エアコンをつけずに涼しく過ごす方法節電DIY(3/3 ページ)

» 2011年08月18日 18時30分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]
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風通しを良くするには

 次は風通しをよくすることを考えてみたい。基本は風を入れることと出すことの両方が必要ということだ。ワンルームの部屋で窓を開けても、勢いよく風が入ることはない。玄関などを空けて風を通す工夫が必要だ。

 筆者宅では玄関、東側の2つのバルコニーへ出るドアに網戸を付け、キッチンを含め全ての部屋に網戸を設置しているので、風のある日はそこそこ風通しはよくなっている。

 風の通り道も工夫すると涼しく過ごすことができる。例えば食事をするときはリビング・ダイニングから廊下へ抜ける部分のドアを開けると風は真っ直ぐ勢いよく抜けていく。昼間、筆者が一人で仕事をするときはこのドアを閉め仕事部屋と廊下のところの引き戸を開けると、風は迂回して仕事部屋を抜けていく。北風のときは廊下から仕事部屋に吹き込むようになる。

南風の場合、廊下のドアを開けると風は真っ直ぐ抜けていく
仕事中は廊下のドアを閉め、仕事部屋から廊下へ風が抜けるようにする

 2010年までは開けるか閉めるか2通りだったが、今年は巾着袋にタオルと梱包用のプチプチを入れ、ドア上部と天井の間に挟むことで少し開けた位置でドアを固定できるようにした。こうすることで、風の一部は仕事部屋を抜け、一部は斜めのドアで向きを変えカウンターキッチンを通るようになった。ドアを押し引きすれば巾着袋が外れ、ドアはどちら側からも普通に使用できる。

ドアの上部に巾着袋は挟んで固定した。開閉時に外れた巾着袋は突っ張り棒につり下がって止まる
北風は斜めにカウンターキッチンに吹き込む
南風は仕事部屋(写真の奥側)から廊下へ抜けていく

 キッチンの室温を下げることは冷蔵庫の節電につながる。元々コンロ、電子レンジ、冷蔵庫と熱を出すものが多いので風を通すことで熱がこもらないようにした。

 南風が強いときはキッチンにも風は入ってくるが、風が弱いと廊下を抜けるだけでキッチンは熱がこもる。南風微風のときにキッチンに効率よく風を送り込むための対策を考えてみた。廊下の上部に湾曲させたボードを取り付け、受け止めた微風をキッチンに一気にと流し込む仕組みだ。

 ところが苦労して製作、設置をしたのにキッチンには微風が入る程度期待した効果は得られずガッカリである。材料代は数百円だったが、構想数日、制作に2時間もかけたのに……。現在は風の動きを観察中。改良するか撤去するか検討中だ。

素材は引っ越し時にエレベーターなどにはる養生シート。3×6尺で200円程度と安い。上部の微風を集めてキッチンに流し込む構想だった。関係ないが天井のケーブルはLAN、プロジェクターの電源、サラウンドスピーカー、アンテナ線など
風を下に流す三角フィンや下端の風を逃がさないフィンなど工夫はしたが企画倒れ。小さな四角穴は強風時の風抜き穴

 同じく失敗例としては、昨年実施した網戸へ霧吹きで水を吹き掛け気温を下げる作業は、実測してみたらほとんど効果がなかったので、今年は見送ることにした。

扇風機のピークシフトも可能

 部屋に風を通し、ある程度涼しくなったら扇風機の出番だ。エアコンに比べ圧倒的に消費電力の少ないと言われる扇風機を実際に計測してみた。1人1台使用している4台の扇風機の消費電力は以下の通りだ。

扇風機 風力 消費電力
扇風機1 22ワット
31ワット
45ワット
扇風機2 32ワット
39ワット
48ワット
扇風機3 32ワット
37ワット
47ワット
扇風機4 33ワット
41ワット
47ワット

 エアコンの消費電力がピーク時に1200ワット近く、安定時でも1600ワットになるのと比べると大きな節電につながることが分かる。筆者が使用時間がもっとも多いので、消費電力が弱で22ワットと少ない扇風機を使用している。

 筆者宅にはもう1台、メーカーから借りている充電式の扇風機がある。このフォースメディアの充電式扇風機はリビング扇風機としては珍しく、台座にバッテリーを搭載し、コードレスで使用できる扇風機だ。家庭用としてはかなり背が高く、風量も弱にしてもかなり強めで日本の家庭用としては使いにくい製品だが、停電しても使用できるし、オフィスで使用するなら大きさや風の強さも気にならないと思われるので、夜間充電、昼間はバッテリー駆動にすればピークシフトに役立つ。

 普段は使用していないが、風のない日に出番がやってくる。コードレスなので、バルコニーに設置して、網戸越しに外気を強制的に室内に送り込むのに役立っている。沖縄出身の知人は「沖縄は台風で停電が多いから充電式はうれしい」と言っていた。フル充電で弱なら6時間の連続稼働ができるので、オフィスや停電が多い地域なら役立つシーンは多いだろう。

充電式扇風機で外気を室内に取り込む。ワイヤレスなので設置場所の自由度が高い。写真は昼間だが、気温の下がった夜に使用すると効果大

電気料金は25%の削減!

 住宅環境はそれぞれなので、防犯のため窓が開けられないとか個々の事情はあるだろう。可能であれば日差しを遮り、風を通すことで部屋を涼しくし、節電をつなげていただきたい。

 2011年7月分の電気料金のお知らせが来たので2010年と比較してみよう。昨年は487キロワットアワーだったが、今年は366キロワットアワーと約25%の削減となった。節電前の2009年は664キロワットアワーなので、約45%の削減だ。

 7月後半が涼しかったことも大きいが、冷蔵庫の水冷を改良した効果がかなりあると思っている。家を涼しくする工夫もあって、たまに使っていたリビングのエアコンを全く使用しなくなったことも節電につながっている。電気代は一昨年の1万5131円から8598円と6500円ほと安くなった。

 ピークシフトを重視する人、脱原発を希望する人、電気代を安くしたい人など節電の目的は人それぞれだが、無駄なものを省くことは悪いことではないので、節電の参考にしていただきたい。

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