Twitterで俳句会を企画した樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」

わたしのライフワークである「アイデアマラソン」は思いついた発想を毎日ノートに書き込んでいくというもの。発想を俳句で書き込むのもありだ。そんな時、Twitterで俳句を書いてみることを思いついた。あるルールを決めて、いわばTwitter上の“俳句会”を開いたのだ。

» 2010年05月21日 17時56分 公開
[樋口健夫,Business Media 誠]

 2004年に商社を定年退職して、アイデアマラソン研究所を設立した。「アイデアマラソン」とは、「毎日何かを考えて、ノートに書き留め、周りと話をして、蓄積するとともに最良のものを選んでいく」という習慣だ。アイデアマラソンを普及することが、わたしのライフワークである。

 アイデアマラソンの発想は、仕事のことだけにとどまらない。生活のことも人生のことも書き留めてよい。体裁は、スケッチでも短歌でも俳句でも構わない。京都に住む叔母は89歳だが、16年前からアイデアマラソンを開始。同時に毎日10句ずつ書き続け、2009年末で6万句を超えた。“俳句アイデアマラソン”が彼女の人生の一部になっているのだ。

 江東区立八名川小学校の元校長先生にこのことを話したところ、小学校の子供たちに毎日俳句を出させる運動を起こした。2005年のことである。この校長先生は2010年春に定年退職するまで、この俳句運動を積極的に進める活動を続けたのだ。

 そこに、Twitterの大ブームが来た。140字制限のTwitterを活用して、アイデアマラソン式“Twitter俳句”を思いついた――というわけだ。もともとTwitterは俳句と相性がいい。正岡子規種田山頭火といった俳句botと呼ばれるTwitterも多いのである。

 2009年12月31日に、このTwitter俳句を毎日7句ずつ作ることを自分自身に課した。1人ではちょっとさみしいので、先ほどの校長先生ともう1人の俳句好きの若い先生も誘い込んだ。さらに俳句好きの知り合いを呼び込み、今は9人で毎日俳句をツイートしている。

 ルールは簡単で、

  1. お互いフォローする
  2. 毎日、最低1つは俳句をツイートする
  3. 会員には背番号を付ける。元校長先生は1番、わたしは3番である
  4. 俳句にもシリアル番号を付ける。ちなみに5月10日にわたしが出した俳句番号は3-996となっている。背番号3のわたしが996番目に出した俳句だ
  5. 上程の日にちも付ける
  6. 開始後何日目かを明記する
  7. 俳句の背景や説明を付ける。これが案外ユニーク。俳句は元来、説明を付けないで文言だけから推測するのが楽しみではあるが、わたしたちは句に解説を付けることで、さらに分かりやすくした
  8. よい句、面白い句があれば、Twitter上で説明する。よい句はほめて、拙い句は無視する

 この3月には公園でTwitter俳句を上程しているところ、NHKの「首都圏ネットワーク」にインタビューを受けた。140字の字数は俳句番号、俳句本体、上程日、俳句の解説、開始からの日数、毎日1個とした場合のバランスがぴったり。Twitterの使い方の1つとして、グループ俳句もまたよし。年齢も、性別も、仕事もまったく異なるメンバーがTwitterに、毎日興じているのも楽しい。

今回の教訓

 Twiの細道――。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら



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