ハヴズからは多くの人物の紹介が入る。紹介された人脈は、これまたハヴズな人であることがほとんどで、その先もどんどん優秀な人間とつながっていくことが多い。ビジネスセンスに優れており、なおかつ決裁権を持っているので、スピードとパワーは加速度的に上がっていく。つまり、ひとりのハヴズを中心に名刺がどんどん増えていくことを意味する。そこでハヴズ中心にカテゴライズすることにした。
例えばハヴズA氏をカテゴリーAのトップに据える。そして彼から紹介された順に、時系列で名刺を納めていく。書店の経営者、出版社の経営者、デザイン会社経営者、広告代理店サラリーマン……。A氏を軸に名刺を並べることで、たとえ業界がまたがっていても、名刺をもらったひとりひとりの仕事や顔が覚えやすく、印象に残りやすい。反対に言えば非常に忘れにくい。
もう1つのメリットもあった。なぜA氏が私にこの人脈を紹介したのか? 時間が経過してから名刺を俯瞰することでA氏が私に求めていた"隠された意図"が見えてくる。つまりバラバラの名刺を組み合わせれば、また新しいビジネスが発想できたりするわけだ。
同じ要領でカテゴリーB、C、D……とファイリングしていく。これはもう無茶苦茶、支離滅裂となるのは必至で、とんでもないヘンな人脈ばかりを持つD氏だと、建築家、イベント会社とまっとうなところから、議員、パイロットというセレブな感じ、挙句の果てには歌手、地上げ屋……と、もはやまとめようにもまとまんない、俯瞰してもな〜んも見えてこない相関図となる。
ハヴズ流ファイリングは他人が見ればまったく整理されていない非効率な名刺手帳だが、私には使いやすいことこのうえない逸品に仕上がる。またハヴズ経由の人脈はデキる人が多いため、名刺を捨てる必要が極めて少なく、名刺管理にあてる時間が少なくて済むメリットがあることも、かなり後から気付いた。
名刺を捨てる……。名刺の管理で意外と大変なのが“捨てる技術”。こちらは私の手帳が小さ過ぎるので、これも当初は困った。
名刺をファイリングしているのは、もともとはシステム手帳として使っていたもの。これがとても小さい。新書サイズ。
1枚のクリアファイルには名刺が3枚しか入らないので、見開きにしても6枚。ファイルは33枚入れるとパンパンになるので、トータル99枚のキャパとなる。なぜこんな小さいのを使っているのかというと、お気に入りの手帳を有効活用したいと思った、ただそれだけの理由。ヘビ皮のいやらしさと色合いが好きで長らく愛用していたため、捨てられなかった。
手帳は巨大である。伊勢丹メンズ館のTRIM限定モデルで、ロディアとクオヴァディスのネームも刻まれたコラボしまくりモノ。書きまくれる大きさ、持った感じの質感・重量感、醸し出す上品さ、何よりも驚くような皮の柔らかさと独特の皮臭さにココロ惹かれ、先の手帳に別れを告げた……と、ちょいとmono的な話。
さて、そんな理由から99枚しか収納できない不便な名刺手帳を使うことになり、ここから名刺を捨てる必要が生まれた。