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» 2011年11月10日 15時30分 UPDATE

Thinking Power Projectリポート:ロディアやモレスキンばかりじゃつまらない、「自分専用のツバメノート」を目指したTPN (1/3)

ロディアやモレスキンとはまた異なる、大人の為のノートがほしい――ある一通のメールから始まったノート開発プロジェクト、その誕生秘話とは?

[上口翔子,Business Media 誠]
sk_tsu00.jpg ツバメノートの別製「Thinking Power Notebook」

 ツバメノートというノートをご存じだろうか。浅草の職人さんが1947年(昭和22年)からほぼ変わらない製法で作り続けているノートで、1冊150円からの大学ノートなどが有名だ。販売店での個別売りのほか、3000冊からの別製(オリジナル製作)を請け負っており(既存ノートにロゴ入れるのみの場合は100冊からも可能)過去にはフランスのファッションブランド「アニエス・ベー」のノートなども手掛けている。

 ツバメノートの魅力は、主材料である紙にとことんこだわっている点。「ツバメ中性紙フールス」と呼ぶ独自開発した筆記用紙を使用しており、表面がデコボコしていない、インクがにじまないなど、とにかく書きやすさを追求している。

 そんなツバメノートに惹かれて作られた別製ノートが国内にも幾つかある。その1つが今回紹介する「Thinking Power Notebook」だ。このノートは、国立大学法人富山大学芸術文化学部の竹村譲教授、アスキー総研の遠藤諭所長、リュウドの長澤社長が中心となって立ち上げ、その後イラストレーターとデザイナーを加えた5人で2008年に発足したプロジェクト「Thinking Power Project」がプロデュースしているもので、これまでに10以上のノートや関連グッズを販売している(販売は発起人の1人が代表と務めるリュウドが担当)。

sk_tsu01.jpg Thinking Power Factoryの会場は、東京・雑司が谷にある「ギャラリー・シャコ」。東京音楽大学のすぐそばで、JR池袋駅から徒歩15分ほどの場所に位置する

 そんなThinking Power Projectも誕生3周年。記念イベント&作品展「Thinking Power Factory」を10月下旬に開催したので、筆者も行ってみた。

 イベントは大きく4部構成で成り、文房具に関することを紹介するWebサイト「ステーショナリープログラム」の主宰などを務める和田哲哉さんが司会を務めた。和田さんは2003年の著作「文房具を楽しく使う」でツバメノートを取材しており、本イベントの企画者の1人でもある。



コクヨ、ぺんてるとツバメノートの違い

sk_tsu000.jpg 和田さんと渡邉常務

 トップバッターは、ツバメノートの渡邉常務による「今なお受け継がれるツバメノート創業者の精神」に関する話。同社は昭和11年に創業した老舗の企業で、ツバメノートの販売を開始した昭和22年までは文房具の卸業を行っていた。同時期に文房具を扱っていた企業としては、コクヨやぺんてるなどがある。

sk_tsu02b.jpg 渡邉常務

 創業者・渡邉初三郎さんの孫に当たる渡邉常務は、創業当時のエピソードについて次のように語った。

 「今でこそ高品質といわれる日本のノートだが、当時(終戦後)の日本にはそうしたいいノートがなかった。中でも悪かったのが紙の質。創業者は世界に誇れる、日本の文化を担う最高級のノートを作りたいという思いがあった。だからツバメノートは専用の紙(ツバメ中性紙フールス)を作るところから始めた。とにかく高品質のノートを作りたい。その心意気は現在のツバメノートも受け継いでいる」

 紙の見栄えをよくするには、蛍光染料を混ぜて白くするという方法もあった。しかし創業者は光が乱反射して目によくないとして却下。厚さにもこだわり、表面を平らにするために最終調整まで何度も何度も改良を重ねた。「同時期に起業したコクヨが後に大企業に成長した企業家だとすれば、ツバメノートは匠だった」と渡邉常務は言う。

sk_tsu03.jpg ツバメノート(同社Webサイトより)。ノートには初三郎さんのイニシャルである「W」や「H」を印刷している。「私が作ったノートを皆さん使ってください。世界に負けない、外に出してもはずかしくないノートです」という自信あふれるメッセージが込められているという

 本社を東京・浅草橋に置くツバメノート。ノートを作る過程では地域の職人さん複数人の手が加わっており、その人でなければ作れないものなど、まさに職人技といえる製造方法を取っている。

 ツバメノートという社名は、創業当時に走っていた列車「特急つばめ」にちなみ、「特急列車のように日本を駆け巡ってくれたら」という願いを込めて創業者夫婦が命名した。ロゴマークは、創業者が浅草を散歩している時に目に入ったアサヒビールのマークを参考にしている。当初は波の絵も入っていたが、シンプルにするため現在では省略している。

sk_tsu04.jpg 昭和30年代、商品を自動車で運ぶときに脇に付けた旗。当時、ぺんてるなども同じように付けて商売をしていたという

 別製のノートを引き受ける条件は、ツバメノートの良さを残すノートであること。1、2年で終わるのではなく、数年にわたってロングラン商品となるものを心掛けているという。今年3周年を迎えたThinking Power Notebookもその1つだ。

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