ロディアやモレスキンばかりじゃつまらない、「自分専用のツバメノート」を目指したTPNThinking Power Projectリポート(2/3 ページ)

» 2011年11月10日 15時30分 公開
[上口翔子Business Media 誠]

ツバメノートの職人に支えられて

リュウド長澤社長

 ツバメノートの渡邉常務に続いて登場したのは、Thinking Power Notebookの販売を担当するリュウドの長澤久吉社長。長澤社長は、Thinking Power Project発起人の1人でもある。

 リュウドはもともと、PC向けのパーツなどを扱う企業だ。長澤社長も実は根っからの文房具好きというわけではなく、社会人になってからノートなどにこだわりを持つようになったのだという。

 「ノートを使い始めたのは個人情報保護法がきっかけだった。外出先でむやみにノートPCを開けなくなり、打ち合わせなどのメモ書きでノートを活用し始めた。そうして気が付いたら文具マニアになっていた」

 Thinking Power Noteをプロデュースする上で長澤社長がこだわったのが、切り取りができることだった。これまで発売したThinking Power Noteは全シリーズが1ページごとに切り取りできる。

 数あるシリーズの中でも苦労したのは、フリスクサイズのノート「Night&Day Dimple」だった。ツバメノートの設備で作れる最小のノートは名刺サイズまで(幅5センチほど)。そこで、Night&Day Dimpleは横約10×縦約7センチの大きさで作ったノートを5つに断裁するという方法を取っている。だが実はこのやり方は最初、サイズが小さい故に断裁の際に窪みができたり斜めに切れてしまうなどの理由から、無理があると職人さんに却下されていた。長澤社長は実現するまでに10回ほど工場に通い、その間、職人さんの職人技による改善もあり、何とか今の製法で了解を得たという。

「Night and Day」。10種類そろえると1つのイラストになる仕掛け。製品名にdimple(えくぼ)を入れているのは、サイズが小さいゆえにできてしまう、微かなくぼみがえくぼのようなだからという意味が込められている

 Night&Day Dimpleの件に限らず、長澤社長は製品開発の過程で何度も職人さんとやり取りを交わしてきた。中でも印象に残っているエピソードとして、長澤社長は次のように述べている。

 「ツバメノートの下請けの社長さんに、以前渡邉専務と一緒に伺った時のこと。次回のThinking Power Noteの構想案を見た社長さんに『こんなのできないといっただろー!』と怒鳴られたことがあった。しかし次回また伺うと、既に試作を幾つか作っていて見せてくれた。最初は下請けの人が親会社の件に怒鳴りつけるなんてと思ったが、いろいろ親身になって考えてくれていた。もしあの時私が20代で無職だったら『弟子にしてください!』といいたくなるほど感動した」

 和田さんによると、永田さんの場合は最初は断られるが次に打ち合わせに行くと必ず職人さんがサンプルを作っているパターンが多いという。

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