まだまだ暑い! 今さらだけどUSB扇風機4機種+1を比較した節電DIY(2/2 ページ)

» 2011年08月25日 12時20分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]
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節電コラム:USB扇風機、誕生秘話

 世界初のUSB扇風機は2001年7月2日、中林國明氏と筆者の2人でスタートしたイーレッツが発売した(Wikipediaにも「一般に登場した最初のUSB扇風機は、2001年にイーレッツ株式会社から発売された卓上扇風機とされる」とある)。

 2001年春に開業したイーレッツ最初の製品はUSBで携帯電話が充電できる「充電一直線」。今ではUSBを電源として使うことは当たり前になっているが、当時はUSBから携帯が充電だけできるケーブルは存在していなかった。携帯充電用のACアダプターをオフィス用に買うと3000〜4000円もしたので、今では100円ショップで売られているUSB携帯充電ケーブルが1200円で数万本も売れる時代だった。


初代USB扇風機「涼風一直線」

 USB扇風機を製品化するきっかけは、充電一直線が話題になったときに「AKIBA PC Hotline!」の石橋文健編集長から言われた「奥川さん、USBの扇風機作ってよ」の一言だ。東急ハンズにある電池式の扇風機を全種類買って、USBの規格で動くように抵抗を入れて改造、耐久テストを行った。モーターのブラシが焼き切れ数時間しかもたないものもあったが、数日連続稼働できる機種を選択、販売元に生産国での改造を依頼したが相手にされなかった。仕方なく販売元から既製品を大量に購入し、改造の手順書を自分で作成し名古屋市内の工場に作業を依頼し発売した。

 発売するとPC業界では大きな話題となり、海外のニュースサイトも記事を掲載した。当時はUSBの電源だけ使うこと事態がオキテ破りという風潮もあり「キワモノ」「ネタ」の扱いだったが、発売時のリリースに「企業等でも、必要な人だけUSB扇風機を使用することで冷房の設定を高くすることが可能となり、省エネの実現により世界的環境改善に貢献いたします」と書いたように、筆者自身は実用性のある製品と思っていた。そのリリースには「千代田区三番町にお勤めの石橋様の提案により製品化」とも記載した。

 2004年にはUSB専用に製品化された扇風機が中国製で入手できるようになり、扇風機とLEDライトが切り替えできる「風光迷微」、2005年にはモーターの回転数をアップした「風光迷微2」、2006年には電池ボックスを付属しPCなしで使用できる「風光迷微3」を発売した。初期モデルと比べ実用性、品質、耐久性、完成度も向上。くだけたパッケージも話題となり、販売台数は大幅に増えたのである。


「風光迷微2」。オプションで毎分1万回転のモーターも用意した。パッケージデータの撮影、デザイン、テキストと全て1人で制作。品川スタイルの意味が一部ネット上で話題に

 このころには他社も参入を開始、今ではメーカーも増えPCショップ、家電量販店だけでなくホームセンターなどでも販売されるようになった。キワモノと言われた時代から10年、その実用性が認められたことを筆者はうれしく思っている。

イーレッツ「風光迷微2」(当時1600円前後)

 最後はおまけ。筆者が2005年に発売した風光迷微2を紹介しよう。ケーブル部分にロゴが入っていないので、評価段階のサンプル品だろう。モーター部に10000rpmと記載しているのは、オプション販売した強化モーターに変更しているからだ。

 折りたたむとコンパクトに収納でき、先端部はLEDライトに交換できる。スイッチはケーブルの中間にあり、風力の調整はできない。羽は布製で直径が小さいことと、回転数が標準品より高いので今回紹介する製品では一番耳障りな音がする。風速計の数値は大きいが、羽が小さいせいか風量がやや少ない印象だ。


風の強さ 風速(メートル毎秒) 騒音(dB)
風力一定 2.7 51

 数台のUSB扇風機を比較した印象は、どれも実用性は充分あると再認識した。企業によっては節電のためUSB扇風機を使用禁止にしたという噂を耳にしたが、USB扇風機の消費電力はUSBの規格で最大2.5ワット。実際には駆動開始時に突入電流が流れることを考慮して2ワット以下になっていると思われる。リビング用の扇風機と比較しても10分の1以下なので極めて省エネだ。バッテリー駆動中のノートPCにつなぐと、PCの駆動時間が短くなるので、USBハブやAC−USB変換アダプターを使用すればPCの電力を使わないで稼働させることも可能だ。

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