キヤノンの新ドキュメントスキャナ「DR-C125」はScanSnapを越えたか?(後編)脱ガンジガラメの働き方(3/4 ページ)

» 2011年09月01日 15時25分 公開
[山口真弘,Business Media 誠]
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オプションの使い勝手をチェックする

 本製品にはScanSnapにないオプションをいくつか搭載しており、その多くは「詳細設定ダイアログボックス」で設定することができる。特筆すべき機能を順に見ていこう。

プレスキャン

 画面上に表示した1枚目のスキャン結果をみながら明るさやコントラストを調整し、その後残りの原稿を読み取るという機能。画像処理ソフトほどの細かい補正ができるわけではないが、画像処理ソフトを使わずに手っ取り早く補正するには有用な機能だ。

 ちなみに本製品にはガンマ補正機能も搭載しているが、このプレスキャンにおいてはどうやら利用できないようだ。今後ますますの拡充を期待したい機能だ。

プレスキャンは「その他」タブ内に用意
明るさやコントラストを調整したのち、2枚目以降のスキャンを行うという流れ。フラットベッドスキャナではおなじみだ
ガンマ補正機能も搭載しているがプレスキャンでは利用できない。またプレビューをみながら補正できないので使い勝手もいまいち

カラードロップアウト・裏写り/地色除去

 どちらも原稿から特定の色を除去する機能。両者の違いが分かりづらいのがだ、カラードロップアウトは赤/緑/青といった特定の色を除去するモードで、白黒モードの場合などに利用できる。週刊漫画誌など、色のついた用紙に黒いインクで文字や絵柄が書かれている場合に背景色だけを飛ばす、いわゆる「美白化」に役立つ。

 もう1つの裏写り/地色除去は、カラー原稿において裏写りを除去するためのモードで、背景が透けている両面印刷のような場合に役立つ。写真を含む原稿をスキャンすると、全体的に白飛びを起こしたようになってしまうので要注意だ。さきに紹介したプレスキャンを有効にして1枚目を読み取り、明るさやコントラストを手動で調節したほうがよいだろう。

 ちなみに今回は試していないが、カラーモードの中にある「アドバンストテキストエンハンスメント」という選択肢も地色の除去に役立つとのことで、うれしい反面やや分かりづらい感はある。原稿の種類によって効果があるものとないものがあると思われるので、いろいろと試してみるとよいだろう。

カラードロップアウト・裏写り/地色除去ともに「画像処理」タブ内に用意
黄色い紙に印刷したテキスト原稿を、ふつうにスキャンしたのがこれ
同じ原稿を、裏写り/地色除去をオンにしてスキャン。背景を白く飛ばすことができたが、全体的に白くなってしまった
今度はカラードロップアウトをオンにしてスキャン。今回はこちらのほうが目的に合致していたようだ

モアレ除去

モアレ除去は「画像処理」タブ内に

 印刷物におけるモアレを除去するモード。写真やスクリーントーンなど網点を含む原稿をスキャンする場合に便利に使える。ただし読み取り時間が極端に長くなるので、ページ数の多い原稿でこれをオンにすると、終了まで相当待たされることになる。必要なページだけオンにするといった運用レベルの工夫が必要になりそうだ。ちなみに解像度が300dpi以下の時だけ利用できる。


モアレ除去なし(左)と、モアレ除去あり(右)。この例では少々分かりづらいかもしれないが、左の画像にあったモアレが右ではほぼなくなっている

画像回転機能

画像回転機能は「その他」タブ内に用意。「裏面を+180度回転する」という、自炊ユーザーならニヤッとするオプションも

 原稿の向きを90度、180度、270度と一律な角度で回転させる機能。文字の向きに応じて原稿を自動的に回転させる「自動回転機能」とは異なり、全ページを指定の角度で回転するというもの。自炊において本を横向き、つまり短いほうの辺を先頭にして読み取って一律90度で回転させることにより、縦向きで読み取る場合に比べて所要時間を短縮できる。ScanSnapのネットワーク対応モデルやエプソンのES-D200などには搭載しており、自炊ユーザーにとってありがたい機能だ。

 ただ実際に使って気になったのは、どうやらこの画像回転機能を使うと「傾き補正」がオフになるらしいことだ。チェックボックスが無効になっているわけではないのだが、縦のまま読み取ったデータと、横で読み取って90度回転させたデータを比較すると、明らかに後者のほうが傾いている。なんらかの改善を期待したいところだ。


縦のまま読み取ったデータ(左)と、横で読み取って90度回転させたデータ(右)。横で読み取ったほうが辺が短いことから読み取り時間は短くて済むのだが、明らかに傾いているのが難点

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