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» 2010年10月19日 12時30分 UPDATE

研修に行ってこい!:断られた後が肝心――落ち込まずに次につなげるコツ

断られることを恐れて行動できなかったり、断られることで落ち込み、気持ちが焦って空回りすること、ありますよね。そんな時、思い出して欲しいいくつかのコツをお伝えします。

[原田由美子,Business Media 誠]

 断られることを恐れて行動できなかったり、断られることで落ち込み、気持ちが焦って空回りすること、ありますよね。断られた後の対応方法を知ることで、落ち着いて次の一手につなげられるはず。部下や後輩が行動できていない時、断られて凹んでいるときに有効な方法を紹介します。

営業電話は仮の姿

 最近多いのが、次のような電話です。

発信者 本日は御社のサービスをPRする方法をご紹介したく、ご連絡差し上げました。

わたし はあ。

発信者 御社は企業様へのサービスが中心のようですが、プログラムのご案内や、セミナーのご案内をどのようにしていらっしゃいますか?

わたし 無料セミナーを企画し、そのテーマに関心がある人に向けてPRしています。その際、すでに案内済みの既存のお客様へのPRのほか、セミナー専門のPRサイトを利用しています。

発信者 なるほど。セミナーを企画し、関心のある企業様をお集めになるんですね。セミナー告知は独自のルートをお持ちのようですが、効果はいかがですか?

わたし おおむね目標はクリアできています。

発信者 すでにファンのお客様がいらっしゃるわけですね。ありがとうございます。本日ご案内したいと考えておりましたPRツールは、御社様が新規のお客様を開拓したいとお考えの際に有効なツールでございます。弊社では……(以下、商品PR)。

わたし ありがとうございます。では、新規のお客様を増やしたいと考えました時には、ご相談させていただきます。

発信者 こちらこそ、お時間をいただいてありがとうございました。また機会を見てご案内させてください。

 このような電話に共通しているのは次の3つです。

  1. 事前にある程度ビジネスの概要を調べて電話をかけてきている
  2. 電話をかけた相手先のビジネスの現状を把握するための“質問”が中心
  3. 最後に自社のPRをどのような目的で利用してほしいのかをアピールする

 こうすることで、次の3つの効果が生まれています。

  1. 業界の事情を確認できる(現在のビジネス環境、どのようなPR手段が有効か、そのためにポイントとなっている点は何かなど)
  2. 電話をかけた相手先のビジネスの進め方を肯定した応答になるため印象がよくなる
  3. 印象がよくなった後に、自社のサービスを利用してほしいタイミングと特徴を効果的に案内できる

断られる時、それは情報収集のチャンス

 誰でも断られることを前提に仕事を進めることはありません。しかし断られることを織り込み、断られるまでに得られる情報を暫定的な目的とするケースは多々あります。

 例えば、先ほどのケースでは、発信者は、研修をサービスとしている会社数百社に同じような電話をかけます。その目的はあくまでもリサーチで、売り込むことを目的としていません。そのため電話を受ける側も、構えることなく質問に答えます。ごくまれに最後の商品PRを聞き、関心を持ち契約につながることもありますが、それはプラスαの成果です。

 リサーチで得たい情報は、成果が上がっている取り組みと、そうでない取り組みの状況。取り組みごとの調査結果を一覧表なりにデータ化します。データ化することで、何かしらの成功のパターンが見えてくるはず。それをツールとして次の段階に進むわけです。

 次の段階では、前回電話した会社のうち、サービスの導入余地がありそうな会社に電話し、こう伝えます。「同じ業界の●●社が最近非常に業績を伸ばしていらっしゃいます。弊社では、その方法をデータとしてまとめました。ご関心はありますか?」。すると、聞かれた方もひとまず情報を知りたくなるはずです。

 情報がしっかりしたものであれば信頼度が高まり、顧客を開拓したい企業にとっては、有益な情報になります。そこからが初めて本来の営業活動のスタートです。営業活動の前にこうした情報のやり取りで信頼関係を築けていれば、商談というよりも相談になり、その先はスムーズに進むでしょう。「断られること」をきっかけに「情報を得る」ことで、確実に次のステップへと商談を進めているのです。

Yes/Noの理由を確認

 もちろん、情報のやり取りが上手くできない場合もあるはずです。次の3つの着眼点を紹介しましょう。

着眼点1:自分から連絡を取る日を決める

 Yes/No以前の問題としてよくあるのが「お客様から連絡をしてもらえるはず」という思い込みです。必要であれば、お客様から連絡をしていただけると考え、ひたすら待っているケースです。お客様の立場に立つと「営業さんから連絡してくれるだろう」と、考えしばらく待っています。しかし連絡がなければ、タイミングよく連絡をくれるほかの営業担当者に話をしてしまいます。せっかく自分がきっかけを作っても、成果はほかの会社のほかの営業マンが持って行くことになります。これは避けねばなりません。

 そのようなことにならないためにも、商談の最後で、次のように締めくくります。

 「それでは本件に関して○月○日に再度ご連絡申し上げます。その時点で、弊社がご用意した方がいい情報や、ご質問がございましたら遠慮なくお知らせください。今回の提案内容でご満足いただけたようでしたら、ご契約のタイミングなどをお知らせください。もし、条件や内容などに変更が必要でしたらご相談いただければ、善処いたします。では、○月○日にお電話いたしますが、よろしいでしょうか」

 こちらから連絡をする期日を確認しておけば、連絡がしやすくなり、結果も把握できます。

着眼点2:断られた理由を聞く

 断られるとそれだけで気持ちが沈んでしまい、思考も止まってしまうもの。しかし、そのタイミングこそ、最も重要なことを聞くチャンスです。それは、

  • 断られた理由
  • 検討の余地はどこにあったか

 をお聞きすることです。断られても断る理由は会社ごと案件ごとに異なります。タイミング、予算、求めていたサービスとのズレ、説明が不足して誤った認識を持っていたなど、理由を知ることで、今後の対応策が見えてきます。併せて良かった点を聞くことで、その会社が求めていたことが明確になります。

 理由が明確になれば、同じ会社に提案するほかの機会に活かすことで、受注確率は高まるでしょう。同じ会社に提案をする機会がなければ、ほかの会社での提案の際に活かせます。あるいは、複数の会社で同じような理由で断られたのであれば、商品やサービスを企画する部門と連携し「商品づくり」に活かします。このように、断られた際の理由というのは、次の提案の確度を高めるための貴重な情報となります。

着眼点3:断られた後に、再度提案する

 人間関係が良好であれば、断られた後に先方の要望を反映し、再提案しておくことも一考。その時点では受注につながらなくても、その行為が相手の印象に残ります。また、場合によっては、提案先のビジネスの参考になることもあります。そうなれば、次の機会に優先的に声がかかり、優位に仕事を進めることにもなるのです。

 「営業は断られてから始まる」とよく言われますが、断られた後の対応の工夫次第で、次のビジネスのきっかけとなります。「断られる=情報を得る」機会という認識で、部下や後輩の指導に役立ててください。


著者紹介:原田由美子(はらだ・ゆみこ)

 大手生命保険会社、人材育成コンサルティング会社の仕事を通じ、組織におけるリーダー育成力(中堅層 30代〜40代)が低下しているという問題意識から、2006年Six Stars Consultingを設立、代表取締役に就任。現在と将来のリーダーを育成するための、企業内研修の体系構築、プログラム開発から運営までを提供する。

 社名であるSix Starsは、仕事をする上での信条として、サービスの最高品質5つ星を越える=クライアントの期待を越える仕事をし続けようとの想いから名付けた。リーダーを育成することで、組織力が強化され、好循環が生まれるような仕組みを含めた提案が評価されている。


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