間違った食事マナーを他人は決して指摘しない――親、家族、そして親戚夫婦で始める“エクストリームコミュニケーション”

伴侶を知るには、彼女(彼)が育てられた家庭、受けてきたしつけを知るのが確実な方法です。その人の歴史は嘘をつきません。

» 2011年03月25日 12時00分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 夫婦間のコミュニケーションは難しいもの。付き合いも長いと、話題もなくなります。年中一緒に暮らしていれば、会話のネタも尽きてきますよね。そこで、ごくごく普通の夫である私が試行錯誤の上に発見した、ちょっと変わった夫婦間の「エクストリームコミュニケーション」をご紹介しています。今回のエクストリームコミュニケーションは「親・家族・親戚」です。


 今回は、「親・家族・親戚」でして、われわれ自身ではなく、われわれを取巻く人々がテーマです。結婚すれば、それは夫婦二人だけの話ではなく、お互いの家族や親族とのつながりが自動的に発生します。家庭というのは、独立した国家、もっと言うと惑星と呼んでもいいくらい違いがあるもので、知れば知るほど驚き(ときに笑い)に満ちた話し合いになります。

 ちなみに各テーマの数字は連載記事共通の通し番号。これまでのエクストリームコミュニケーションも参考にしてみてください。

テーマ95:実家ならではの伝統やルール

 どんな家庭にも、両親により定められた“憲法”があるもの。知らず知らずのうちに身についてしまったローカルルールは、外から見ると滑稽であったり、理解に苦しんだりします。

 お互いの実家のことって、意外に知らないものだよね。実家の伝統やルールってどんなのがある? 例えば、お風呂に入る順番とか。

 わが家はそもそも、風呂に入らないよ。沖縄はシャワーオンリーが当たり前なの。

 ええっ、風呂に入らない!? それは常夏で暑いから?

 たぶんそう。湯船に浸かるのは年に2回くらい。

 ウチは毎日入ってたよ。オトンが一番湯で、あとは適当に子供が入って、最後にオカンが入って、残り湯で洗濯……って流れ。じゃあ、そっちは順番の概念がないよね?

 なかったね。

 キミの風呂がカラスの行水である理由が改めて分かったよ。

 食事中のTVはどう? 私の実家は絶対NGだった。行儀が悪いってことで。

 それはウチも同じ。ドリフやひょうきん族とか、楽しみにしている番組の放送中であっても、食事中は許してくれなかった。

 そういえば、ウチはドリフは見てよかったけど、ひょうきん族は禁止だったよ。

 うちはどっちもOKだったよ。なんでひょうきん族がダメだったの?

 父にはひょうきん族は下劣に映ったみたい。

 そんなに差があるかな?

 ドリフも似たり寄ったりな気はするんだけど、いかりや長助がたるんだ雰囲気にカツを入れて、要所要所で引き締めてくれていたのが救いだったんだと思う。私のカンだけど。

 あー、なるほど。言わんとすることは、分かる気がする。

 話は変わるけど、ウチのおやつは米軍基地内のスーパーで売ってるビスケットだったよ。格安で買えたから、いつもそれだった。それかパンの耳を揚げたヤツ。スナック菓子と炭酸飲料は母が与えてくれなかった。

 うちも炭酸はNGだった。オカンが「コーラは骨を溶かす」って信じていたからね。おやつは手作りの蒸しパンとか鬼まんじゅうだったなあ。あと、おやつじゃないけど、冷凍食品も食べさせてくれなかった。完全手作りにオカンはこだわってたから。

 いま思ったんだけど、お互いの両親の価値観、割と似てない?

 マナーとか食生活面は似てるかもね。そういうバックグラウンドがあるから、僕らもジャンクフードや食事中のTVでケンカをあまりしないのかもしれない。

 あ、1つ忘れてた。うちは毎食、食事中に牛乳を飲むんだった。米でも牛乳。絶対牛乳。

 それはないわ……。

 夫の両親の考え方や、家庭内ルールを知れば知るほど、夫の人となりが、因果関係を含めた全体図として見えてきます。それにしても、沖縄の常識は本州の非常識なのかなあ……。


テーマ96:両親の生い立ち

 自分たちの両親の生い立ちを、解説しあってみました。生まれた場所、家庭環境、進路や仕事、そして自分たちが生まれるまで、できる限り詳しく時系列で追いかけてみました。

 話は親から祖父母、そして親の兄弟姉妹にも脱線し、次第に祖父母の思い出話に発展していきましたが、盛り上がってきたのでそのまま続行。自分たちが父方、母方どちらの祖父母の影響を受けてきたかについても見えてきたのでした。

 お互いの父親に、(戦後の食糧難に育ってきたということもあって)幼くして命を落とした弟がいたことを知りました。生きていれば叔父だったということになります。


テーマ97:両親の馴れ初め

 親に聞こうとしないことの最たるものがコレだと思うのですが、われわれもあまり情報を持っていませんでした。父と母が出会ったキッカケくらいはなんとなく知っているのですが、どれくらいの期間、どんな交際をして、何が決め手となって結婚を決意したのか、今度聞いてみようかなあ。

 改まっては聞きにくいですねえ。なんなんでしょうね、このくすぐったいような感覚。


テーマ98:親兄弟との人間関係

 自分のパートナーが、実家の両親はもちろん、兄弟姉妹と仲が良いか。良好なコミュニケーションをしているか。配偶者側には直接的な影響はないようで、実は大アリです。兄弟同士が仲がいいと、義理の立場としても入っていきやすいですし、因縁があるならやはり知っておかないとそれはそれでまずかったりします。

 家庭の事情にグッと入っていく必要があるので、ちょっと心理的ハードルはありますが、相手が許す(話すことをいとわない)ならば話しておく方がよいです。

 お互い、兄弟姉妹との関係は良好だったので、安心しました。それにしても、義理の立場での接し方って、難しいですよね。他の人たちはどんな付き合い方をしているんだろう……。


テーマ99:親類との付き合い方

 それぞれが幼かったころの、実家での親類との付き合い方を話してみました。地域差が如実に現れますし、ユニークな風習も発覚して、それだけでも面白いです。例えば私が初めて沖縄の両親に挨拶をしに訪れたときなど、祝いの席で親類全員がカチャーシー(※)を踊り出して、テンションの差に面食らった思い出があります。

 それぞれの家庭の風習を掘り下げれば掘り下げるほど、違いが浮き彫りになりますが、違いを楽しむスタンスさえ失わなければ、有益な話になると思います。

(※)カチャーシー:沖縄民謡の演奏に際して興が乗るにつれ、聴衆が(場合によっては演奏者の一部も)、両手を頭上に掲げて左右に振り、足も踏み鳴らす踊り。(出典:Wikipedia

 親類付き合いや一族の風習で言うと、(一般的には)妻側の負担がどうしても大きくなります。世の旦那様には、妻側のストレスに配慮いただけるとうれしく思います。なんだかんだ言って疲れますから(ボソッ)。


テーマ100:テーマ親との同居、二世帯住宅の可能性

 将来、どんなキッカケで共同生活するかは分かりません。譲れる部分、譲れない部分、妥協できる点、妥協できない点、考え始めると、期待よりも不安のほうが多いような気はします。また、住宅の形式によっても考えは変わってきますね。プライバシーがしっかり確保された二世帯住宅と、サザエさんのような一軒家では、意見もだいぶ変わりますから。

 うーん、世代の差というか、生活習慣の差が大きいからなー。正直どうかなー。いや、できないわけじゃなくて、お義母さんは好きですし、よい関係ですし、お料理も上手な素敵な方で、尊敬してますし……。でもなー、単に会うのと、住むのは違うからなー。


テーマ101:わが家だけ? と思うおかしな習慣

 「踊る!さんま御殿!!」のテーマみたいなので、面白おかしい話ができると期待していた割に、お互いなかなかおかしな習慣を思い出せません。もしかしたら、おかしな習慣でさえ当たり前になりすぎていて、客観的に見えていないだけなのかもしれませんが。

 おかしな習慣ではないですが、互いの実家に訪れて一緒に食事をするときには、習慣の差がはっきり現れますね。例えば……、

  • 「それがオードブル? メインディッシュじゃなくて?」
  • 「もう夕飯? まだ○○時なのに?」
  • 「肉ばっかりですけど、野菜食べないの?」
  • 「食事よりデザートのウェイトが高くない?」
  • 「皿洗いはお父さんの役目なんだー」

 などなど。

 相手方の習慣に100パーセント慣れることはできないけれど、私はけっこう楽しめています。


テーマ102:家系図を書いて、血縁の歴史をマッピングしてみる

 大きめの紙とペンを用意して、家系図を書いてみました。が、祖父母の代でギブアップ。曾じいさん(&ばあさん)の情報がまったくありません。いつの時代(たぶん明治)にどこで生まれ、どんな暮らしをして、やがて自分たちの祖父母が誕生してきたのか……浅いところまでしか知らなくて、ショックを受けました。たった3世代前でしかないのに、歴史が受け継がれていないのは、怖い気もします。

 デジタルデータで保存が利く現代なら、孫や曾孫の代にもわれわれの情報は伝達されていくのでしょうか。

 昔にさかのぼるのは難しかったので、親戚や兄弟の横展開をしていきました。お互いの親戚関係が見える化され、これはこれでスッキリできました。ルーツを知るって、大事だと思います。


テーマ103:親から受けた教育指導、言い聞かせられた言葉

 幼いころ、両親から耳にタコができるほど聞かされた言葉を挙げてみました。礼儀に厳しい世代だからでしょうか、食事の仕方については、けっこう口うるさく言われていたことが判明しました。

  • 「食事マナーで育ちが分かる」
  • 「魚の食べ方1つに、人の性格、人格は現れる」
  • 「間違った食事マナーを、他人は決して指摘してくれない。一生、恥をかき続けることになる」

 「よく言い聞かせられた言葉=親が大事にしていたメッセージ」となるので、双方の親のしつけのこだわりがよく分かりました。

 出身はまったく違うそれぞれの両親ですが、食べ物に苦労したであろう共通項があるせいか、「きれいに食べる」「粗末にしない」部分では厳しくしつけられたことが分かりました。なんとなく親近感を覚えますね。



No. 今回のテーマ
95 実家ならではの伝統やルール
96 両親の生い立ち
97 両親の馴れ初め
98 親兄弟との人間関係
99 親類との付き合い方
100 テーマ親との同居、二世帯住宅の可能性
101 わが家だけ? と思うおかしな習慣
102 家系図を書いて、血縁の歴史をマッピングしてみる
103 親から受けた教育指導、言い聞かせられた言葉

 以上「親・家族・親戚」についてでした。

 親から受けたしつけが、無意識のうちに自己形成の大きな部分を占めていることに、改めて気づかされた思いです。そういう意味では、われわれの子供への接し方、しつけ方が、子供の人格形成におよぼす影響は甚大なのでしょう。

 話は横道にそれますが、最近「子供のしつけができていないことを、学校(&教師)の責任にする風潮」があったりしますけど、あれは親の怠慢ですよね。しつけや礼儀作法の無知を他人のせいにすることは、お門違いで恥知らずな行為だと個人的には思います。


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著者紹介:中山順司(なかやま・じゅんじ)

 シックス・アパート株式会社 / スキナヒト製作所 所長。1971年生まれ。Covenant College(米国)卒業後、携帯電話キャリアでマーケティングと営業に携わり、2000年にネット業界に転身。旅行予約サイト(現楽天トラベル)で観光旅行コンテンツビジネスを立ち上げ、その後始めた個人ブログがキッカケで、ブログソフトウェアベンダーのシックス・アパートに(現職)。

 2010年12月、フツーの男女のフツーの出会いをプロデュースすることに特化した、世界一マジメな恋愛インキュベーション・プロジェクト「スキナヒト製作所(β)」を設立。


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