インフルエンサーとして活躍するためにソーシャルブランディングの時代(3/3 ページ)

» 2011年08月03日 13時50分 公開
[大元隆志,Business Media 誠]
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プロフィールを記述する

 実際のプロフィールを記述します。考えたり調べたりした内容を総合して、訴求力の高いプロフィールを描きましょう。

(1)社会的ステイタスを確認する

 まずは自分自身に、社会的ステイタスと呼べる部分があるか、探してみましょう。社会的ステイタスは、実名活動において最も強力なアピールポイントになるので、明記できるものは極力明記するようにしましょう。

 ただし企業名については、多くの場合、社名の公表や実名での活動に広報部の許可を必要とするので、いちど社内規定などを確認しておきましょう。自分の会社名を明らかにできないときは、業界名などを明記するとよいでしょう。

(2)自分の所属業界や活躍したい業界を認識する

 「業界動向」という言葉は誰でもよく耳にすると思いますが、自分が所属している業界や自分のお客様が所属している業界を、正しく知っている人は意外に多くありません。マイクロセレブは特定の業界の中で一目置かれる存在ですから、それを目指すのであれば、対象業界の分類を正しく理解しておく必要があります。前掲した表の中から、普段あなたが活動している業界を調べてみましょう。

(3)自分の専門分野を考える

専門性を検討するためのヒント
専門性 3年以上従事した職がある
特定の分野に複数の実績がある
特定の分野で有効な資格を持っている
特定の分野で本の執筆、講演を担当したことがある
特定の分野で権威のある団体に所属している

 プロフィールに記載する専門性とは、自分がそこに特化していると思われたい分野のことです。ただし、本当は未経験なのに、さも専門家であるかのように振る舞うと、信用を失うことになります。私が言いたいのは、「必ずしも “得意”な分野である必要はない」ということです。客観的に見て「その道のプロ」と思われるレベルであれば、堂々とそれを記載しようということです。日本人の遠慮がちな気質から「私はこの仕事を10年もやってきたけど、まだまだ専門家とは言えない」などと考える人がたくさんいると思いますが、客観的に見たら、10年も同じことをしていれば十分専門家です。表に挙げた項目に該当するものがあれば、胸を貼って「専門分野」と言い切ってもよいと思いますので、一度自分のスキルを棚卸してみましょう。

(4)自分の活動内容を考える

 専門性は通常、自分の職業に関することになりますが、ここで言う「活動内容」とは、仕事の後や休日などのオフタイムにおける主な過ごし方です。

 そうした活動内容は、大きく二つに分けられます。1つは、純粋に自分の趣味や交友関係を広げるために、興味のある話題を書くことです。例えば「趣味は映画鑑賞」とか、「カラオケが好き!」といった具合に記載します。こういったことを書けば友人を作りやすくなるでしょう。

 もう1つは、遊びとはやや趣の異なる活動です。例えばボランティア活動やNPOに参加しているとか、社外の勉強会やコミュニティを主催しているなどです。ちょっとしたサークル的な活動を書くと考えれば、イメージしやすいでしょう。そうしたことを書けば、「仲間」を増やすことができたり、その会やサークルのイメージがあなたのブランディングに役立ったりします。

 どちらの活動内容を書いても、印象を柔らげ、親しみやすくするという効果があるので、簡単でも構いませんから何か書いておきましょう。

(5)発言内容を考える

 あらかじめ発言内容を考えて、自分のプロフィールの中で宣言するというのは、見た人にアピールするためというよりも、自分に向けてルールを作ることだと考えてください。人間は不思議なもので、思っているだけという状態より、それを言葉にして人に見える所に書いておくと、「そういった行動をとらないといけない」と感じる生き物です。ですから、自分がどういった事柄をつぶやきたいと思っているのか、「愚痴は言わない」であったり、「人を勇気づけたい」だったり、あるいは有益な情報と雑談の比率などを考えて書いておくとよいでしょう。

(6)人間性について書く

 家族への想い、座右の銘、今までで一番感動した経験など、あなたの人間的な側面をストーリーにしてみましょう。ソーシャルメディアを使ったパーソナルブランディングでは、尊敬されることも大切ですが、愛され、親しまれることも同じように大切です。人間的な魅力の伝わる事柄を記載しておくことで、好意的に見てもらえるようになります。

(7)発言の責任の所在

 「ここでの発言は個人のものであり、所属企業や団体とは関係ありません」、こういった記述は必須ではありませんが、企業に所属している方には書いておくことをお薦めします。そうすれは、所属企業から安心してもらえるという効果があります。また、自分自身に対する心理的な効果として、「自立した責任ある発言をしよう」という意識が芽生えます。結果として、自分の発言の質が高まるのです。

 以上(1)から(7)の要素を盛り込んだプロフィールを記述しましょう。160文字に収めれば、そのままTwitterで使えます。160文字に凝縮したものをショートプロフィールとし、Facebookなど他のソーシャルメディアには、ショートバージョンに続けて、職務経歴などの補足的な内容を追記するとよいでしょう。

プロフィールを確認する

できあがったプロフィールを確認する
目標達成のためのターゲット市場が明確になっている はい いいえ
ターゲット市場が興味を持っているキーワードが明記している はい いいえ
ターゲット市場が興味を引く専門性をアピールできている はい いいえ
好感を持たれる人柄や、個人的な趣味嗜好を明記している はい いいえ
このプロフィールであれば、目標の期間内にターゲット市場でインフルエンサーになるという確信が持てる はい いいえ

 仕上げとして、作成したプロフィールが、自分の立てた目標の達成に向け、自分の能力をアピールするために、必要な内容が明記されているか確認します。

 「ここに書かれた内容どおりの専門性を発揮できれば、自分はインフルエンサーになれる」――。そう確信できる内容になるまで十分吟味して下さい。自分自身がそう信じることができないなら、誰からもあなたをインフルエンサーと思ってもらうことはできません。自分を強く信じることができれば、その想いは言葉となって現れ、言葉は行動に代わり、自分自身を成長させる原動力になるということも忘れないで下さい。

連載「ソーシャルブランディングの時代」について

 本連載は書籍『ソーシャルメディア実践の書』から抜粋したもの。人と人の“絆”を紡ぐソーシャルメディア――。個人が自力でネットデビューし活躍できるときがきました。本書では、Facebookページのファン数ランキングで国内4位(2011年2月)。の著者が秘けつを全部公開。Facebook、Twitter、Ustreamなどの使い方に止まらず、共感を呼ぶブログの書き方、ファンとの対話、日ごろの情報活動など、個人でできるブランディング活動のヒントがいっぱいです。



著者紹介:大元隆志(おおもと・たかし)

 「ITmedia オルタナティブ・ブログ」に執筆を続けるITジャーナリスト。SNSビジネスの論客として、NHK教育テレビ「ITホワイトボックス2」に出演。2011年2月時点で日本語Facebookページのファン数ランキング第4位。ソーシャルメディア関連のビジネス系イベントとしては最大級となる「SOCIAL CONFERENCE 2011」を主催するなど、精力的に活動中。IPv6普及・高度化推進協議会メンバー。MCPCシニアモバイルコンサルタント、米国PMI認定PMP(Project Management Professional)などの資格を所持。


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