岡田ジャパンに学ぶ、強いチームの作り方(2/2 ページ)

» 2010年06月28日 17時04分 公開
[INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!
前のページへ 1|2       

 今回のデンマーク戦を振り返ってみると、メンテナンスがしっかり機能した上で、パフォーマンスが機能している点がよくみられる。チームが悪い状態の時は、仮に先取点を取ったしても、得点の積み重ねができず、守りの弱さをつかれ、逆転されるのが通例である。ところが今回は違った。取られても取り返すエネルギーがあったのである。

チームメンバーがまんべんなく結果を出すことで、チーム力はますます向上する

 また、選手同士の関わり方、協働の仕方が良好である。相互の信頼関係が出来上がっている。

 2点目のFKは、本来であれば好調の本田が蹴るところ、蹴ると見せかけて遠藤保仁に譲った。信頼関係がそうさせたのであろう。遠藤は他のメンバーを激励していただけにチームのモチベーションも上がった。

 さらに、3点目も本田がそのまま蹴ってもよさそうな場面を敢えてアシストに回り、途中出場の岡崎慎司に蹴らせた。取るべき人が取ることで、チームのモチベーションはさらに上がる。

 自らの足でゴールインしてチームへ貢献することは至福の喜びであろう。チームメンバーがまんべんなく成果を生み出す実感を得ることはチーム力をますます加速させる。まさに、チームが最高の状態に仕上がっている証である。

 仕事を進めていく上でのチームづくりも共通している。チームとして最高のパフォーマンスを生み出すためには、メンテナンスを機能させた上で、パフォーマンスを機能させることが重要である。今回の日本チームに学ぶべき点は多い。

 チームメンバーの結束力と個々の強みを生かした率先行動が最高のパフォーマンスを生み出す。勿論その背景には、確固たる信念が根づいている。

 8年前の大会では、初の16強入りを果たした後、達成感からかもろくもトルコに屈した。しかし、今回は趣が違う。岡田監督自身が、周囲の悪評を気にせず、4強入りを目標として掲げていたこともあり、今回の16強入りも冷静に受け止めている。しかも、本田の発言にあったように、メンバーも今回の勝利を通過点として受け止め浮かれてはいない。監督、メンバーともに信念が根づいている。

 今回の日本チームを観ていると、幸運によるものではなく、メンバー同士の強い関係性によるチーム力による勝利である。明らかに個々にはレベル的に劣っているものの、チームのシナジーが発揮できれば個々の潜在力が発揮され、思わぬエネルギーを生み出す可能性を秘めている。是非、再度、そのエネルギーを結果に結び付けてほしい。(松本真治)

 →松本真治氏のバックナンバー

前のページへ 1|2       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.

注目のテーマ