ものをどこに置いたのか忘れてしまうことありませんか。出かける時に、鍵がどこにあるか、ヘッドフォンがどこにあるか、財布がどこにあるか――。そこで作ったのが3つのシンプルなしくみ。大げさなものではありません。誰でも明日からできますよ。
自分で言うのもなんですが、筆者はモノをどこに置いたのか忘れてしまうタチです。出かける時に、鍵がどこにあるか、ヘッドフォンがどこにあるか、財布がどこにあるか、探すのに時間がかかりすぎて、あやうく遅刻しそうになったことは数知れず。
家族にもあきれられるくらい見事な忘却ぶりに「なんとかしなきゃ」と思って作ったのが、3つのシンプルなしくみです。大げさなものではありません。誰でも明日からできます。
1つ目は今さらですが、「必ず定位置に戻す」こと。例えば本棚1つとっても「時間管理系はこの棚、プレゼン関連はこの棚……」などと決めて、取り出した後は必ず定位置に戻すというものです。定位置以外にモノを置かないことで、探すための余計な時間がかかりません。しかし、モノによっては、どこが定位置としてふさわしいのか分からないものもあります。例えば、ヘッドフォン。書斎の机の上がいいのか、リビングのオーディオ脇がいいのか、迷いませんか?
筆者の場合はモノを持って、家中をぐるぐる動き回るため、このしくみだけではうまくいきませんでした。そこで、原則2の登場です。
2つ目は「モノが必要となる動線上に置く」というもの。家や車の鍵、散歩グッズは玄関に置き、出かける時に着るべき服は、寝室からリビングまでの間に置く、などです。動線上に必要なモノを置くと、わざわざ忙しい時に、次に何をやるべきか考えなくて済みますし、動作に無駄がなく、なおかつミスも減ります。
わたしの場合、犬の散歩をしながら語学学習を行う習慣を続けるために、iPhoneとヘッドフォンを散歩グッズと一緒に玄関口に置いているのも、そのためです。
3つ目のしくみは「ノイズを減らす」ということです。ノイズというものは、必要なモノを探す時に邪魔になるもの、気が散るものです。せっかく、モノを定位置に置いても、その上から別のものが覆いかぶさったりしてしまえば意味がありません。
筆者のように片付けられない人の多くは「もったいない病」にかかっており、モノが捨てられない傾向が強いのです。大事なものと、利用価値の高くないものが渾然(こんぜん)一体となり、非常に効率悪い状態を作っています。なるべく「持ち帰らない」「余計なものは買わない」「1シーズン使わなかったものは捨てる」など「持たない勇気」を持つのが大事です。
いらないモノを捨てて、残ったモノを大事に使うという精神は、知的生産性の鉄則である「選択と集中」に通ずる考え方だと思います。
3つの原則は、当たり前といえば当たり前のこと。しかし、シンプルな原則でありますが、実行すると大きな効果が得られます。筆者の場合は、動線上に定位置を定め、かならず戻すようにしています。もったいないと思っても、1シーズン活躍の場がなかったものは容赦なく、誰かに譲る、オークションで売る、捨てるなどを励行しています。
本連載は、6月26日発売の書籍『結果を出して定時に帰る時短仕事術』(ソフトバンククリエイティブ刊)から抜粋・再編集したものです。
残業ゼロで成果を倍増する仕事効率化術――。と言っても、単に効率化だけではダメ。人生の価値マネジメントから始めるタスク管理としくみ作りを実践しましょう。「ワークライフバランス」と言っても単に時間バランスだけとっても意味はありません。
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知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。
リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。
近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。
連絡先: nagata@showcase-tv.com
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