動画と写真で確認する――裁断&スキャンのコツ(スキャン編)電子書籍「自炊」完全マニュアル(2/3 ページ)

» 2010年06月28日 19時00分 公開
[山口真弘,Business Media 誠]

スキャン時の取り込み設定について

 本の自炊を行う際、まず悩むのは取り込み設定をどうするかだろう。カラーページがカラーモードなのは当たり前として、白黒のページはグレーなのか、それともモノクロなのか。またこれらが混在した原稿はどうするか、といった点は、初めて自炊を行う場合は迷いがちだ。

 ScanSnapの取込ユーティリティ「ScanSnap Manager」にはカラーモードの選択で「自動」というモードがあるので、これを選んでおけば万事解決……と言いたいところなのだが、筆者はこの「自動」は使わず、カラーモードごとに読み取り設定を作って、すべて手動で切り替えている。

 というのもこの「自動」というモード、白黒ページの端に蛍光ペンでちょこんと跡がついているだけでカラーモードと判定されてしまったり、あるいは紙が黄ばんでいるためにカラーモードで読み取られてしまったり、些細な違いで白黒とグレーが切り替わったりと、なにかとデリケートなのである。まあ、これは取り込みユーティリティの性能の問題というよりも、紙の黄ばみ具合までスキャナに判定させること自体が酷なわけで、致し方ない問題だと思う。

 筆者が用意している取り込み設定は4つ。「カラー」「グレー」「白黒」そして「カラー(カバー取込用)」の4つだ。各取り込み設定の具体的なパラメータは以下の通りだが、もちろんこれが唯一の解というわけではない。「そこはグレーじゃなくて白黒だろ」とか「解像度が無駄に高くね?」といったツッコミはあって当然なので、あくまで例としてみてほしい。ちなみに圧縮率は3で固定している。

カラーページ
設定項目 内容
画質の選択 スーパーファイン(300dpi)
カラーモード カラー
読み取り面の選択 両面読み取り
継続読み取り オン
白黒読み取りの濃度 --
文字をくっきりします オフ
白紙ページを自動的に削除します オン
文字列の傾きを自動的に補正します オフ
原稿の向きを自動的に補正します オフ
原稿を上向きにしてセットします オフ

モノクロページ(写真やイラストあり)
設定項目 内容
画質の選択 スーパーファイン(300dpi)
カラーモード グレー
読み取り面の選択 両面読み取り
継続読み取り オン
白黒読み取りの濃度 --
文字をくっきりします オン
白紙ページを自動的に削除します オン
文字列の傾きを自動的に補正します オフ
原稿の向きを自動的に補正します オフ
原稿を上向きにしてセットします オフ

モノクロページ(文字のみ)
設定項目 内容
画質の選択 スーパーファイン(600dpi)
カラーモード 白黒
読み取り面の選択 両面読み取り
継続読み取り オン
白黒読み取りの濃度 -2
文字をくっきりします オン
白紙ページを自動的に削除します オン
文字列の傾きを自動的に補正します オフ
原稿の向きを自動的に補正します オフ
原稿を上向きにしてセットします オフ

カバーや帯
設定項目 内容
画質の選択 スーパーファイン(300dpi)
カラーモード カラー
読み取り面の選択 片面読み取り
継続読み取り オフ
白黒読み取りの濃度 --
文字をくっきりします オン
白紙ページを自動的に削除します オン
文字列の傾きを自動的に補正します オフ
原稿の向きを自動的に補正します オフ
原稿を上向きにしてセットします オン「PDFフォーマットオプション」で「設定ページごとにPDFファイルを作ります」を選択(1ページ)

カラーページを取り込む場合の設定

モノクロページ(写真やイラストあり)を取り込む場合の設定

モノクロページ(文字のみ)を取り込む場合の設定

カバーや帯を取り込む場合の設定

 紙が変色しているのをカラー原稿と判定されるのを防ぐため、文庫や新書、マンガの類は「グレー」もしくは「白黒」で取り込む。これによって背景の色を飛ばし、コントラストがはっきりした画像が得られる。経年劣化で変色が著しい本は、さらに白黒読み取りの濃度を多少いじってやる場合もある。JPEGで取り込んでPhotoshopなどでコントラストを調整するのも有効だが、実際そこまでやることは手間の関係でほとんどない。

 「グレー」と「白黒」の使い分けだが、基本的に図版があれば「グレー」、文字だけなら「白黒」だ。ぶっちゃけ「グレー」に統一してもいいのだが、後述の通りファイルサイズがまるで違うので、図版のあるなしで切り替えている。なお「白黒」のみ解像度が600dpiと、「カラー」および「グレー」の解像度(300dpi)より高くなっているが、これは「白黒」の300dpiがかなり粗いために意図的に解像度を引き上げている。

 解像度についてはMP3でいうところのビットレートのようなもので、個人のこだわりが出るところだが、上記の設定はおおむね「5段階でいうと4」にあたる。もうひとつ上の600dpi(白黒の場合はさらにその上の1200dpi)というのもあるが、ファイルサイズが大きくなりすぎるのと、以前Kindleで比較した場合にスクリーン上での見た目がほとんど変わらなかったことから、上記の解像度に統一している。ScanSnap S1500では、600dpi以上だと読み取り速度が毎分20枚から毎分5枚へとガクンと落ちることも、この解像度を用いている理由のひとつだ。

カラーモード。グレーと白黒の使い分けが難しいところだが、図版があればグレー、でなければ白黒がよいだろう。面倒であれば全てグレーというのでも構わないが、ファイルサイズは大きく変わるので気を付けたい
解像度はスーパーファインを推奨。エクセレントは見た目があまり変わらないうえに読み取り速度が遅くなるからだ。ただしOCR処理を前提にするのであれば、こちらも試してみたほうがよいかもしれない

 カバーや帯については、通常のカラーページとは異なり独自の取り込み設定を用意している。カバーは内向きに紙が反っていることが普通なので、通常とは逆にオモテ面を上にセットしてやることで、紙が反るのを抑えられ、影もつきにくくなる。そのため「原稿を上向きにしてセットします」にチェックを入れてオンにした上で、上を向けてセットし、読み取り面も片面だけにしている。また、数枚のカバーをまとめて取り込むことを前提に「PDFフォーマットオプション」で「設定ページごとにPDFファイルを作ります」を選択している。

 なお、これはカバーを裁断せずにまるごと取り込んでからPDF上でトリミングする場合の設定であり、表紙/裏表紙/背表紙/折り返し(表紙側)/折り返し(裏表紙側)の5つに分割してから取り込む場合は、通常の「カラー」の設定を用いる。帯を両面テープでカバーに貼りつけてA3キャリアシートに挟んで取り込むといった場合も、キャリアシートが反りを防いでくれるので、通常の「カラー」を用いたほうがよい。

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