自宅のエアコンとストーブで暖房器具の消費電力を調べてみた冬の節電DIY(1/3 ページ)

電気ストーブとエアコンの暖房はどちらが消費電力量が多い? 自宅で実験した結果を基に、効率的な冬の節電対策を考えてみた。

» 2012年01月26日 20時10分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

 2011年、震災直後と夏に節電の記事を掲載した。当時と比べると節電に対する切迫感はないが、多くの人が節電を意識するようになったと思われる。今回は冬の節電を自宅で種々実験した結果とともにお伝えしよう。

 筆者が節電に取り組み始めたのは2009年の暮れで、目的は電気料金を下げること、エコとかCO2の削減とかに思い入れがあったわけではない。節電に対する考え方は人それぞれで、脱原発のために節電に取り組む人、電気料金を下げたい人、ピークシフト機能を使えば電気料金を下げる必要はないと考える人などさまざまだと思われる。

  • 節電で電気料金が1万円減った
  • 節電で電力量が455キロワットアワー減った
  • 節電でCO2が170キロ減った

 この3つの表現で皆さんはどれがピンとくる数字だろう。この3つは1万円を1キロワットアワー=22円で換算した数値と、1キロワットアワー=0.374キロ(東京電力2010年実績)で換算したCO2の量で、3つとも同じだけの節電を表している。

 筆者は金額換算が最も把握しやすい数字と感じた。電化製品のテレビが100ワット、ドライヤーが1200ワットといった数値は捉えやすいが、1カ月で100キロワットアワーの節電というのは感覚としてはつかみにくく、2200円の節電と表現した方が把握しやすいと思われる。震災以降の節電は電気料金を削減することが目的ではないという考えもあるが、電気料金を下げることを目的にした方が取り組みやすいというのも事実だろう。目的は人それぞれ違うと思うが、節電のためのヒントとしてお読みいただきたい。

 筆者のように電気料金の削減を目標とする人は、ベースとなる電気料金の値上げを確認しておく必要がある。東京電力は、政府の認可が不要な企業向けの電気料金の値上げを4月から強行する。平均17%値上げで、試算では大規模工場で年間約7500万円、百貨店で5000万円、中小スーパーで100万円の値上げになるとのこと。認可の必要な家庭向けは2月に値上げを申請し夏頃の実施と言われ、値上げ幅は10%程度とのこと。東京電力管内は2011年春に比べ既に数%の値上げを行っている。段階料金の値上げは以下の通り。

東京電力の従量電灯B 段階料金(1キロワットアワーにつき)
使用量(キロワットアワー) 2011年3月 2012年1月 値上げ率
0〜120 17.05円 17.87円 4.8%
120〜300 21.09円 22.86円 8.4%
300〜 22.52円 24.13円 7.1%

 筆者が住む名古屋は中部電力管内。現在の料金表を見ると2011年の3月と変わっていない。では値上げはないのかというと、電気料金には燃料費調整制度というものがあり、毎月微妙に電気料金単価は上下している。燃料費調整単価は原油、LNG(天然ガス)、石炭の3カ月ごとの平均燃料価格から算出している。1〜3月の平均で6月、2〜4月で7月を決める仕組みだ。2011年3月から2012年2月までの中部電力の燃料費調整単価は以下の通り。

中部電力の燃料費調整単価(円)
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
-0.49 -0.41 -0.24 -0.04 0.21 0.43 0.68 1.00 1.22 1.32 1.28 1.32

 2011年3月と2012年2月では1.81円値上げしている。仮に40A契約で500キロアワーを使用した場合、2011年3月なら1万1193円だが2012年2月は1万2098円と905円(8%)の値上げとなっている。

 東京電力はベースとなる段階料金の値上げに加え燃料費調整単価も上がっている。

東京電力の燃料費調整単価(円)
3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月
-1.88 -1.69 -1.43 -1.14 -0.76 -0.42 -0.10 0.17 0.30 0.32 0.23 0.21

 こちらは2011年3月と2012年2月では2.09円の値上げ。段階料金の値上げも含め同じく40A契約で500キロワットアワーを使用した場合、2012年3月なら1万498円だが2012年2月は1万2282円と1784円、17%の値上げとなっている。もし段階料金がそれぞれ10%値上げとなると、1万3391円と2893円、28%もの値上げとなる。調整単価がさらに上がれば2年経たずに30%越えの値上げとなる可能性もありそうだ。1キロワットアワー=22円という換算値もそろそろ実情に合わなくなってきている。

 値上げは原発を推進したい電力会社の脅しという意見もあるが、理由に関係なく年間数万円の負担はかなり大きく、家計には厳しい状況だ。大幅な値上げにより、頑張って節電しても電気料金が下がるどころか増える可能性もある。電気料金が増えても電力量は減っていれば節電の効果はあったことになるので、電気料金のお知らせが来たら電力量をしっかり確認しよう。

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