PDCA、SWOT、カイゼン、MECE、VRIO……すべてのフレームワークが行き詰った時、突破口は「全脳思考」だった結果と行動を生み出す1枚のチャート

PDCA、SWOT、カイゼン、MECE、VRIO――。読者も一度は聞いたことのあるフレームワークの数々だが、実際にはどうだろうか。「自分の仕事ではうまく行かなかった」という声も少なくない。そんなあなたの力になれるかもしれないのが「全脳思考」である。

» 2010年12月21日 10時00分 公開
[PR/Business Media 誠]
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 PDCA、SWOT、カイゼン、MECE、VRIO――。読者も一度は聞いたことのあるフレームワークの数々。企画立案や問題解決に有効だとされる手法だが、実際にはどうだろうか。自分の仕事に当てはめてみてもうまく行かない場合が意外とある。だが、そんな時でも「フレームワークもうまく使えないなんて」と嘆くことはない。実はあなたの仕事に適切なフレームワークはそうした従来型のものではないかもしれないからだ。

 従来型のフレームワークで解決できない問題にどうやって対応するか。あなたの力になれるかもしれない方法が「全脳思考」である。神田昌典氏(ALMACREATIONS代表取締役社長)が提唱する手法だ。

 神田氏のALMACREATIONSでも全脳思考で切り抜けた実例がある。数年前、マインドマップ(R)のソフトウェア「iMindMap(アイマインドマップ)」の販売戦略がなかなか決まらなかった時のことだ。アイマインドマップに対して、どのような人たちがどんなニーズを持っているのかが全く分からない――。そんな閉塞感を打破したのが全脳思考だったのである。

 とはいえ全脳思考と聞いて、すぐ分かる人はそれほど多くないだろう。「全脳? オールマイティーのこと?」「右脳と左脳を全部使うってことかな?」などなど、言葉からして何だかすごそうだ。

 実際にはそれほど仰々しいものではない。まずはホワイトボードに2×3(縦×横)の6マスを描くところから始まる。縦の2行は上からプラスとマイナス、横の3列は左から現在、未来と移り変わる様子を表している。要は、現状を左下のマイナスのマスに、未来は右上のプラスに置き、その間のシナリオを考えることで、改善すべき現状から「120%HAPPYな未来」(神田氏)につなげる考え方――が全脳思考というわけだ。

 シナリオを考えることで、まさにこの6マスが、曖昧模糊(あいまいもこ)としたあなたのビジネスシーンにおいて、リアルで自分だけのチャート(海図)になるのである。

6マスの左下には現在、右上には未来をプロット

シナリオはどう作る?

 このシナリオがまさにキモ。PDCAサイクルのような伝統的なフレームワークの場合、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)というようにシステマチックに進む。問題の診断や解決が中心になるから、問題が顕在化しているケースでは分かりやすい。

 一方、今回のアイマインドマップの販売戦略のように何をやっていいか分からない場合、問題を診断したり、一足飛びに解決策を示したりすることは難しい。そもそも計画が立てられないのであれば、PDCAのPが始められない。つまり問題の診断や解決ではないケースでは、そうしたフレームワークは“使えない”ことになってしまう。

 例えば、新規市場に参入する場合だ。iPadのようなモバイルタブレット端末の市場はこれまでのPC市場と同様に考えるわけにはいかない。新しいターゲット、新しいデバイス、新しい市場を考えた時、ポイントは「仮説」であったり、まずは「行動」することだったりする。

 先ほどのシナリオの話に戻ろう。なぜシナリオが重要かと言えば、仮説や行動の指針になるからである。この現状から未来に至るシナリオを全脳思考では必ず、未来から、すなわち120%HAPPYな状態からブレークダウンして作る。PDCAのように現状からの積み上げてシナリオを作ると、どうしてもこれまでのビジネスの延長にしかなり得ないからだ。

 では「未来から」作るシナリオとはどういうものなのだろうか。

石狩まりもは120%HAPPYになれるのか

 北海道で行われたプロジェクト「Girls Be Ambisious! 〜シンデレラ・ストーリーの始まり」も全脳思考を活用した。そもそも北海道は女性の議員や自治体幹部職の比率が全国でも低いことで有名。特に自治体の幹部職は全国ワースト2位となっている。

 そんな北海道の女性を“石狩まりも”というキャラクターに投影して、このまりもさんの120%HAPPYな状態を考えたという。

 男社会だった思考を柔軟にするとともに、地域への定着度の高い女性の起業や登用を支援し、地域全体を活性化する起業家や地域振興策を女性ネットワークを通じて拡大できるのではないかと検討。最終的には地域を飛び越え「世界の女性社長」を支援するインキュベーションセンターの設立を提案することになった。地域を越えた提案に結び付いたのは、100%ではなく120%HAPPYをうたう、まさに全脳思考ならではの発展だろう。

 右のチャートが議論の集大成なのだが、ここからGirls Be Ambisious!プロジェクトのシナリオを読み説いてみよう。

 まず左下(2011年まで)のマス。ここは言わば第一フェーズで、プラン作りが主な活動だ。女性たちのネットワークを作るためインターネット上のコミュニティサイトを立ち上げて、女性を登用したり、女性が起業したりする上での課題を調べ、問題解決のプランを作る。

 続く第二フェーズは中央の上下2マス(2012年まで)。ここではGirls Be Ambisious!プロジェクトの活動を広く知らしめる。コミュニティのメンバーをお互いに応援しあう動画を制作し、YouTubeを使って女性起業家応援のムーブメントを起こし、300万アクセスを目指すというものだ。

 最終フェーズの右上のマス(2013年まで)には、いよいよ女性起業家の育成センター「Woman's Incubation Frontie」を設立し、女性の活躍の基盤作りに取り掛かることを目指す。北海道を第二の故郷として多くの有能な女性が北海道を盛上げ、引いては日本の活性化に大きな力を注ぐことになる――というロードマップだ。

 左下の第一フェーズから読み解いていくと、それなりのプランに読めるが、実際は右上の第三フェーズから制作している。日本の活性化からブレークダウンし、インキュベーションセンター設立、YouTube動画、コミュニティサイトと現実感のある流れになっているのである。

「子供を喜ばす課」のアイデアはどうやって生まれたか

地域活性化にも活用されている

 地域活性化のケースでもう1つ。埼玉県加須(かぞ)市の場合は、女性ではなく子供がテーマだ。利根川が流れ、緑の多い土地柄でコシヒカリの産地としても知られる加須市。童謡のふるさととしても有名で、童謡のアイドルユニット「ピンキッシュ」も生まれたが、最大の悩みは若者世代が少ないこと。子供たちが「120%HAPPY」に過ごせる場にしたい――。

 子供に愛される町作りができれば、大人になってもUターン、Iターンしてもらえる町になるのではないか。全国から人が集まる場所になるのではないか。そんな仮説をどのように実行するのかが、右のチャートである。例によって左下から3つのフェーズで右上の理想の状態に移行する。今回は未来、つまり右上から見て行こう。

 第三フェーズの2012年に全国から子供たちが遊びに来たい町となることを目指す。それを実現するために第二フェーズの2011年には市役所に「子供を喜ばす課」を設置。着ぐるみで子供たちを歓迎するほか、クリスマスにはサンタさんを市の役員が演じ、子供たちにプレゼントを届ける。この手前の第一フェーズでは「子供の記念日」を創設。家族の休日体験を高めるため、加須市でもイベントを実施する――ということになるのだ。

 子供の記念日から市役所の子供を喜ばす課を設立するのを考えるのは、ちょっと大変そうだが、より大きな目標の子供が遊びに来たい街を考えることで選択肢が増えるのである。

再びアイマインドマップ

 「アイマインドマップを使うことによって、5年後に120%HAPPYになれる人って、誰でしょうね?(中略)誰かパッと思い浮かぶ人はいない?」

 沈黙。空気の重みに耐えられず、軽い咳が響く。25秒ほど経って、ようやく名前が出てきた。

 「大西ますおさん、です」

 会議室の目が点になった。<誰それ?>

 「大学時代の先輩なんですけど、この間、久し振りに会って……。だからかもしれないんですけど、彼の顔がパッと浮かびました」

 私は、右上のスマイル・マーク(編集部注)に「大西ますお」と書き入れた。

編集部注:チャートの右上に120%HAPPYな状態を描く。描けなければスマイル・マークでもいい。

書籍『全脳思考』(ダイヤモンド社)より引用


 冒頭紹介したアイマインドマップの販売戦略会議の一幕である。ここでも120%HAPPYになってほしい人を想像している。たまたま「大西ますおさん」だったわけだが、この大西さんが幸せになるためのシナリオ――彼の子供が安全に過ごせるIT社会に貢献するソフトウェアを作ること――を考えて行き着いたのが、「すべてのデジタルデバイスにアイマインドマップを」という販売戦略である。

 もちろん全脳思考はこのほかの場面でも利用できる。

  • クリエイティブな仮説構築、ロジカルな分析・提案という両極の思考をバランスよく行なうことができる
  • 企画力、プレゼン力、問題解決力、文章構成力、セールス力が向上する
  • チャートという型に落とすことで、思考に軸がもたらされる
  • 組織で活用すると、全体の中での個人の仕事が明確になり、短期間で結果が生まれる
  • 他人を幸せにする「利他性」に基づいて思考することで、自分の存在意義を再び見出すことができる

 いかがだったろうか。全脳思考ならこれまでのフレームワークで解決できなかった問題に対しても有効だ。従来型の手法で悩んでいるビジネスパーソンはぜひ試してみてほしい。

「マインドマップ」は英国Buzan Organisation Ltd.の登録商標です。日本国内では、一般社団法人ブザン教育協会がマインドマップの商標権を含む知的財産権の利用を正式に認可された唯一の団体です。


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提供:株式会社アルマクリエイションズ
アイティメディア営業企画/制作:誠 Biz.ID編集部/掲載内容有効期限:2011年1月20日