やる気は「出す」ものではなく「出る」もの「職場がツライ」を変える会話のチカラ(2/2 ページ)

» 2010年09月29日 10時20分 公開
[竹内義晴,Business Media 誠]
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褒めるのは恥ずかしいし、わざとらしい

 では書籍の中から、褒めるためのヒントを1つご紹介しましょう。

 褒めるというと「○○さんはすごいですね」などと、相手を賛美することかと思うかもしれません。でもこのような褒め方はなんだか気恥ずかしいですし、思ってもいないことで相手を褒めるとわざとらしくなってしまいます。褒めるのも、意外と難しいものですね。特に身内に近いほど、相手を褒めるのは難しいと感じます。

 先日、旧友に会いました。最近、受講料が30万円以上するセラピスト養成講座を受講し始めたんだそうです。彼女はわたしにこういいました。

 「前からずっと、やりたいやりたいと思っていたけど、行動しなかったんだよね。これまでも比較的安い講座には行ったことがあるけど、なんだか違うと感じていて。今こうして学び始めてみて、自分が行動できていることがうれしいし、とても楽しい」

 それを聞いて、「へ〜、○○(名前)はすごいな。勉強熱心だな」と褒めるのは恥ずかしいですし、なんだかわざとらしい感じがします。

自分の中に生じた思いを伝えよう

 こういう時に便利なのは、「わたし」を主語にして褒めることです。

 「へ〜、○○(名前)はすごいな。勉強熱心だな」をひと言でいえば、

 「あなたは、すごいですね」

 ということですよね。主語が「あなた=旧友」になっていて、その「むかしからよく知っている友人」に対し「すごい」というのがなんだか恥ずかしいし、抵抗があるんです。そこで、主語を「わたし」にして伝えてみました。

 「○○(名前)の話を聞いて、すごく刺激になったよ。ボクも、もっとがんばろうと思ったよ」

 これを、ひと言でいえば、

 「わたしは、やる気になった」

 あくまでも自分の中に生まれた気持ちや思いを話した、という点に注目してください。「あなたは〜」と相手を賞賛したわけではないので、それほど恥ずかしくありませんし、自分の思いにウソはないので、わざとらしくもなりません。しかも、相手には「あなたの話がわたしにとって役に立った」ということが伝わります。

 褒めるのが苦手なら、無理して相手を賞賛する必要はありません。自分の気持ちを、そのまま伝えればいいのです。ポイントは、「わたし」を主語にすることです。相手の行動を見たり話を聞いたりして、自分に起こった気持ちを素直に伝えてみてください。

著者プロフィール:竹内義晴(たけうちよしはる)

 竹内義晴

テイクウェーブ代表。ビジネスコーチ、人財育成コンサルタント。自動車メーカー勤務、ソフトウェア開発エンジニア、同管理職を経て、現職。エンジニア時代に仕事の過大なプレッシャーを受け、仕事や自分の在り方を模索し始める。管理職となり、自分が辛かった経験から「どうしたら、ワクワク働ける職場が作れるのか?」と悩んだ末、コーチングや心理学を学ぶ。ちょっとした会話の工夫によって、周りの仲間が明るくなり、自分自身も変わっていくことを実感。その体験を基に、Webや新聞などで幅広い執筆活動を行っている。アイティメディア「オルタナティブ・ブログ」の「竹内義晴の、しごとのみらい」で、組織作りやコミュニケーション、個人のライフワークについて執筆中。著書に『「職場がツライ」を変える会話のチカラ』がある。Twitterのアカウントは「@takewave」。


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