自宅のエアコンとストーブで暖房器具の消費電力を調べてみた冬の節電DIY(2/3 ページ)

» 2012年01月26日 20時10分 公開
[奥川浩彦,Business Media 誠]

冬季の電力需要のピークは朝と夕方

 冬の電力需要を見てみよう。グラフは2011年の1月(青線)と2012年1月(赤線)の東京電力管内の1時間ごとの電力需要だ。集計したのは成人の日(3連休)翌日の火曜から金曜、翌週の月曜から金曜の平日9日間の平均値、2012年だと1月10〜13日、16〜20日となる。

時間ごとの消費電力

 多くの人の節電の成果で2011年に比べ平均5%強、最大で6.6%電力需要は減っている。夏の電力需要のピークはお昼過ぎだったが、冬のピークは17時〜18時台、セカンドピークは9時台となっている。夏は気温の高い日中に電力需要が上がり、冬は気温の上がる日中は電力需要が減る。そのため朝と夕方にラクダのコブ状のピークを形成している。夏は日中の電力需要が問題だったので企業の影響が大きかったが、冬は朝夕がピークとなるため家庭の影響が大きい。

 緑の点線は2012年1月20日、東京都心で初雪が舞った日の電力需要だ。朝7時頃から平均値である赤線から懸け離れ、終日上回っている。特に日中の電力需要は高く、2011年の平均を大きく超えている。やはり寒さによる影響は大きいようだ。逆にいうと暖房が電力需要に占める割合が大きいということだ。気象庁のデータから集計すると、対象の9日間の平均気温は2011年が4.9度、2012年が5.1度、1月20日は2.8度となっている。

 ピークシフトの視点でみると朝夕の需要をずらす必要がある。炊飯器のようにタイマー機能があるものは朝5時頃に炊いて保温、夕飯も15時頃に炊いて保温すればピークの前倒しが可能となる。専業主婦であれば掃除機の使用は朝は避け11時から15時に行うことなどが考えられる。

 理屈はそうだが、震災直後や昨夏のように大規模停電や計画停電がすぐ間近に迫るような切迫感はない。もし発電所のトラブルと寒波が重なって電力需要の緊急事態になったらピークシフトを考えればいいだろう。逆に節約の面からみると朝5時にご飯を炊いて7時まで保温すれば、保温した分だけ無駄に電力を消費することになる。

 先ほどのグラフで雪が降った日の電力需要が一気に増大したように、暖房が消費する電力は大きい。暖房と節電の関係を種々の実験で調べてみた。

室内上下の温度分布

 まずは効率のいい暖房に影響する、室内の上下の温度分布を調べてみた。実験はマンション4階の東角部屋、長女の5畳ほどの洋室を借り切って行った。最初の実験は温度計を4台用意し、天井付近から降ろしたひもに温度計のセンサーを取り付け、暖房方法による上下の温度差の確認した。


  天井付近から降ろしたひもに温度センサーを取り付けて計測(画像=左)温度計4台、時計、ワットチェッカーを動画撮影してグラフ化した(画像=右)

 暖房器具はエアコンとセラミックファンヒーター(電気ストーブ)。設置場所は図の通り。セラミックファンヒーターは条件を近づけるためエアコンの下に設置した。


  実験場所は東側の子供部屋(画像=左)。暖房器具の位置、ひもを設置した測定ポイント(画像=右)

 温度の測定は天井高が270センチなので、床から15センチ(最下段)、そこから80センチの間隔を開け床から95センチ(下段)、175センチ(上段)、255センチ(最上段)の4ポイント、最上段は天井から15センチの位置とした。床から95センチの下段は立ったときの腰の高さ、座ったときに胸の高さとなるので、最も体感に影響する高さだ。

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