実際のスライド作成時に気をつけるべき10の鉄則とKISSプレゼンがうまい人の「図解思考」の技術

スライドの構想も、手描きのラフの作成も完了したら、ようやくPCの出番。ただし、これから説明する「10の鉄則」を必ず守ること。この根底にあるのが「KISS」という考え方です。

» 2011年01月31日 14時45分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 スライドの構想も、手描きのラフの作成も完了したら、ようやくPCの出番です。ラフの描き方については、バックナンバーの「スライドは『いきなりPC』で作らない――ラフの手書きから」を参照してください。

 基本的にスライドはPowerPointやWord、そのほかプレゼンテーションの作成ソフトで資料を作ります。ただし、下記にあるような10個の鉄則を守って作成しましょう。

スライド作成時に注意したい10の鉄則

  1. 1スライドに1メッセージ
  2. 可能な限り説明スライドは10枚以内
  3. こりすぎない、Simple is best!
  4. フレーズは短く、キーワードを強調
  5. メッセージを一番うまく伝えるデザインを選択
  6. 細かいデータは別資料で補う
  7. しくみはアイコンや単純パーツの図解で示す
  8. イメージは言葉ではなく、写真や映像で
  9. 数字やトレンドに最適なグラフを選択する
  10. エグゼクティブサマリーは30秒一本勝負

プレゼンを行うものはすべてKISSせよ!

 この10の鉄則の根底にある考え方は「KISS」です。もちろん、キスのことではありません。プレゼンを行うときに、特に気をつけてほしいことをキーワードの頭文字をとったものです。「KISS」とは「Keep It Short and Simple」の略で、「なるべく短く、シンプルに」という意味です。

 どんなプレゼンでも資料はシンプルが一番です。過剰な情報は、聞き手にとってはノイズであり、肝心の大事なポイントが頭に入ってきません。詳細データが必要であれば、別紙で添付しましょう。

 ノイズを減らすコツは、まず情報量そのものを減らすこと。例えば「利用者がアクセスしたときに、自動的にオススメ情報を配信するシステムを導入する」というような長い文章スタイルのものよりは、「オススメ情報の自動配信」というように、強調したいキーワードだけを残した短いフレーズにすることが肝心なのです。

 できあがりのスライドを見て、全体的に20〜30%くらい情報量を減らすとしたら、どれを削るかを目安にすればいいと思います。

 文章で解説すると冗長になってしまうものは、積極的に「図解」「アイコン」「写真」などに代替しましょう。複雑なしくみや要素の関係性も、シンプルなアイコンと関係図にすることですうっと頭に入ってきます。主観的な印象を長文を費やして表現するよりも、写真1枚、短いビデオ1本見たほうがより多くの情報を得ることもあります。

 数値データも数字の羅列はNG。数値が示す傾向やメッセージに一番ふさわしいグラフを選ぶべきです。数値データの裏づけはメッセージの信頼性や具体性を高めるに不可欠ですが、メッセージが伝わりにくいグラフを選んだり、余計な数値がついていると伝わりにくくなります。

 最後にエグゼクティブサマリーですが、1枚スライド+30秒程度の説明でプレゼンのポイントを伝えられるようにしておきましょう。コツは「エレベータピッチ」と同様です。「エレベータピッチ」については、バックナンバーの「30秒、250字で魅力を伝える――エレベーター・ピッチとは」を参照ください。

 ITベンチャーがひしめくシリコンバレーでは「起業家はエレベーターの中で投資家に会ったら、自分のビジネスプランを30秒で的確に伝えられなければ未来はない」と言われています。

 とにかく、メッセージを引き立たせるために、シンプルで直感的に理解できるスライドづくりを目指しましょう。合言葉は「KISS」――ですよ!


集中連載『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』について

『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』 『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』(永田豊志・著、中経出版・刊、A5判/208頁、本体1500円)

 パワポの前に「図」で考える――。ベストセラー『頭がよくなる「図解思考」の技術』の第2弾となる本書は、プレゼンテーションの根幹とも言える「メッセージをどう作り、どのように伝えるのか」を図で整理する方法を解説しています。

 「見栄えのいいスライドを作ること」や「説得力のある話し方をすること」も当然大事ですが、プレゼンの目的(メッセージ)そのものが洗練されていなくては、聞き手の心には届かないからです。営業プレゼンテーションや講演に限らず、ちょっとした説明や商談、または報告などにも応用可能で、あらゆるビジネスシーンで活躍するはずです。


目次

  • 第1章:残念なプレゼンは、なぜ眠たくなるのか?…面白いプレゼンの秘密とは?
  • 第2章:考えがスッキリまとまる図解プロットの技術…自分の考えを整理する方法
  • 第3章:「合体ロボ作戦」でシナリオに磨きをかける…プレゼンの流れを作り出す
  • 第4章:魅力的なスライドラフを描いてみる…ハイクオリティなラフ描きの技術を公開
  • 第5章:図解プロットに挑戦!…実際に、考えをまとめ、シナリオを作り、ラフを描く
  • 第6章:魅力的なアイデアを作り出す10のテクニック…使えるアイデア発想法

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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