1人よがりの時間管理から脱却するにはソーシャル時代の時間管理術(1/2 ページ)

21世紀の企業マネジメントで価値のある資産は、知識労働者と彼らの生産性です。そこで鍵となるのは、能率や効率の追求するのではなく、効果を出すこと。そして重要視すべきは周囲の人と豊かな人間関係を築くことです。

» 2012年02月07日 11時00分 公開
[竹村富士徳,フランクリン・コヴィー]

 前回「効率や能率だけの追求から、効果を評価する時代に」、知識労働者の生産性を上げる鍵となるのは、能率や効率ではなく、効果だと述べました。では、タイムマネジメントにおける効果とは、具体的に何を意味するのでしょうか?

望む結果を得続ける

 効果的であることの1つ目は、短期的ではなく、長期的視野に立つということです。仮に短期的にその場しのぎの成果を得たとしても、そのために消耗しきったり、疲弊してしまったりしては、意味がありません。あるいは長期的には不利にもかかわらず、短期的な成功だけを求めてしまっては、一時期の成功は勝ち取れるかもしれませんが、長期的に見て成功したとはいえません。

 スティーブン・R・コヴィー博士は『7つの習慣』の中で、Effectiveness(効果性)を次のように定義しています。

 望む結果を得続ける状態

 望む結果を限られたリソースで得られたら効率的な方法だといえるでしょうし、またある手法がかなりの確率で結果を導くのであれば、それは効果がある方法だといえるでしょう。7つの習慣で定義をしている効果性は、得たい結果を得ることに付け加えて、得続けるという点が大きなポイントになります。

 どれほど大きな結果を出せたとしても、リソースを使い果たしてしまい、他の重要なことが何もできなかったり、無理に結果を出すために完全にオーバーワークになり消耗してしまったり等、その結果を長期的に得続けられなければ、それは効果性を発揮しているとはいえません。

成果とそれを生み出す能力

 では、長期的な観点から成果を得続けるためには、どのような考え方を持つ必要があるのでしょうか。

 それを7つの習慣の中では、「P」と「PC」のバランスを取る、ことが必要であると説いています。Pとは「Production」で、結果や成果を表し(原書の言葉を採用しています)、PCとは「Production Capability」(結果を生み出す能力)のことです。

 PとPCのバランスを取ること、つまり結果を追い求める活動をしながらも、成果、結果を生み出す能力を開発する活動も同時に行わないと、長期的に成果を得続けていくことは困難だということです。

 このPCを個人においてどのように実践していくかを紹介しているのが、7つの習慣の最後の習慣である「第七の習慣」です。第七の習慣のタイトルは、「刃を研ぐ」で、この習慣がこの効果性の原則である「P/PCバランス」を的確に紹介しています。

 「刃を研ぐ」とは、私たちの生活や仕事を木こりが木を切ることにたとえて、私たちは結果だけを求め続けるために木を切り続けるだけではなく、定期的にいったん、望む結果を追い求めるギアをニュートラルに入れて、自身の刃の目立て、つまり刃を研いであげる必要が誰しもあります。

 そのような時間を取らなければ、短期的には成果を得られないかもしれませんが、そのうちより高い生産性を得るどころか、同じ労力で同じ生産性を得ることが難しくなってしまいます。だからこそそこで、P(Production:結果)とPC(Production Capability:結果を生み出す能力)のバランスが必要となるのです。

 これまでのタイムマネジメントは、どちらかといえば、短期的な能率・効率を目指すものであったといえますが、ここで提唱するタイムマネジメントは、長期的な成果を得続けることを目指します。

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