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» 2010年05月18日 13時12分 UPDATE

堀江貴文に聞く【社内人脈編】:友人と会社をつくるのは止めた方がいい

会社は出会いと別れがあるし、社内で意見が対立することも往々にしてあります。仕事だから妥協はしたくないし、金の問題だからこじれるとややこしい。例えば体育会系の会社だと「仲間であり、社員であれ」という関係性を求めることがありますが、僕はそれは違うと思う。もっと言えば、それは気持ちが悪いとすら思います。

[堀江貴文,Business Media 誠]

まな板の上の鯉、正論を吐く ホリエモン108のメッセージ

この連載は書籍『まな板の上の鯉、正論を吐く』から抜粋、再編集したものです。最高裁の判決を待つ身ながらも活発に発言を続ける彼の頭の中に去来する思い。「クビにしないように採るのも企業の責任」「僕の経験上、返済できる金利の上限は5%」「今の日本は国家が借金したお金でGDPを支えている」「核武装して周囲に摩擦を生むくらいなら今のままで十分」――。その一部をご紹介します。堀江流思考のストレッチをお楽しみください。


「友人と会社をつくるのは止めた方がいい」という理由は?

 会社は出会いと別れがあるし、社内で意見が対立することも往々にしてあります。仕事だから妥協はしたくないし、金の問題だからこじれるとややこしい。だから、「別れたくない友人とは一緒にやらない方がいいんじゃないの?」という意味です。もっとも、僕自身に、友人と仕事をやって、結局もめてしまって……という経験があるわけではありませんが。オン・ザ・エッヂの立ち上げメンバーは4人で、僕と同じく東大の出身者もいました。しかし、彼とは大学で知り合ったわけではなく、バイト先で知り合ったので、最初から友人というよりも、ビジネスパートナーとしての意識が強かった。

 会社を経営してきた立場から見て、例えば体育会系の会社だと「仲間であり、社員であれ」という関係性を求めることがありますが、僕はそれは違うと思う。もっと言えば、それは気持ちが悪いとすら思います。社員を束ねていくためのテクニックとして、体育会系的な関係を利用しているのだろうし、それはそれでひとつのやり方なのかな、と思う部分もありますが、僕は一貫して、そう言うことはしてきませんでした。社員を一枚岩にして、会社に求心力を持たせるためにつくられる「擬似体育会系」という組織と関係性――。それって最悪じゃないですか。

 僕は社員に対して、忠誠心や結束力を求めることはありません。あと、「同僚と友人になる必要はない」と思う。そんなことよりも、会社がそれぞれが好きな仕事ができる場として機能しているかどうか。そうならば仕事を続けるし、そうでなくなったら辞める。シンプルな問題ですよね。

社内での飲み会は楽しんでいた方ですか?

 「社内の飲み会」のあり方は、会社が小さい時、そして大きくなってからと、それぞれのステージで違いました。例えば、会社を立ち上げた当初、社員が少ない時は、仕事が終わった後、みんなで焼肉を食べに行ったりもしました。しかし、だんだんと社員が多くなってきたら、そうもいかない。機会を限定して「新人歓迎会」をするようになりました。

 僕がいたころのライブドアには新卒採用がなく、中途採用との区別がありませんでした。会社に必要な人が「入りたい」というのであれば、明日からでも入ればいい、という考え方です。とはいえ、新入社員に対してはさまざまなオリエンテーションが必要だし、1人1人やっていると効率が悪いから、月に2回、入社日を決めて「歓迎会」を行うことにしたんです。最後の方は、ある程度人数を集めてやっていました。

 僕の顔が世間に出る少し前、社長面接をやめていた時期があり、新入社員が意外と僕の顔を知らなかったりして、けっこう面白かった。歓迎会で「君、名前は?」と聞いたら、「あなたこそ、名前は?」と返される。そのときは社員、百数十人くらいで、渋谷のオフィスにいたころ。みんなは唖然としていましたが、僕は「おー、知らないんだ」くらいで、怒りもしない。ただ1ついえるのは、仕事仲間で飲みに行って、「友達」としての意識や一体感が芽生えるようなことはありませんでした。これは、僕が群れたりすることや「派閥」が嫌いなことも大きかったと思います。

部下との接し方で、最も重視すべきことは?

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 まずハッキリさせなければならないのは、会社の人間関係は「上下関係ありき」と言うことです。誰の指示に従わなければならないのかを明確にしないと、組織はうまく回りません。ライブドアという会社には、対外的に自由なイメージがあったかもしれませんが、いわゆる仲間同士のサークル的な会社ではありませんでした。確かに服装は自由でしたが、業務遂行においては、明確にツリー状の構造です。部下との付き合いに悩んでいる上司は多いようですが、なぜ悩むのか、僕には分からない。

 言うことを聞いてほしいのだったら、同じことを何度でも言えばいいだけです。1回言っただけでは、決して部下には伝わらない。確かに最初は「なぜ1回で分からないのだろう」と思いましたし、何度言ってもなかなか望むようには動かないものですが。ただ、ライブドアはスピード重視で仕事を行ってきましたから、多少のミスやうまく動かない部分は、無視してきたところがあります。

 それゆえに、今考えれば仕事の出来不出来に波があり、決してすべての面で満足はしていません。また、僕の場合は20代前半で部下を持っていたので、「年上の部下」も多数抱えていました。変に気をまわして、ストレスを感じる人も多いと思いますが、僕の場合はまったく問題ありませんでした。つまり、ビジネスにおいて、年齢は考えないこと。基本的に「さん付け」で呼んだり、敬語ベースで話していましたが、指示する時はきっちりと厳しく、というのは当然です。年齢がネックになり、「上下関係」があやふやになるようなことがあってはいけないからです。

著者紹介:堀江貴文(ほりえ・たかふみ)

 1972年、福岡県生まれ。1991年、東京大学教養学部文科三類入学。1996年、東京大学在学中に資本金600万円で「有限会社オン・ザ・エッヂ」を設立。2002年、経営破綻した旧ライブドアから営業権を取得し、2004年、「株式会社ライブドア」に社名変更。同年6月、経営難に陥っていた大阪近鉄バファローズ(現・オリックスバファローズ)の買収を申し出たことにより、ライブドアとホリエモンの名前は一躍全国区に。2005年2月、ライブドアがニッポン放送の株主となり、フジテレビとの間でニッポン放送の経営権争奪戦が起こるが、4月には両者で和解。フジテレビはライブドアから1400億円でニッポン放送株を買い取った。2005年8月、広島六区から衆議院選挙に出馬し、亀井静香と一騎打ちになるも落選。2006年1月、証券取引法違反容疑で東京地検特捜部に逮捕・起訴される。2007年3月、東京地裁で2年6カ月の実刑判決を受け、即日控訴。2008年7月、東京高裁は控訴を棄却。即日上告し、現在最高裁判決を待つ。現在、ロケット開発を手がけるSNS株式会社のファウンダー。


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