孫正義より面白い？ 同業の経済人でホリエモンが一番面白かった人とは：堀江貴文に聞く【出会い編】

堀江貴文さんが、人生の節目節目であってきた人物――メディア王ルパート・マードックや村上ファンド・村上世彰氏などなど。今回登場するのは、彼がこれまで出会った同業の経済人で、一番面白かった人です。

[堀江貴文，Business Media 誠]

ソフトバンクの孫正義氏はどんな人ですか？

　孫さんと出会ったのは、確かゴールドマンサックス在日法人の代表取締役社長・持田昌典さんの紹介だったと思います。ただ、弟の泰蔵氏と僕が中学校時代からの同級生ということもあり、以前からつながりはあったんです。

　孫さんは本当に“いいオッチャン”という感じで、たまに持田さんと「うちに娘がいるんだけど、どうだ？」という冗談をいいます。どんなリアクションを求めているかは分からないのですが、「じゃあぜひ」といって、僕がソフトバンクの後継者になれば良かったのでしょうか（笑）。

　意外な一面として、孫さんはアヤパン（フジテレビの高島彩アナウンサー）が好きなんですよ。ああいう顔が好みらしく、「いつか会えないかなあ」と話しています。孫さんとはいつも軽い話で、仕事の話はあまりしませんね。

これまで出会った同業の経済人で、面白かった人は？

　熊谷さんは同業中の同業で、一緒に働いた仲ですから、仕事の話もよくしました。もう、10年以上の付き合いです。世代が僕より上で兄貴っぽい感覚もあるのですが、すごく礼儀正しい。最初はみんなで「熊谷さんって、目の奥が笑っていないよね」といっていたけれど、熊谷さんは常ににこやかでいることを心がけて、努力した結果、ついに「そういう人」になったんだと思います。食えない人、というところから、本当に良い人に変わったんじゃないかと。

　僕らが若い頃は、熊谷さんに夜の街を教えていただきました。料亭とかクラブとか、たくさん連れて行ってもらいました。面白かったのは、ライブドアが上場した時に「No.1クリスタル」というものをもらったんです。No.1になろう！といって手渡されたのが、「1」の形をしているバカなクリスタル。「熊谷さん、コレ最高ですね！」といって、一緒に笑ったことを憶えています。

　GMOインターネットの上場パーティは帝国ホテルでド派手に行われて、僕も参加したのですが、そこにＣＭキャラクターをやっていた木村佳乃ちゃんが来ていて、「熊谷さんの会社はスゲエな！」と思ったものです。ただ、そのパーティに来ていた商業インテリアデザイナーみたいな人に「上場したらオフィスをカッコよくしなきゃだめですよ」といわれて、メチャクチャ高額な椅子を買ってしまったそうで……。反面教師としても、学ぶところは多かったですね（笑）。

　こんな話をしていると、「堀江ちゃん、それだけかよ！」といわれそうなので、彼の素晴らしい点として、「もてなしの心」を挙げたいと思います。夜の街でもそうなのですが、女の子が2人いたら、ちゃんと1人に1万円か2万円ずつ、タクシー代を渡すことを忘れない。仕事でもそうで、相手の気持ちを推し量ってうまく接待をします。接待をされて嫌な気分になる人はいない。これは熊谷さんから学んだことです。

著者紹介：堀江貴文（ほりえ・たかふみ）

　1972年、福岡県生まれ。1991年、東京大学教養学部文科三類入学。1996年、東京大学在学中に資本金600万円で「有限会社オン・ザ・エッヂ」を設立。2002年、経営破綻した旧ライブドアから営業権を取得し、2004年、「株式会社ライブドア」に社名変更。同年6月、経営難に陥っていた大阪近鉄バファローズ（現・オリックスバファローズ）の買収を申し出たことにより、ライブドアとホリエモンの名前は一躍全国区に。2005年2月、ライブドアがニッポン放送の株主となり、フジテレビとの間でニッポン放送の経営権争奪戦が起こるが、4月には両者で和解。フジテレビはライブドアから1400億円でニッポン放送株を買い取った。2005年8月、広島六区から衆議院選挙に出馬し、亀井静香と一騎打ちになるも落選。2006年1月、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕・起訴される。2007年3月、東京地裁で2年6カ月の実刑判決を受け、即日控訴。2008年7月、東京高裁は控訴を棄却。即日上告し、現在最高裁判決を待つ。現在、ロケット開発を手がけるSNS株式会社のファウンダー。