン残高の1%(最大50万円/年)×10年 住宅を購入した人が受けられる控除。内容はやや複雑

 この中で配偶者特別控除と扶養控除に関しては該当する人が多いと思うので、もう少し詳しく見ていこう。

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