スマホの充電90回分! 重さ15キロのモンスターバッテリーで停電に備えよ防災・防犯ラボ(1/2 ページ)

今夏経験した節電の苦労。電気の使用量を意識するようになってつくづく思うのは「電気ナシでは、もはや生活が成り立たない」ことです。そんな中、廉価かつ大容量の蓄電池を発売するというニュースを見かけました。

» 2011年12月07日 11時00分 公開

 こんにちは、防災・防犯ラボの主任研究員・ナカヤマです。節電を余儀なくされた2011年の夏は「自宅のエアコンを一度も使わない」と決心して、さほど苦労せずに夏を乗り切れました。節電ムードも一段落したような気がしますが、冬場も引き続きエアコンは使わず、厚着で冬を越そうと思います。

 電気の使用量を意識するようになってつくづく思うのは「電気ナシでは、もはや生活が成り立たない」ということ。連絡手段(携帯、スマートフォン)、仕事道具(PC)、家電(冷蔵庫、電子レンジ)といったあらゆる面で打撃を受けてしまいます。

 節電を心掛けることはできても、突然やってくる(計画)停電に備える手だてはない……。そう困っていたところ、廉価かつ大容量の蓄電池が発売されるというニュースを見かけました。

スマートフォンなら90回フル充電が可能!

 製品名は「停電の見張り番 BLACKOUT GUARD」(以下、BLACKOUT GUARD)。作ったのはセンチュリーという会社で、どんなモノなのか、オフィスを訪問して見学させてもらいました。

 BLACKOUT GUARDは、一言で説明すると「600ワットまでの家庭用電化製品などに対応した非常用電源装置」です。一般家庭にもある普通のACコンセント(交流電源)につないで充電し、有事に備えて保管しておけます。貯めた電池はACコンセントはもちろん、モバイル機器にも対応するようUSBポートを備えていました。さらに災害対応用にAM、FMラジオとLEDも搭載しています。


停電の見張り番「BLACKOUT GUARD」

 本体サイズ48.2×15.3×29.25センチ(幅×高さ×奥行き)、重量15キロ。外観は、迫力あるたたずまいをしています。持ち上げてみた感想「おお、けっこう重い」という感じ。持っての移動は少し難しそうでした。中に缶コーヒー程の大きさの電池を20本配列していて、ほとんどがその重さです。

 装備からして大容量といった印象を受けます。600ワット以内の電化製品になら何にでも使えます。例えば、冷蔵庫(200ワット)で20時間、32型液晶テレビ(150ワット)で7時間半、ノートPCや扇風機(共に50ワット)で20時間もちます。スマートフォンなら90回フル充電できますよ(※カッコ内のワット数は一般的な数値です)。

 気になる充電時間ですが、空の状態からフル充電した場合で30時間。1日とちょっとコンセントに刺しておけばいいわけですね。自然放電は1カ月で3%です。半年放置すると18%減る計算なので、センチュリーでは半年に一度フル充電することを推奨しています。

気になるお値段は……?

 実はBLACKOUT GUARDはまだ発売前のものでして、発売予定日は2012年1月。価格は未定ですが、10万円を切る予定とのことです。従来の蓄電池の価格帯は30〜80万円でしたから、10万円を切るのはかなりのインパクトです。個人が気軽に買える値段ではないですが、手が届かなくはないですね。

 ただ、個人的には携帯電話とスマートフォンの電源確保用にサイズと容量、そして価格が3分の1くらいのものがほしいところ。センチュリーでは、いざというときに使えるパーソナルタイプの販売も将来的には予定しているそうなので期待しています。

電気自動車にも使われている、リン酸鉄リチウム電池を採用

 何でも使えそうなBLACKOUT GUARDですが、制限もあります。それは電力を使う製品の定格ワット数が600ワットを越えないこと。大抵の家電であればほぼ問題なく使えますが、製品の裏や横に記載されたワット数を使用前に確認してくださいとのことでした。コンビニにあるような大きめの電子レンジは1000ワットを越える場合もあるので使えません。もし誤って600ワット以上の製品につないでスイッチを入れても、作動しない仕組みになっていますので故障しません。

 BLACKOUT GUARDの電池は携帯電話やPCにも使われているリチウムイオン電池。発火や爆発の危険性が少なく、電気自動車にも使われている安全なリン酸鉄リチウム電池を採用しています。

自治体、法人、キャンピングカー……多彩な用途

 用途としては、法人や自治体での緊急電源の確保がメインです。自治体は災害時に緊急対策本部を作りますので、その本部の機能を果たすには、PCや電話用の電源確保は必須。法人の場合は、サーバ用電源に加えて店頭のレジを動かす用、コールセンター、建築現場の照明用など、幅広い用途が想定されています。

 その他、熱帯魚などを扱うペットショップからの問い合わせや、自宅医療での医療機器用電力として使う、キャンピングカーに積んでおきたい、町のお祭りやイベントで使いたい、といった要望があるようです。

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