年収440万円、独身の場合は? 節税のコツが分かる税金の話大増税時代(6/6 ページ)

» 2012年02月06日 17時45分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]
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年収440万円、独身、生命保険なしの場合

 年収440万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

給与等の収入金額(年収) 給与所得控除額
360万円〜660万円以下 収入金額×20%+54万円
  • 440万円×20%+54万円=142万円

 次は各種控除だが、社会保険は約58万5000円。独身で生命保険に入っていなければ他には基礎控除の38万円だけとなる。(1)(2)に当てはめると、

 (1)年収440万円−給与所得控除142万円=給与所得298万円

 (2)給与所得298万円−各種控除(社会保険控除58万5000円+基礎控除38万円)=課税所得201万5000円

 課税所得が201万5000円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。

課税所得金額 税率 控除額
195万円〜330万円以下 10% 9万7500円
  • 201万5000円×10%−9万7500円=10万4000円

 となる。この所得税は2011年の1月から毎月天引きとなり、12月の給料が決まり、年収が確定するので年末調整により正しい所得税の納税が完了する。1年間の結果は給与封筒に入っていた源泉徴収票という小さな紙に記載してある。

 このケースの源泉徴収票を見てみよう。「支払金額」の覧が年収の440万円。源泉徴収票は分かりにくく作られていて青字の給与所得控除を理解していないと「給与所得控除後の金額」298万円が導き出せない。同様にどこにも記載していない基礎控除の38万円と「社会保険料等の金額」58万5000円を足した金額が「所得控除の額の合計額」96万5000円となる。さらに不親切なことに298万円から96万5000円を引いた課税所得201万5000円(赤字)も記載がない。課税所得に税率を掛けた金額が10万4000円となる。

年収520万円、専業主婦の妻と小学生の子供1人、生命保険料3万5000円の場合

 年収520万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

給与等の収入金額(年収) 給与所得控除額
360万円〜660万円以下 収入金額×20%+54万円
  • 520万円×20%+54万円=158万円

 各種控除は社会保険が約69万円。基礎控除の38万円と妻がいるので配偶者控除が38万円、子供は中学生以下なので扶養控除が廃止され控除なし、生命保険を3万5000円支払ったので以下の式から3万円となる。

生命保険料控除の式  
2万5000円〜5万円以下 支払金額÷2+1万2500円

 これらの金額を(1)(2)に当てはめると、

 (1)年収520万円−給与所得控除158万円=給与所得362万円

 (2)給与所得362万円−各種控除(社会保険控除69万円+基礎控除38万円+配偶者控除38万円+生命保険料控除3万円)=課税所得214万円

 課税所得が214万円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。

課税所得金額 税率 控除額
195万円〜330万円以下 10% 9万7500円
  • 214万円×10%−9万7500円=11万6500円

 結婚して配偶者控除が受けられることで、先ほどの独身の人より年収は60万円多いが、所得税は1万円弱しか増えていない。さらに子供がいることで子ども手当が支給となる。ちなみに同じ条件で平成22年(2010年)の所得税を計算すると、小学生の子供の扶養控除38万円が加わるので課税所得は176万円に減り、所得税は8万8000円となる。

 このケースも源泉徴収票を見てみよう。大きな違いは「控除対象配偶者の有無等」の有の欄に*が記されたことと、「生命保険料の控除額」に3万円と記載している個所だ。それ以外は基本的に同じで「支払金額」の覧が年収の520万円。「給与所得控除後の金額」に362万円。基礎控除の38万円、配偶者控除の38万円、社会保険控除の69万円、生命保険料控除の3万円を足した148万円が「所得控除の額の合計額」に記載してある。

年収850万円、妻の年収120万円、高校生と大学生の子供、生命保険料10万円以上の場合

 年収850万円の場合、給与所得控除は以下のようになる。

給与等の収入金額(年収) 給与所得控除額
660万円〜1000万円以下 収入金額×10%+120万円
  • 850万円×10%+12万円=205万円

 各種控除は社会保険が約113万円。基礎控除の38万円と妻の年収が120万円なので以下の表から配偶者特別控除が21万円、高校生の38万円と大学生の63万円、生命保険料は10万円以上なので5万円となる。

配偶者の収入 配偶者の所得 控除額
120万円〜125万円未満 55万円〜60万円未満 21万円

 これらの金額を(1)(2)に当てはめると、

 (1)年収850万円−給与所得控除205万円=給与所得645万円

 (2)給与所得645万円−各種控除(社会保険控除113万円+基礎控除38万円+配偶者特別控除21万円+扶養控除38万円+特定扶養控除63万円+生命保険料控除5万円)=課税所得367万円

 課税所得が367万円なので式に当てはめると所得税額が計算できる。

課税所得金額 税率 控除額
330万円〜695万円以下 20% 42万7500円
  • 367万円×20%−42万7500円=30万6500円

 源泉徴収票を見ると「配偶者特別控除の額」が記入され、「扶養親族の数」の特定に1、その他に1が加わっている。

 以上の例を参考に自身の源泉徴収票を確認し、順番に計算していけば所得税の仕組みが理解できると思う。

インフレ時代の確定申告
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