ノマドワーキングで通信環境以外に気を付けたいことあなたの不安、見積もります

iPadに続いてiPhone 4と「外で仕事をする」ためのツールが充実してきました。ですが、現実に外で仕事をするとなると、Wi-Fiや電源をはじめとする設定が必要になります。しかし、わたしとしてはそれ以上に気をつけなければならないことがある――と考えています。

» 2010年07月09日 12時40分 公開
[佐々木正悟,Business Media 誠]

 iPadに続いてiPhone 4と、通信機能を備えた高性能な端末が登場してきました。いよいよ「外で仕事をする」ためのツールが充実してきましたね。ですが、現実に外で仕事をするとなると、Wi-Fiや電源をはじめとして、セキュリティ、コストパフォーマンスなどに気を配る必要はあります。しかし、わたしとしてはそれ以上に気をつけなければならないことがある――と考えています。

 それは「音」です。

 音こそ「仕事をする」ときに心理的に無視できない要因だからです。音刺激の影響というのは大きな個人差があり、一般には「ほどよい騒音」が最適と言われます。静かであればあるほどよいようですが、あまりに静かな空間では、かえって落ち着かないという経験をした人は多いでしょう。

 だからといって、うるさければうるさいほどいいかと言えば、そうも行きません。だから「ほどよいうるささ」ということになりますが、これが人によって異なる上に、日によっても体調によっても異なります。仕事をする内容や仕事をする時間帯によっても変化するはずです。

 わたしが仕事をするのに自宅からなかなか離れられないのは、自宅は「うるささ」が想定の範囲内におさまるからです。たまにとんでもない騒音に悩まされることがありますが、そんなことはめったにありません。近くの喫茶店などに入ると、これが逆転してしまいます。たまに想定の範囲内のうるささを得られることもできますが、そんなことはめったにないことなのです。

 心理学に「注意力亢進(こうしん)」という概念があります。注意力亢進とは、しずくの落ちる「ぴたん、ぴたん」という音に一度注意を集中してしまうと、それが耳から離れなくなるような、過剰な注意を払うこと。しずくや電車の騒音などはまだいいですが、喫茶店で気になるのは人の声。これがかなり注意を引きます。

 BOSEのノイズキャンセリングヘッドフォン「QuietComfort 3」のような製品もありますし、実際わたしも愛用しますが、万全とは言えません。非常に不思議な音刺激が耳から入ることもあります。それでも、こうしたノイズキャンセリングヘッドフォンがあったほうがいいです。例えば「セミナーのスライドを作る」ような作業はむしろうまくいきます。

 ありきたりではありますが、ノマドにおいては仕事そのものの環境設定以外に、音のことを考えておいて、さらに作業を選ぶ必要がありそうです。

筆者:佐々木正悟

 心理学ジャーナリスト。専門は認知心理学。1973年北海道生まれ。1997年獨協大学卒業後、ドコモサービスに派遣社員として入社。2001年アヴィラ大学心理学科に留学。同大学卒業後、2004年ネバダ州立大学リノ校・実験心理科博士課程に移籍。2005年に帰国。著書に、『スピードハックス』『チームハックス』のほか『ブレインハックス』、『一瞬で「やる気」がでる脳のつくり方』、『やる気ハックス』などがある。「シゴタノ!−仕事を楽しくする研究日誌」にて「心理ハック」を連載中。ブログ「ライフハックス心理学」主宰。


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