どっちにしよう!? 迷ったときの意思決定方法は?マグロ船会議術(2/2 ページ)

» 2010年07月26日 15時30分 公開
[齊藤正明,Business Media 誠]
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どちらが最適か、見通しがつくまで徹底的に調べる――20点

 調べたからといって、正確な結論が出せる保証はどこにもありません。

 また、そうして意思決定を先送りすることで、状況が変わってしまったり、問題が膨らんでしまったりと、さまざまなリスクの発生も考えられます。

見通しがつかないことは、ひとまず止める――40点

 「見通しがつかないことは、ひとまず止める」とは、言い方を変えれば「何もやらない」と同じこと。なぜなら、何事も試してみないと結局はどうなるのか分からないからです。

 しかし回答1(どちらが最適か、見通しがつくまで徹底的に調べる)のように、やってみないと分からないような、解答がでないことをいつまでも調べて足踏みするよりはいいかもしれません。「分からないことはやらない」と決めれば、その分ほかの仕事に時間をかけられるからです。

本当に代表者同士の腕相撲で決める――90点

 かなり適当なように感じるかもしれませんが、いくら調べても、結局先のことは正確には分かりません。ですから決断の場で、「どちらがいいのかどうしても分からない!」「先が読めない!」という場合は実のところ、理屈で決めようが代表者同士の腕相撲で勢いで決めようが同じなのです。

 わたしは過去、上司から「マグロ船に乗ってこい!」と理不尽な命令を受けました。「乗らなかったらお前はクビ!」と言われていたので、職を失う不安感と「乗ったら乗ったで、生きて帰れないかも……」という恐怖感の板挟みの状況にありました。

 その不安をマグロ船の漁師に話したところ、次のように言われました。

 「おいどーらがマグロを捕りに行くとき、大事なのは決めることど。どこにマグロが泳いでいるのかなんて、結局は仕掛けを流してみよらんと分からん。それであれば、どこで漁をするか、早く決めたほうがええんど」

 つまり、マグロがたくさん捕れるか捕れないかは、究極のところ確率は50%です。「それであれば早めに漁場を決めたほうが、時間のロスが少なくすみ、多くの回数漁ができる分、トータルとして、マグロを多く捕れる」ということなのです。

 ですから、悩んでも答えがでないものであれば、直感でも気分でも何でもいいので、早く決断をしたほうがいいのです。

早めに間違えたほうがいいのは会議も個人も一緒

 今回のコラムでは、会議で、「どちらの案にしようか?」と迷ったときを題材にしました。しかし、これは個人レベルで迷ったときも同じことです。

 いくら考えても、どっちにしたらいいのかが分からない場合は、それ以上考えてもなかなか答えは出ません。正確な答えの出ないものをずっと考え続けていると、時間はどんどんなくなっていきますし、会議のように多くの人を巻き込む場合は、人件費も余計にかかります。「腕相撲」でも「アミダクジ」でも何でもいいですから、早く決めましょう。その方が少なくとも時間の無駄にはなりません。

 それに、早めに間違えておいたほうが、改善や修正をして次に生かす機会もできるでしょう。そうして一度間違えた上での判断のほうが、確度は断然違うはずです。

 まずは、簡単そうで意外にムズカシイ、今日のお昼ごはんを早く選ぶことから訓練してみましょう!

編集部からのお知らせ

 この連載は、「@nifty ビジネス」で連載中の「今日からなれるファシリテーター 〜荒波を乗り越えるマグロ船会議術〜」から抜粋、再編集したものです。


筆者紹介:齊藤正明(さいとう・まさあき)

 ネクストスタンダード代表。1976年東京生まれ。北里大学水産学部卒。大学卒業後、民間企業の研究所に入社し、「マグロの保存剤」の開発に携わる。

 入社2年目のとき、上司から「マグロの保存剤の開発を成功させるには、お前は一回マグロ船に乗ってこい」と理不尽な命令をされるも、断りきれずマグロ船に乗せられる。

 嫌々乗ったマグロ船であったが、人間関係がギスギスしやすい閉ざされた空間だからこそ、素晴らしいコミュニケーション術がたくさんあり、笑顔で働く漁師たちに感銘を受ける。

 マグロ船を降りたあと、漁船での体験を元にファシリテーション術を自社に導入し成功。その後独立し今に至る。代表著書に『活きのいい案がとれる!とれる!マグロ船式会議ドリル』(こう書房)『会社人生で必要な知恵はすべてマグロ船で学んだ』(マイコミ新書)がある。雑誌などの掲載多数。


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