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» 2010年06月23日 15時00分 UPDATE

研修に行ってこい!:営業マナーの前に身に付けたい「利益発想」で営業を楽にする

営業研修などのプログラムでは、営業パーソンになったら身につけることとして、アポイントの取り方、訪問マナー、商談の進め方、商談後のフォローの仕方などを学びます。こうした内容は大事ですが、その前に身に付けたいことがあります。

[原田由美子,Business Media 誠]

 営業というと、売上ノルマに追われ、つらい仕事だと考えられている人も多いよう。部下や後輩がそのような先入観を持っているケースもあるのではないでしょうか? しかしある考え方を取り入れることで、お客様の喜ぶ様子をダイレクトに感じられる、手応えのある仕事が可能になります。

 営業研修などのプログラムでは、営業パーソンになったら身につけることとして、アポイントの取り方、訪問マナー、商談の進め方、商談後のフォローの仕方などを学びます。プログラムになっているものは、それを身につけているかいないかで、売上に差がつくこともあるほど、大事なことです。

 しかし、プログラムを学ぶ前に1つだけやっておきたいことがあります。恐らく、それをするかしないかで、プログラムの活き方も大きく違いが出てくるほど威力のあるものです。

 それは、何か。自分が売る商品やサービスを提供することで、どのような利益(メリット)があるかを次の順番で挙げ、書き出しておく方法です。

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 利益の対象は、(1)お客様(2)自分(3)自社の3つを想定します。「利益」というと金銭をイメージしがちですが「役に立つこと」「ためになること」などに置き換えて考えてもいいでしょう。

好きになれない商品でも売るには?

 わたしが約20年前、生命保険の営業をしていた時のことです。生命保険は、目に見えない商品。しかも、万が一に備える商品です。その万が一というのは、多くの人にとってあまりイメージしたくない、ネガティブなものです。

 わたしは、会社の研修で説明を聞きましたが、商品そのものをあまり好きになれませんでした。何か人の弱みに付け込むような印象を受けたのです。できることならば、自分のお客様には、保険を使わなくても良いような環境でいてほしいとも思いました。

 しかし仕事は、生命保険の商品を売ること。それを変えることはできません。そこで考えたのは次のようなことでした。

 「商品を売るのではなく、わたしから加入していただくと“得”と感じてもらえないだろうか」

 ――ということでした。

 最初はお客様の求めているものがよく分かりませんでしたが、コミュニケーションを取りながら観察していると、ぼんやりと分かってきたのです。そのうち、商品そのものよりも、お客様の立場に立ってサービスを提供する人を求めていて、その代わりに商品を購入しているのではないかと思い至ったのでした。

7大資源で整理する「お客様の利益」

 一般的に経営の7大資源と言われる「人」「モノ」「金」「時間」「情報」「空間」「機会」で考えると、お客様は次のような人を求めているようです。

筆者が思い至った「お客様のニーズ」
7大資源 ニーズ
社内の別部門の人など、お客様のビジネスと関連する人の紹介
モノ 契約後のサービス品のクオリティー
配当や利率が少しでも良い商品
時間 (1)手続きに手間がかからないこと
(2)契約完了までがスピーディーなこと
(3)ちょっと難しい契約のケースでも、スムーズに進むこと
(4)支払請求の手続きを、頼んだ日に書類の処理してくれること
(5)お役所で取る必要がある証明書などを、代理で取ってきてくれること
(6)年末調整等の記入を手伝ってくれること
(7)進捗状況を知らせてくれること
情報 (1)ゴルフなど、お客様の趣味にあった情報でお得なもの(知り合いのゴルフ場の割引利用、利用価値のある飲食店情報など)
(2)会社が提供してくれるサービス品(週刊発行の占いなど)の提供
(3)新商品や、特別商品のタイムリーな案内
(4)税金の知識など
機会 (1)会社で企画するイベント
(2)お客様同士の合コンなどのイベント
空間 なし

 さらに、こうしたニーズに応じて、自分の知識やビジネス・スキルを向上させることを目標に、次の4つのことに取り組みました。

  1. お客様にお得な情報を提供できるように、金融商品の勉強(自社以外の商品も含め)
  2. 契約手続きが迅速・確実にできるように、事務処理能力を向上
  3. お客様に喜んでいただける情報発信をするためのネタ集め(人気のある飲食店や、施設等の情報収集)
  4. お得な情報を持っている知人、友人との情報交換など

自分にとっての利益

 上記に取り組んでいるうちに、自然と商品知識も増え、ビジネススキルも身に付きました。まず、専門知識と事務処理スキルが身に付いたことは、大きなメリット。それに、自分の興味や関心の幅を広げれば、それに伴い提供できる知識や情報、人脈などが増えることも有意義でした。

 こうした取り組みの結果、毎月のノルマに必要な契約を達成。高級ホテルに宿泊するなど、営業成績が優秀なものに用意された会社のごほうびももらったことがあります。もちろん、契約が取れなくてしんどい月もありましたですけどね。

 というわけで、自分にとっての利益は十分すぎるほどありました。また、当時学んだ金融や税金の知識は、現在生活する上でも役立っています。

会社にとっての利益

 当時、会社にとっての利益を考えたことはありませんでしたが、今振り返ってみると、(1)毎月ある程度の契約を取ってくること(2)お客様と長期的な良い関係を築いてくれること(3)契約見直しのタイミングなどの情報を担当者から聞き出すこと(4)楽しく仕事をすることで、周囲に良い影響があること――などは、会社の利益になっていたでしょう。

 このように、利益を軸に、「お客様」−「自分」−「会社」の順で発想し、取り組んでいくと、誰でもお客様から喜ばれ、必要な契約が取れる営業パーソンになることができるはず。まずは、部下や後輩と一緒に「お客様の利益」を書き出してみてください。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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