あなたの人生にかかわる衝撃的事実リスト【少子高齢化編】【図解】人生の大問題

約40年後には、子供1人に対して高齢者が4人の割合に――日本の申告な少子高齢化問題を、海外との比較も交えながら考えてみます。

» 2012年01月12日 11時00分 公開
[永田豊志,Business Media 誠]

 本連載は「人生の大問題を図解する!」(光文社)の内容からポイントだけをピックアップしています。読者の皆さんのライフプランを見直し、後悔しない人生を送るための手助けになればと願っています。

 人生の重大事の中から、「お金」「語学力」「仕事」「家族」「思考力」という5つのテーマで衝撃的かつ客観的なデータをいくつか紹介します。

 第4回は「人生の大問題、衝撃的な事実リスト【少子高齢化編】」です。少子高齢化社会は私たちの人生、そして仕事にどのように影響してくるのでしょうか? そして、私たちはどのように対処すべきでしょうか?

少子高齢化の大問題ヘッドライン

  • 日本を10人家族に例えると、子供4人に老人1人の家族(1950年)から、子供1人に老人4人(2050年)に
  • 60歳以上がリッチ! 日本全体の資産の60%(約950兆円)を持つ。シニアは本当に大きなマーケット
  • 日本の出生率1.3は世界最低水準だが、実は中国も、韓国も、台湾も皆、少子化に悩む。ワーキングウーマンの増加や晩婚化のせいにできない少子化の本当の意味

2050年には子供1人に対して老人4人の割合に

 少子高齢化といわれても、いまひとつ実感が沸かない人も多いでしょう。私のように東京のビジネス街ばかり目にしていると、感覚がまひしてくるものです。こういう時にはなるべく単純なモデルにしてしまうことです。

 将来の人口予測を行うために設立された国立社会保障・人口問題研究所という公的機関があります。そこが制作した日本の人口動態を表すグラフを2000年と2050年で比較してみると、釣鐘型であった年代別人口構成が、50年後には逆ピラミッド型になっていることが分かります。

 ちなみに普通のピラミッド型だった1950年には65歳以上の高齢者が全体の4.9%、14歳以下の子供が35.4%でした。2000年には高齢者が3倍以上の17.4%に増え、子供は14.6%と約半減、2050年には高齢者がさらに倍の35.7%で、子供は10.8%まで減少しています。この時、総人口も今より2000万人以上減る計算です。

 これを10人家族の構成比で表してみると次のような図になります。

日本の少子高齢化社会を家族構成で表すと……

 つまり日本を1つの10人家族とすれば、50年前に4人いた子供達は1人になり、家族のうち4人はおじいちゃん、おばあちゃんという状態です。これは誰が見ても「異常」な状態です。

60歳以上が日本全体の資産の60%(約950兆円)を持つ

 上図を見て分かる通り、御世話されるイメージの強い高齢者は実は、日本で最もリッチな世代です。

 世代別に見た個人の金融資産シェアを見ると、国内金融資産1500兆円の6割(約900兆円)は60歳以上の人が持っているのです。これだけの資産を持っている世代を、資産を持たない現役世代から徴収した税金で支え、さらにさまざまな社会保障が優遇されるというのは成り立つのでしょうか? この仕組みも既に破綻しているのです。

 ちなみに日本人は、墓場までお金をもって行けるわけでもないのに、死亡時点の平均資産が3500万円もあるそうです(出典:総務省「家計調査」)。死ぬ時にほとんど一銭も残さないイタリア人と好対照ですね。

 つまり、高齢者はお金をもっているが、使わず溜め込んでいる。本当は、高齢者がバンバンお金を使えば、日本経済も活性化するし復興のトリガーになりうるのです。しかし、そうはならない。それは高齢者が現役世代としての収入がない上に、軸がブレブレで定まらない政府の未来像に不安を覚えているからなのです。逆に、高齢者が現役の働き手としてのいったんをにない、最も有望な消費者でもあるのであれば、日本経済は変わるはずです。

実は中国も、韓国も、台湾も少子化に悩む

 2010年度のWHO統計によれば、日本の出生率は1.3。この数は合計特殊出生率と呼ばれ、2.08を切ると総人口が減少に向かうといわれています。ちなみに、出生率世界一はニジェールで7.1です。多産多死のアフリカや一夫多妻が認められている中東は概して5.0を越える勢いがあります。

1人の女性が生む子供の数

 いわずとも労働者人口と総人口の減少は、現役世代が高齢者を支える現在の社会保障制度の崩壊や経済が停滞して国力そのものの後退を招きます。

 しかし実は、こうした少子高齢化の問題は日本だけではありません。米国(出生率は2.1)を除く先進国のほとんどが人口自然減のボーダラインを大きく下回っています。

 アジアの急成長国も同様です。韓国に至っては、2005年に女性1人が生む子供の数が1.08と世界最低水準になってしまいました。これは他の先進国の8倍で少子化が進んでいるというスピードらしく、韓国は危機感を強めて女性家族省を作って対策を始めました。また台湾では、2010年の出生率が過去最低となり、何と1.0を下回ったと報じられました。

 これらに共通する要因として、晩婚化、女性の社会進出、子育て支援の不足、男性の育児参加不足、高額な養育費などがあるようです。

 つまりこの状態が続けば、2050年には老人だらけの国、日本が出来上がる訳です。私は社会評論を行いたいわけではなく、そうした世界で私たちはどう生きるのか? ということです。

 現役世代は、少数で多くのシニアを支援するが、自分がシニアになる頃には、システムが破綻し、支援してもらえない。

 あなただったら、どう生きますか? どう、人生を設計しますか? そのヒントは「生涯現役主義」にあります。詳細は拙著の人生の大問題を図解する!にいくつか紹介しておきました。ぜひ、皆さんの人生設計に役立たせてください。

集中連載『【図解】人生の大問題』について

『人生の大問題を図解する!』 『人生の大問題を図解する!』(永田豊志・著、光文社・刊、四六判/251頁、本体1524円)

 本連載の内容は、2011年12月に発売された『人生の大問題を図解する!』をもとに作成しています。

 「図解思考」シリーズでおなじみの著者・永田豊志が、これから始まる“とんでもない未来”に、私たち日本人が生き残るための「5つの戦略」を、豊富な図解で解説します!!

 本書は、これから生き延びていくために重要な5つのテーマ、すなわち「お金」「英語(語学力)」「仕事」「家族」「思考力」のそれぞれについて、ショートストーリー、関連データ、アクションプランの3部立てで図解し、一緒に考えてもらう構成になっています。

 「何となく危ないのは分かるけど、本当のところはよく分からない」という問題も、できるだけ分かりやすく描いてみました。 (冒頭の挨拶文より)


目次

  • プロローグ:「日本沈没」に負けないチカラ
  • 第1章:「お金」を生み出す源泉はどこに?
  • 第2章:本当に「英語」が必要なんですか?
  • 第3章:「仕事」の死は突然やってくる?
  • 第4章:「家族」はどこへ消えた?
  • 第5章:「思考力」次第でエリートになれる?

著者紹介 永田豊志(ながた・とよし)

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 知的生産研究家、新規事業プロデューサー。ショーケース・ティービー取締役COO。

 リクルートで新規事業開発を担当し、グループ会社のメディアファクトリーでは漫画やアニメ関連のコンテンツビジネスを立ち上げる。その後、デジタル業界に興味を持ち、デスクトップパブリッシングやコンピュータグラフィックスの専門誌創刊や、CGキャラクターの版権管理ビジネスなどを構築。2005年より企業のeマーケティング改善事業に特化した新会社、ショーケース・ティービーを共同設立。現在は、取締役最高執行責任者として新しいWebサービスの開発や経営に携わっている。

 近著に『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』『革新的なアイデアがザクザク生まれる発想フレームワーク55』(いずれもソフトバンククリエイティブ刊)、『頭がよくなる「図解思考」の技術』『プレゼンがうまい人の「図解思考」の技術』『ノート・手帳・メモが変わる絵文字の技術』(中経出版刊)がある。

連絡先: nagata@showcase-tv.com

Webサイト: www.showcase-tv.com

Twitterアカウント:@nagatameister


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