「俺のこと?」と注意を引いてから話をしよう説明書を書く悩み解決相談室(2/2 ページ)

» 2012年01月11日 11時00分 公開
[開米瑞浩,Business Media 誠]
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 そしていろいろと話をしながら考え、項目分けをしてみた結果がこれです。

「働き過ぎ」てはいませんか?

半沢 うん、これなら……注意引けますね。「あ、あるある」って。

開米 これなら本人じゃなくて周囲の人にも分かりますから、本人が気が付かなくても周りから言ってくれることも期待できるかもしれませんね。

半沢 そうですね、ええ。そして、動機付けをしてから、手順を案内すると。

開米 人が行動を起こすのは、その行動の必要性を納得してからですので。

半沢 だから先に動機付けセクションを置いておくんですね。

開米 そういうことです!

半沢 じゃ、これをもとに配布用文書にまとめてみます!

 あらためて今回の文書を見てみると、この事例は見えないゴリラ現象とある共通点があります。それは、

 「あるものに注意を向けているとき、人の脳はそれ以外の情報を無意識のうちに切り捨ててしまう」

 ということです。

 今回の文書は、職場で配布するものでした。業務で忙しいさなかに、この文書がメールで送られてきたら……? 仕事で意識がいっぱいになっている人の注意を引けるような書き出しではありませんね。話を聞いてもらうためには、まず注意を引く必要がある。このことは抑えておきたいものです。そのための基本が、「一番読んでほしい人は誰?」という、対象者の絞り込み。

 多くの人に配布して、当てはまった一部の人に「何らかの行動を取らせる」文書は、どんな組織でも、社会生活の上でもよくあります。絞り込みができているか、一度チェックしてみてはいかがでしょうか?


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筆者:開米瑞浩(かいまい みずひろ)

 IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』『図解 大人の「説明力!」』、『頭のいい「教え方」 すごいコツ!』


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