ビジネスホテルでの短期滞在という「準ノマドワーク」(データストレージ編)脱ガンジガラメの働き方(2/3 ページ)

» 2011年09月02日 15時00分 公開
[山口真弘Business Media 誠]

Dropbox内のテキストファイルをiPhoneから書き替えられる「Textforce」

 Dropboxに関連して、モバイル寄りのツールも1つ紹介しておこう。

 筆者の場合、書きかけの原稿データをすべてDropboxに入れていることもあり、外出先でそれらに追記したり、あるいは新規に作成したいことがある。しかしDropboxの純正アプリだと、テキストの閲覧はできても加筆修正はできない。

 こうした場合は、iPhoneからDropbox内のファイルの修正が行えるアプリを使うと便利だ。筆者が愛用しているのは有料アプリの「Textforce」(450円)で、Dropboxのアカウントを入力することにより、iPhoneからDropbox内のテキストファイルを開き、加筆修正を行うことができる。ちなみにこの記事も、大半はこの「Textforce」を使ってiPhoneで書いたものだ。


iPhone用の有料アプリ「Textforce」(450円)。無料アプリもいくつか試したのだが、いずれも文字コードの解釈などに難があり、結局このアプリに落ち着いた。フォルダ間の移動も簡単だ。ファイル名をタップするとローカルにキャッシュして開く

エディタ画面。iPhone上でメールを書くのと変わらない使い勝手でサクサク入力できる。アンドゥ(やり直し)にも対応するのが便利。ファイルのソート方法として、更新日によるソートにも対応しているので、ついさっき書いていたテキストに追記する場合にも探しやすい

 唯一ネックだったDropbox内のファイルのソート順序も、先日のバージョンアップでファイル名のほか更新日でも並び替えられるようになり、使い勝手は大幅に向上した。たまにおすすめを聞かれることがあるので、ここで改めて紹介しておきたい。

利用頻度の低いデータはNASのリモートアクセス機能と「Pogoplug」でアクセス

 さて、仕事で使うデータの中には、もう二度と使わないだろうと思っていたにもかかわらず、ある日いきなり必要になるものがある。筆者の例でいうと、編集前の高解像度写真が書籍化にあたって必要になったり、過去のプレゼン資料をもとに新しい資料を作成したりといった類のものだ。

 筆者の場合、こうしたデータはDVDなどにバックアップするのではなく、ひとまずNASに突っ込んでおくようにしている。こうしておけばいざという時もすばやくファイルにアクセスできるわけだが、では外出先からこれらのファイルにアクセスしたい場合はどうするか。方法はいくつか考えられるが、筆者が使っているのはNASに標準装備されているリモートアクセス機能を使う方法だ。

 昨今の多くのNASに搭載されているリモートアクセス機能は、自宅やオフィスに設置したNAS内のデータを、外出先から参照できるという機能だ。仕組みとしては、ダイナミックDNSをNASに登録しておくことで、IPアドレスが書き替わっても外出先からアクセスできるようになっている。データは暗号化できるほか、パスワード制限もかかっているので、最低限のセキュリティも保てる。

 バッファローのNASに搭載されているWebアクセス機能の場合、操作はすべてブラウザ上で行うが、エクスプローラに近い画面設計で分かりやすい。画面上での参照はもちろん、指定のフォルダやファイルをまとめてローカルPCにダウンロードすることもできるが、フォルダごとダウンロードする際はきちんとZIP圧縮をしてくれたりと、なかなか気が利いている。


(左)NASはバッファローの「TeraStation」(TS-XL/R5シリーズ、中央)を中心に運用。左右にある別のNASはプライベートなデータや自炊本の保存用で、リモートアクセスをオンにしているのは仕事用のデータを保存している中央のNASのみ。(右)リモートアクセス機能(同社製品での名称はWebアクセス機能)の設定画面。ダイナミックDNSを用いてアクセスする

ブラウザからアクセスしたところ。エクスプローラに近い画面で目的のファイルをスムーズに探せる。この画面ではサムネイル表示にしているが、リスト表示も可能。フォルダを指定してダウンロードを選択すると、ZIPファイルに圧縮した上でダウンロードできる

 ネットを中心に昨今よく話題になる「Pogoplug」という製品も、これらリモートアクセス機能を柱とした製品で、外出先からローカルデータへのアクセスを容易にしてくれる。ハードウェアタイプの製品であれば、本体に接続したUSBHDDを外出先から手軽に参照できるようにしてくれるし、ソフトウェアタイプであればPCにインストールすることで、PCのドライブを外出先から参照できるようにしてくれる。

 とくに後者、ソフトウェアタイプは無償で利用できるので、NASを持っていない場合、こちらを使うのもありだろう。当然だが、PCを常時起動しておかなくてはいけない。ハードウェアタイプの製品に比べると消費電力などの面で一長一短ではある。

Pogoplugのサイト。Windows/Mac OS/Linuxで使えるクライアントソフトのほか、iPhoneやAndroidからアクセスできるアプリを提供。右はWindows用クライアントソフトの設定画面。リモートでアクセスできるフォルダを指定できる

ブラウザからアクセスしたところ。エクスプローラに近い画面で目的のファイルをスムーズに探せるのは先のNASのリモートアクセスと同様だが、どちらかというとメディアファイルの利用を前提としたデザインであるように感じる。iPhoneからのアクセスも可能

 ただしこのPogoplugを筆者は、いまのところ予備という形でしか利用していない。すでに前述のNASが自宅にあるためわざわざ使う必要がないのがその理由だが、これまで何度か試した限りでは、NASのWebアクセス機能に比べると接続がやや不安定であることが主な理由だ。最近ではPogoplug機能を搭載したルータも登場したようなので、引き続き注目はしていきたいと思っている。

 ちなみにNASのリモートアクセス機能については、メーカーや製品によって大きな差があるので気をつけたほうがいい。具体的には、メディアファイルの再生にのみ特化していて、ドキュメントファイルの表示ができない製品があったりする。こうした製品はプライベートユースが中心で、業務利用には適していない。購入に当たっては十分に注意したい。

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