生産性を6倍上げる“朝”は未開拓の資源だった!朝シフト仕事術

夜3時間の残業でこなせる仕事の量と、早朝の30分でこなせる仕事の量が同じ――。疲れた身体にムチ打って、長時間ダラダラと残業を続けるくらいなら、スパッと定時に退社して、その分朝早く活動を始めたほうが、確実に仕事の能率は上がります。

» 2011年07月19日 13時00分 公開
[永井孝尚,Business Media 誠]

 「Webook of the Day」という書評メルマガで知られる松山真之助さんは、著書『早朝起業』(祥伝社)の中で、さまざまな人たちの言葉を引用しながら「朝の生産性は6倍」だと力説しています。

 同じことを夜遅くまで粘ってやるよりは、ずっと効率も気分もいい。「知的生産の技術研究会」(知研)の副理事長を務める小石雄一さんは、通称「週末の達人」なのだが、その小石さんも「朝の生産性は通常の6倍ある」という。サントリー出身で、ミステリー作家やマーケティング、ライフデザインなどあらゆる分野で執筆・講演に活躍する野村正樹さんも、同じように6倍だとおっしゃる。そのくらいの効果が朝にはあるのだ。

 「朝の生産性が6倍」と言うと、大げさに聞えるかもしれない。しかし朝は爽快だし、よけいな邪魔が入らないから、生産性が上がるというのはうなずける。

 この本は、私の朝シフトに大きなきっかけを与えてくれました。

 私自身の実感でも、朝の生産性は夜の6倍はあると思います。夜3時間の残業でこなせる仕事の量と、早朝の30分でこなせる仕事の量が同じだからです。

 残業というのは、1日8時間の仕事を終えた後の時間です。頭も身体も疲れていますし、お腹もすいているでしょう。そんな状態で3時間粘ってみても、たいした成果は得られないのではないでしょうか。

 疲れた身体にムチ打って、長時間ダラダラと残業を続けるくらいなら、スパッと定時に退社して、その分朝早く活動を始めたほうが、確実に仕事の能率は上がります。頭の回転が速く、集中力も高まっている朝の30分間は、夜の残業の3時間分に相当します。朝1時間集中すれば、終電間際までの6時間残業に匹敵するだけの仕事がこなせるのです。

 時間をギュッと圧縮した分、自由に使える時間が増えて、プライベートも充実します。朝シフトは、いいことばかりなのです。

朝シフトで得られたもの

 20代、30代のころも写真で個展を6回開催したりして、ビジネスパーソンとしてはライフワークが充実していたほうでした。しかし、当時はこれで手いっぱい。週末のみの活動でした。

 朝シフト後、毎日のブログ執筆や、毎週末の合唱団の活動、年数回の本の執筆などができるようになりました。

 さらに、早起き仲間と一緒に、「朝カフェ次世代研究会」という早朝勉強会を主宰するようになり、社外の仲間も増えました。

 優先順位も変わりました。朝シフト前は、平日は仕事最優先で、プライベートやライフワークは二の次でした。朝シフト後は、仕事も、プライベートも、ライフワークも、すべてかけがえのない大切なもの、と考えられるようになりました。何よりも家族を大切にしたいと思うようになりました。

 社会人として20年以上仕事をしてきて、「すでに自分の仕事の生産性は限界に達している」と思っていました。しかし、朝シフトすることで、定時退社できるようになり、こなせる仕事量も増え、仕事の質も向上し、さらにライフワークの範囲も広がり、家族を大切にできるようになったのです。

 こうして分かったことは、「朝は誰でも持っている隠れた未開拓の資源だった」ということです。本書では、この誰でも活用できる未開拓の資源「朝」を活用し、朝の仕事の生産性を6倍に向上させ、さらに人生を豊かにするための方法「朝シフト」を紹介します。

連載「朝シフト仕事術」について

 本連載は7月16日発売の書籍『残業3時間を朝30分で片づける仕事術』から抜粋したもの。“朝活”が大ブームの今、医者、起業家、脳科学者が書く朝活の本も売れているが、本書は日本IBMに勤務する現役ビジネスパーソンが現在進行形で朝時間を有効活用していることが特徴だ。その成果・効果を大公開。実体験を元に、朝は夜の6倍生産性があがる理由を分析した。

 著者自身も20代30代のころは、仕事の忙しさが残業に反映されていると思い込み、“残業自慢者”でもあった。しかし、残業 → ストレス → 飲む → 寝坊 → 満員電車 → ぎりぎり出社 → 仕事の山という負のサイクルにどっぷりとはまっていたことに気づく。それをきっかけに、時間の使い方、仕事のやり方を研究しはじめ、朝時間にシフト。家族と過ごす時間、自分のための時間が増え、ライフワークをしっかりと楽しんでいる。そんな朝時間の有効性を共有する「朝カフェ次世代研究会」を主宰し、朝時間仲間をどんどん増やし、仕事とプライベートを充実させる啓蒙書。生活を見直したいと考えるビジネスパーソンにおすすめの1冊だ。



著者紹介 永井孝尚(ながい・たかひさ)

 日本IBMソフトウエア事業部マーケティング・マネージャー。1984年3月、慶應義塾大学工学部卒業後、日本IBM入社。製品開発マネージャーを担当した後、現在、同社ソフトウエア事業部で事業戦略を担当。2002 年には社会人大学院の多摩大学大学院経営情報研究科を修了。朝時間を活用することで、多忙な事業戦略マーケティング・マネージャーとして大きな成果を挙げる。一方で、ビジネス書籍の執筆や出版、早朝勉強会「朝カフェ次世代研究会」の主宰、毎日のブログ執筆でさまざまな情報を発信。さらに写真の個展開催、合唱団の事務局長として演奏会を開催するなど、アート分野でも幅広いライフワークを実現している。主な著書に『バリュープロポジション戦略50の作法 - 顧客中心主義を徹底し、本当のご満足を提供するために』などがある。


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