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» 2012年02月02日 16時30分 UPDATE

仕事耕具:iPad専用スキャナ「iスキャミル」にみる最新ポータブルスキャナ事情 (1/3)

iPadを接続して使うドッキングスキャナ「iスキャミル」。このiスキャミルを使いながら、最新のポータブルスキャナのトレンドや、製品選びのポイントについて見ていこう。

[山口真弘,Business Media 誠]
st_is01.jpg ドッキングスキャナ「iスキャミル(DSS10)」。本体上部にiPadをドッキングさせて利用する
st_is02.jpg 「iスキャミル」本体(左)と、従来モデルにあたる「スキャミル」(右)。従来モデルはiPadを接続するギミックがなく、かわって本体上部にプレビュー用の小型液晶を備える

 キングジムが発表した、iPad専用のスキャナ「iスキャミル」。本体をDockに見立てて上部にiPadを接続。専用ユーティリティを用いることで、スキャンした文書データをそのままiPadのカメラロールに保存できるというユニークな製品だ。

 本製品に限らず、昨今では紙資料をデータ化するための製品として、PFUの「ScanSnap」シリーズをはじめとするドキュメントスキャナ、さらに本製品の従来モデルに相当する「スキャミル」などのポータブルスキャナなど、さまざまな種類の家庭用スキャナが目白押しだ。また、スマホを簡易スキャナ化するカメラアプリも定番になりつつある。

 これらの背景には、紙資料を処分してすっきりさせたいというニーズがあるのはもちろん、Evernoteなどにデータを保存してスマートフォンから容易に取り出せるようにしたいというクラウドブームの影響もありそうだ。今回は「iスキャミル」の実力チェックに加え、これらスキャナ製品選びのポイントについて、さまざまな視点から見ていくことにしたい。


st_is03.jpg ドキュメントスキャナ「ScanSnap S1300」(右)との比較。本体のみで比較した場合、体積はおおむね同等
st_is04.jpg 最近では手持ちのスマホを簡易スキャナとして使うためのアプリも多数存在する。これはiPhoneアプリ「CamScanner」。台形補正機能やOCR機能を備えており、名刺などのスキャンにはかなり実用的に使える

iPadの大画面で、読み取り結果をすばやく確認

 「iスキャミル」がユニークなのはその挙動だ。まずは動画をご覧いただこう。

「iスキャミル」で原稿を読み込んでいるところ。本体手前のガイド部に原稿を差し込んで専用アプリのスキャンボタンをタップするとスキャンが始まる。データはJPG形式でカメラロールに保管。原稿はiスキャミル背面にストレート排出する

 いわゆるフラットベッドタイプのスキャナを含め、スキャナと名のつく製品にはさまざまな種類があるが、このようにデータ化のプロセスを可視化した製品はこれまでなかった。もちろん「可視化」といっても擬似的に見せているだけではあるが、原稿がiPadの中にスルスルと入っていくかのようなインタラクティブな動きは使っていても面白いし、分かりやすさという意味でも秀逸だ。iPadの画面の大きさをうまく生かしたこの挙動、なかなかのアイデアといっていいだろう。

 そもそも、これまでのポータブルタイプのスキャナは、原稿の読み取り結果の確認方法に難があった。というのも従来のポータブルスキャナの多くは、本体に液晶画面を持っておらず、読み取り後にUSB接続もしくはmicroSD経由でPCにデータを転送しなければ、読み取り結果を確認できなかったからだ。何十枚もスキャンしたあとにPCにデータを転送して確認したところ、どれも斜行していたり、色味がおかしかったり、あるいは表裏を間違えていて全部真っ白だったりということは、十分あり得たわけだ。


st_is05.jpg 以前紹介したポータブルスキャナ「3R-HSFA620BK」。本体の液晶はあくまで読み取り枚数や設定値を通知するためのもので、読み取った画像を確認するためにはmicroSD経由でPCにデータを移す必要がある
st_is06.jpg こちらも以前紹介した、手で本体を持って原稿をなぞる方式のスティック型ハンディスキャナ「3R-HSA610BK」。データはmicroSDもしくはUSB経由でPCに転送して確認する。読み取りエラーを通知する機能はあるが、画質そのものはPCで見るまでは分からない

 今回の「iスキャミル」も、従来製品と同じく画質面ではドキュメントスキャナに及ばないのだが(詳しくは後述)、読み取り結果をiPadの大画面ですぐに確認できるため、スキャンしたデータがまるで使いものにならないという致命的なミスは回避可能。PCが不要で使用でき、iPadさえあれば本体内にデータを直接保存できることも評価していい。

 ちなみに本製品の従来モデルに相当する「スキャミル」は、本体に2.4型のカラー液晶を搭載することで読み取り後のチェックをPCレスで行えることが特徴だったが、画面サイズが一般的な携帯電話よりも小さい2.4型ときては、さすがに使い勝手はよいとは言えなかった。その点、9.7型のiPadに表示できるというのは、完全な原寸大ではないにせよ、実用性は高い。やや使い古された表現ではあるが「ポータブルスキャナ2.0」と言っていい製品だ。

300dpi、片面読み取り、フォーマットはJPGという割り切った機能

 と、「iスキャミル」のすぐれたポイントを紹介したが、これは従来のポータブルスキャナと比べた場合の話で、ドキュメントスキャナもひっくるめて比較検討すると、何ができないのかが見えてくる。本製品の仕様面を見ながら、ひとつずつチェックしていこう。

 解像度は300dpiで固定となっており、変更はできない。また読み取りは片面のみで、保存形式はJPGだけだ。読み取った原稿をiPadのカメラロールに保存する以外に、加工や補正などの機能はいっさい持たない。保存後は別のアプリを使ってよろしくやってね、という割り切ったスタンスだ。PDFに対応しないことからOCRなどの機能も備えない(OCR機能追加のアップデートを予定しているとのことだが、いまのところ詳細は不明)。


st_is11.jpg 本体を正面から見たところ。幅はそこそこ広く、存在感もある。ボディは光沢があり、指紋がつきやすい
st_is12.jpg iPadを接続するためのDockコネクタを上部に備える。iPadおよびiPad2の両方に対応する

st_is13.png iPadを本体に接続するとアプリのインストールが求められる
st_is14.png 専用アプリ「i-Scan」。開発元はハードウェアのOEM元でもある台湾Mustekとなっている

 最大読み取りサイズは約216×356ミリ。つまりA4サイズ大だ。キャリアシートを用いてのA3サイズの原稿の取り込みや、長尺モードでのスキャンは行えない。辺が50ミリ以下の小さな原稿については添付のスキャン用シートにはさみ込むことで読み取りが行える。


st_is15.jpg 添付のスキャン用シート。およそハガキサイズで、小さな原稿はこれに挟み込んでのスキャンを推奨している
st_is16.jpg スキャン用シートの表面を拡大したところ。【記事訂正 2月8日19時00分】当初「試用した機材に添付されていたシートは気泡が多く、写真などを取り込むとくっきり残ってしまう」とありましたが、薄いフィルムが貼られた状態のものでした。フィルムを剥がせば気泡はなくなります。読者や関係者の皆様にはご迷惑をおかけしましたこと、お詫びいたします。

 背面に給電用のUSBポートを備えており、iPad付属のUSB-AC電源アダプタを用いてUSBケーブルでコンセントに接続する。ドキュメントスキャナのようにPCに直結して読み取りが行えるわけではないので注意したい。ちなみに本体の電源をオフにした状態ではiPadの充電も行えるので、充電スタンドとしての役割も果たす。


st_is17.jpg 背面に給電用のUSBポート(miniB)を備える
st_is18.jpg ケーブルを接続した状態。iPad付属のUSB-AC電源アダプタを用いてコンセントに接続する。ACアダプタではないのが珍しいといえば珍しい
st_is19.jpg 横から見たところ。かなりの自重があるので容易に倒れない

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