つぎに画質についてだが、設定値がなるべく同じになるよう合わせたScanSnapと比較すると、かなりボケた印象。特に150dpiではその傾向は顕著だ。「文字くっきり」をオンにしてようやく同等といったところだが、シャープネスがかかって全体的に引き締まる印象の強いScanSnapに比べ、ES-D200のそれは線が太くどっしりとなるため、漢字などは細部がつぶれてしまうことも少なくない。色の飛びも気になるところだ。
続いて(2)でカラーモードを変更しつつ取り込んだ画像についても比較してみよう。全体的に色が濃くコントラストも強めだが、これはデフォルト値がそうなっているだけで、必要に応じて画質調整のスライダで調整すれば問題ないだろう。こうした時に調整メニューがあるのは心強い。個人的には元原稿の右端部分、やや薄かった文字がしっかり読めるのは好印象だ。白黒(モノクロ)モードにおける写真画像についてはやや極端な差が出ているが、そもそも白黒(モノクロ)モードで写真を取り込むことはあまりないと思われるので、参考としてみてほしい。
次にOCRの認識率についてみていこう。日本語と英語が入り交じった横書きのテキストについては、300dpiの解像度において、ScanSnapと認識率の差はそれほどなかった。ちなみに「文字くっきり」や「モアレ除去」をオンにすると認識率が向上する傾向からも、やはり全体的にボケていることは少なからず影響しているようだ。OCRを使う場合は「文字くっきり」のオプションをオンにすることをお勧めする。
以下がOCRで読み取ったテキストの比較である。認識間違いの箇所には赤い印を付けている。ちなみにScanSnapでは句読点を問答無用で半角にする傾向があるが、ES-D200ではこうした癖は特に見られず、全角で処理されている。
なお、OCRのテストは300dpiでのみ行い、150dpiでは行っていない。というのも解像度を150dpiに設定してOCRをオンにしようとすると、ES-D200は「テキスト検索が可能なPDFを作成するには、適切な解像度を設定してください」というアラートを表示し、スキャンできないからだ。ScanSnapでは150dpiでもOCRをオンにでき、精度もそこそこなのだが、いかんせんES-D200ではスキャン自体行えないので比較のしようがない。もっとも前述の150dpiでの画質を見るにつけ、OCRはちょっと厳しいのではないかという気もする。
ところでES-D200で個人的に気になったのは、添付のユーティリティ「EPSON Scan」で、読み取り完了後に任意のアプリケーションを起動できないことだ。ScanSnapであれば読み取ったあとに自動的にScanSnap OrganizerやAcrobatを立ち上げたり、あるいはEvernoteを起動して自動的に登録するといったワザができた。本製品ではアプリケーションを起動するのではなく保存先のフォルダを開くことしかできないため、読み取ったデータを確認するのにもうワンクッション必要となる(2つあるユーティリティのもう一方「EPSON Event Manager」を使用すれば任意のアプリケーションの起動は可能だが、「EPSON Scan」を用いてスキャンを行う場合は適用できないため、ユーザーが迷う可能性は高いのではないだろうか)。
また、「EPSON Scan」と「EPSON Event Manager」という2種類のユーティリティを添付しているが、これが分かりづらい。両者の違いは大雑把に言えば「PC側で操作する時はEPSON Scan、本体スイッチで操作する時はEPSON Event Manager」ということになるのだが、これがどうにもややこしく、挙動がつかみにくい。「EPSON Event Manager」では本体側の液晶画面に設定情報を表示できるなどメリットも多いだけに、このあたりの分かりやすさの改善も望みたい。
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