Dropbox、SkyDrive、quanp……いくつか共有ストレージサービスを試してみたのだが、どうもしっくりこないマコト。そんなとき晋作が紹介してくれたのは「Backpack」だ。
メール以外のコミュニケーションツールやコラボレーションツールを模索する新連載「ツール de オシゴト」。主人公のマコトは、1日100通を超えるメールを受信する広告代理店のビジネスパーソンだ。メールが埋もれて見逃すことも数回。過去のメールを検索するのに時間がかかってイライラすることもある。そこで、メールに代わるコミュニケーションが簡単に管理できるコラボレーションツールを模索する。
社外メンバーを含めたプロジェクトチームで使えるコミュニケーションツールとして、Twitterのような「Yammer」や話題の「Google Wave」、β公開中の「feedpath Rooms」を試したマコトたち。グループカレンダー選びも一段落ついた今、次に気になるのは「オンラインストレージ」だ。社外のプロジェクトメンバーも利用できて、セキュリティ的にも信頼できるストレージサービス探しが始まった。Dropbox、SkyDrive、quanp……いろいろと試してはみたのだが、どうもしっくりくるものが見つからない。
目的の共有ストレージサービスがうまく見つけ出せなかったので、マコトは翌日の午前中に晋作にコンタクトを取り、昼休みを利用して相談することにした。午後一番でクライアントの坂本さんに会い、クリエイティブ関連の提案書を渡すため、ちょうど良いタイミングだ。
晋作のオフィスの近くでランチをしながら、マコトは昨日のリサーチの状況を説明した。
マコト 共有ストレージはいくつか試してみたんだが、パーソナルユースを前提として設計されているようなものが多くてね。クライアントとのプロジェクトで利用するには、決定的なものが見つからないんだ。
晋作 うーん。確かにネット上の共有ストレージといった概念は、ブロードバンドが普及してから本格的に利用され始めたものだからね。例えばパーソナルなフォトシェアリングに特化した「Flickr」なんかは、共有ストレージとしては典型的な例だろう。コンシューマー向けサービスで、5年前くらいからブレークしだしているね。
マコト つまり、コラボレーションツールとしての共有ストレージはまだあまりないのかな?
晋作 そうだなあ。あくまでも個人的な感想だけど、米国では企業間をまたいでのワークスタイルがあまりないように思うから、米国発のサービスというのは案外少ないのかもしれない。米国で流行ったサービスが日本に上陸して、1〜2年後に企業導入が始まるってケースが一般的だしね。前に話した「Basecamp」は米国発だけど……そうだ、思い出した。
マコト ん?
晋作 Basecampの姉妹サービスに、確か「Backpack」というのがあったよ。共有ストレージにプラスして、グループカレンダーの機能も付いていたと思う。
マコト ありがとう。しかし晋作はネットのトレンドをほんとによく捉えているなあ。
今回も晋作からヒントをもらってしまった。ランチを晋作にご馳走したあと、マコトは坂本さんとのアポをこなして、オフィスに戻りBackpackのリサーチを開始した。
Backpackはグループカレンダー、メッセージング、共有ストレージ機能を提供するサービスで、企業間コラボレーションでも利用できるように設計されていた。米国でも多くのメジャー企業で導入実績がある。
価格は月額99ドルで、20Gバイトの共有ストレージを40ユーザーで利用できる。マコトのプロジェクト利用にはぴったりだ。ユーザーインタフェースが英語ではあるが、フリートライアルが30日あるので利用してみることにした。
Backpackはなかなか良さそうだが、念のため日本語が使えるサービスも調べておきたい。以前Webサービスを調べたときの資料を読み返すうちに、「feedpath Rooms」も共有ストレージが使えることを思い出した。あらためてWebサイトを確認したところ、やはりメッセージと共有ストレージを提供している。グループカレンダーの「feedpath Calendar」と組み合わせれば、ちょうど「和製Backpack」と言ったところだ。
マコトはさっそくアイにBackpackとfeedpath Roomsの評価を依頼した。(つづく)
今回紹介したツール de オシゴト | 概要 |
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Backpack | 米37Signalsの提供するサービス。グループカレンダー、メッセージング、共有ストレージ機能を備えている。月額99ドルで20Gバイトの共有ストレージ利用が可能。 |
feedpath Rooms | メールに代わるプロジェクトコミュニケーションツール。社内外におけるプロジェクトで、メッセージとファイルを共有できそのやりとりを1カ所に管理することが可能。ストレージ容量は20Gバイト。2010年3月1日公開予定。 |
フィードパスCTO兼feedpath Rooms エバンジェリスト。シリコンバレー・ベンチャーを経て2000年ネットエイジ入社。技術開発担当取締役としてネットビジネスのインキュベーション案件およびテクノロジー投資案件などを担当しビジネス&テクノロジーと幅広い経験を持つ。
2005年、クラウドからビジネスアプリケーションを提供するフィードパスを設立。Zimbraの日本市場展開、ビジネススケジューラーのfeedpath Calendar事業統括を担当するとともに、3月サービス開始予定のメールに変わる次世代企業間コラボレーションツールのfeedpath Roomsのエバンジェリストでもある。著書として「Web2.0 BOOK」など。Twitterアカウントはfeedpath。
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