説明書は分かりやすければいいってもんじゃあない説明書を書く悩み解決相談室(2/2 ページ)

» 2011年11月24日 10時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]
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開米 分かったつもりは怖いですよね。

土門 怖いですよホント。

開米 確かに僕が作った改善案は、その心配があります。論旨明快で整然と書いてあるから理解しやすく覚えやすい作りなんですけど、その分、分かったつもりになりやすいです。さて、どうしましょうかね……。

 と、こんな経緯を経て土門さんと私は議論を重ね、分かりにくいテキストを作ることにしました(笑)。

 説明書と言ってもいろいろな用途があります。土門さんがこのとき必要としていたのは「免許の壁」用のもので、実は「分かりやすすぎてはいけない」ものでした。一度アタマをぐちゃぐちゃにしてもらう必要があるため、混乱するぐらいがちょうどよかったわけです。

 私が当初作ったキレイな案は、そうした混乱状態を乗り越えて、理解度「高」にたどりついた人にとっては、「これこれ、この通りだよ!!」と腑に落ちるものでしたが、キレイに整理されすぎていて、これから混乱状態に入ってほしい人には向かないものだったわけですね。

 そんなわけで、説明書というのは分かりやすければいいってもんじゃあないのです。プレゼン用なのか教育用なのか、教育用の中でもどんな壁を乗り越えてもらうために使う資料なのか、諸条件を見極めて調整していかなければいけないのですね。

 当連載では「分かりにくい説明書を改善したい」というご相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。

 なお、当記事についてのご意見ご感想ご質問などは「twitter:@kaimai_mizuhiro」宛でも受け付けております。中には記事では書ききれない情報もあります。物足りなく思った時はぜひ @kaimai_mizuhiro宛に質問を飛ばしてみてください。

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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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