「すべてを記憶する」の次の100年を作るヒントとは?Evernote Trunk Conference(2/3 ページ)

» 2011年09月02日 12時50分 公開
[松村太郎,Business Media 誠]

日本のマーケティングは“第三世代”

ガイ・カワサキ氏

 「いかに次のレベルに会社が成長するか」というトークセッションでは、シリコンバレーでも著名なAppleのエバンジェリストを務め、近著に『エンハンスメント』があるガイ・カワサキ氏、エンジェル投資家のティム・フェリス氏、PayPalのCFOを努め現在セコイヤ・キャピタルのベンチャーキャピタリストとして知られるローロフ・ボタ氏の3人が登場。シリコンバレーの大物3人も、Evernoteを思い思いの方法で使っている様子を披露した。

 カワサキ氏の「どんな企業に投資するのか」という質問に対し、フェリース氏は「毎日使っているものに投資する」、ボーサ氏も「ベニヤ板ではなく、エッセンスがある企業」とそれぞれ回答。確かにEvernoteには派手さはないかもしれない。しかし確実に毎日使い続け、Evernoteが設計した通りの生活の中でのメリットを毎日確実に感じることができる。そういった日常に根ざしたクラウドプラットホームになっている点が、彼らの心をつかんでいるのではないだろうか。

 もう1つのトークセッションでは、Evernote第2の市場である日本の現状について、日経BPの在米記者であるフィル・キース氏をコーディネーターに、慶應義塾大学メディアデザイン大学院教授の古川亨氏、NTTドコモの山下哲也氏、そしてEvernoteのリービンCEOによるセッションが展開された。

 印象的だったのは「海外企業が日本で展開するフェイズが変わった」という古川氏の指摘。1986年からの日本のマイクロソフト立ち上げの経験とEvernoteを照らし合わせる。これまではカリスマ的なカントリーマネージャーが指揮を執って日本展開を推し進めてきたが、Evernoteの事例はそうではなく、よりコンシューマーに近いインフルエンサーやジャーナリストにファンになってもらって、一緒に市場を作って行くことの必要性を強調した。

 Evernote関連書籍の出版数は28冊と世界一。ユーザー数は世界第2位。NTTドコモなどとの連携も何よりの結果と言えるだろう。単なるローカライズを第一世代、カリスマカントリーマネージャーを第二世代とすれば、Evernoteの方法は第三世代と数えることができる。これは日本のベンチャー企業が海外に展開する際にも同様に活用することができるモデルとなるかもしれない。

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