年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話大増税時代(4/6 ページ)

» 2012年02月06日 17時45分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

寡フ控除を受けられる2つの条件

 寡婦控除、寡夫控除はどちらも読み方が同じ「カフ」なので、まとめて寡フ控除と記載することもある。寡婦控除は夫と死別、離婚し再婚していない働く女性を支えるための控除で、控除額は27万円。対象は以下2つの条件のどちらかを満たしていること。

  1. 夫と死別または離婚し、再婚をしていなくて所得38万円以下の扶養親族がいること。要するに旦那がいなくなって子供がいれば収入に関係なく控除対象となる。
  2. 夫と死別し、再婚していなくて所得が500万円以下(年収で約690万円以下)。こちらは死別した場合は子供がいなくても所得が500万円以下であれば控除対象となる。さらに夫と死別、離婚した女性で子供がいる、所得が500万円以下の両方の条件を満たすと特定寡婦として35万円の控除が受けられる。

 寡夫控除は妻と死別、離婚し再婚していない男性が対象となるが条件はやや厳しくなる。(1)所得が500万円以下(2)所得38万円以下の子供がいること、の条件を満たしていると27万円の控除が受けられる。

いろいろ天引きされている社会保険料の控除は?

 サラリーマンは税金以外に厚生年金、健康保険(40歳以上は介護保険も)、雇用保険も天引きされている。これらはまとめて社会保険と呼ばれ、支払った全額が控除の対象となる。自営業者が払う国民年金や国民健康保険も同じく社会保険だ。サラリーマンの社会保険は基本的には収入の一定の率で金額が決まるので年収の多い人ほど多くの社会保険を支払うことになる。

 厚生年金は4月〜6月の給料を平均し、標準報酬月額表に当てはめて9月から翌年の8月まで同じ金額を支払う方式だ。4月〜6月に残業が多い人は毎月天引きの厚生年金の額が多くなり、将来もらえる年金も多くなるということだ。厚生年金は毎年掛け率が上がり、2011年の8月までは16.058%で会社が半分負担するので、個人の負担は8.029%、2011年の9月から2012年の8月までは16.412%で個人負担は8.206%となっている。掛け率は2017年まで毎年上がり18.3%になることが今のところ決まっているが変更になる可能性もある。厚生年金基金に加入している場合や、坑内員・船員の場合は掛け率が少しことなっている。

 健康保険も4月〜6月の給料を平均して保険料が決まる仕組みだが、都道府県ごとに保険料率は異なり東京都は9.48%、一番高いのは北海道の9.60%。一番低いのは長野県の9.39%となっている。これも会社が半分負担するので個人の負担は半分となる。40歳以上65歳未満の人は1.51%の介護保険料を加え折半した額を負担する。

 自営業者等が払う国民年金は年齢、収入に関係なく一定額となっている。逆に国民健康保険は住む市区町村で計算方式がまちまちで、実際の金額も市区町村で大きく異なり、同じモデルケースで計算すると50万円を越えるところもあれば、20万円以下のところもあり3倍以上の差があるといわれている。国民健康保険というより市民健康保険、村民健康保険と呼んだ方が正しいのが現状だ。

 雇用保険は毎月の給料に対し計算するので給料が変化すると保険料も変化する仕組みとなっている。保険料率の個人負担分は0.6%、会社の負担分は0.95%と低くなっている。業種により率は異なり農林水産、清酒製造、建設業はやや高めとなる。

 一般企業に勤めている人は厚生年金8.206%、健康保険4.74%(東京の場合)、雇用保険0.6%で合計13.546%が社会保険として天引きされている。年収500万円で約68万円と大きな負担となっている。大企業や業界団体に属している会社は独自運営の○○自動車健保組合などに属していることが多い。その場合は保険料率が独自のものとなっているので各自で調べていただきたい。

生命保険料控除は最大5万円

 生命保険や個人年金保険を支払った場合は、控除対象となる。サラリーマンは年末調整で生命保険の支払証明を添付して書類を提出したはずだ。控除額は以下表の通りで生命保険で最大5万円、個人年金保険でも最大5万円となっている。

年間の支払保険料の合計 控除額
2万5000円以下 支払金額
2万5000円〜5万円以下 支払金額÷2+1万2500円
5万円〜10万円以下 支払金額÷4+2万5000円
10万円以上 5万円

 年に3万円の生命保険料を支払っていれば、3万÷2+1万2500円=2万7500円が控除額となり、税率10%なら所得税は2750円減る。自分の生命保険、医療保険、子供2人の学資保険など35万円の保険に入っていれば、10万円超なので5万円の控除となる。税率が20%なら所得税は1万円減る。

 生命保険控除は2012年から改正となり、平成24年(2012年)1月1日以降に契約した保険は新しいルールで控除を受けることとなる。従来は死亡保険などの生命保険と入院給付金などの医療保険は合算で計算しているが、新たに契約した保険は介護医療保険として別枠の控除対象となる。

控除 平成23年までの契約 平成24年以降の契約
一般の生命保険料控除 5万円 4万円
介護医療保険料控除 上記に含む 4万円
個人年金保険料控除 5万円 4万円
合計 10万円 12万円

 それぞれの上限額が5万円から4万円に引き下がり、合計額の上限は10万円から12万円に引き上がった。それぞれの計算式も下記の通り変更している。

年間の支払保険料の合計 控除額
2万円以下 支払金額
2万円を超え4万円以下 支払金額÷2+1万円
4万円を超え8万円以下 支払金額÷4+2万円
8万円超 4万円

 2012年新たに3万円の生命保険を契約すると、3万円÷2+1万円=2万5000円と控除額はやや少なくなる。自分の生命保険、子供の学資保険で計27万円、医療保険で8万円の合計35万円を新たに契約すると生命保険で4万円、医療保険で4万円の合計8万円の控除が付き、3万円控除額が増えることになる。

 2011年まで加入中の保険はそのまま従来の控除が継続するが、10年更新などで更新した場合は新しい控除方式に変更となる。

インフレ時代の確定申告

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