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» 2012年03月05日 16時55分 UPDATE

大増税時代:青色申告って何? 個人事業主の賢い節税を考える (1/3)

今回は個人事業主であれば知っておきたい青色申告と白色申告の話。現在白色申告をしている人や今後独立を考えている人は青色申告による節税を理解しよう。

[奥川浩彦,Business Media 誠]

 前回は、独立する際の個人事業主と法人の税金について比較を行った。事業の立ち上げからドンともうかる確証があれば法人を設立しても問題ないと思うが、そうでない場合はまずは個人事業主からスタートし、軌道に乗ったところで法人化を考える方が安全だ。どちらの形態で独立しても、前回記事の廃業率の高さを見ると経理会計の最低限の知識は身に付けておいた方が安心だろう。今回は個人事業主のお金の話をしたい。

 個人事業主は税務署に書類を書いて提出するだけで、いとも簡単に開業できる。少し税金の勉強をして節税をしたい人は、青色申告の申請も開業届と一緒に提出したいものだ。ちなみに「青色申告ってなんだ?」と思った人はいるだろうか。独立前の筆者は「なんだ?」と思った1人で青色申告という言葉は知っていたが意味は不明、白色申告に至っては言葉も知らないレベルだった。

 加えて「屋号」という認識もなかった。独立を考え始めたときに知り合いから「屋号はどうするんですか」と聞かれ、内心「屋号ってなんだ?」と思ったが恥ずかしくて聞くことができず「ああそうですね〜」と検討中の振りをしてごまかした記憶がある。

 屋号はIT系の広報業なのでITPRを候補として考えたが、ドメインが空いていなかった。「i-pr.jp」が取れることが分かったので、屋号はiPR(アイピーアール)とした。青色申告と白色申告があって、青色申告の方が払う(納める)税金が少なくなるらしいということで、深くは考えずに青色申告の申請も開業と同時に行った。

青色申告は白色申告よりどれくらいお得?

 最初に個人事業主の税金の計算式を確認しておこう。

  • 売り上げ−経費=所得
  • 所得−各種控除=課税所得
  • 課税所得×税率=所得税・住民税

 式が単純なので、税金を減らすには経費と各種控除を増やせばいい。例えば仕事用にPCとデジカメで10万円の買い物をしたとしよう。経費が10万円増えると所得、課税所得が10万円減る。所得税の税率は課税所得の額によって決まり、住民税は10%で一律だ。

 そこそこもうかっていると所得税の税率は20%、チョットもうかっていると10%、わずかにもうかっていると5%となる。住民税を合わせた税率は30%、20%、15%などとなる。経費が10万円増えればそれぞれ3万円、2万円、1万5000円納税額が減ることになる。控除も同様で控除額が増えれば同じ税率で納税額を減らすことが可能だ。

shk_zei600.jpg 節税には経費と控除が重要

 では青色申告は白色申告と比較して何がどれくらいお得なのかを比較してみよう。簡単な比較表を作ったので見ていただきたい。

  青色申告 白色申告
記帳義務 あり
簡易簿記による記帳又は複式簿記による記帳
なし
所得が300万円を越える場合は収支内訳書が必要
控除 青色申告控除により10万円または65万円の控除 なし
赤字の繰り越し 3年間の控除あり なし(災害損失などに限定)
減価償却 30万円未満を一括で経費 耐用年数により償却
専従者控除 配偶者、親族に支払った適正な給与を全額経費にできる 配偶者86万円、その他専従者50万円を経費にできる

 まずは記帳義務。白色申告の場合、記帳義務はないが、所得が300万円を越える場合は収支内訳書が必要となる。義務はないといっても交通費や通信費などの経費は掛かるので、それを集計しないと経費の算出はできない。当然売り上げなども把握していないと確定申告すらできないので、記帳義務がない=何もしなくていいというわけではない。最低限、預金通帳などの収入の証明資料と領収書などの経費の証明資料を用意し、収入−経費=所得が分かる収支内訳書を作成する必要はある。

 青色申告は簡易簿記と複式簿記に分かれる。簡易簿記の場合は青色申告控除が10万円。複式簿記の場合は65万円の控除となる。ざっくり言えば難しい帳簿が記入できたら税金が減るということだ。PCがない時代には帳簿を作成すること自体が高いハードルだった。今では表計算ソフトより簡単な青色申告ソフトを使えば、筆者のようにまったく簿記を理解していない人でも複式簿記による帳簿の記入、貸借対照表、損益計算書などを作成、提出できる。

 ちなみに筆者が独立した際に購入したのは「やよいの青色申告」。その後もずっと使い続けているし、いくつかの製品やフリーソフトを試した中では最も簡単で確定申告初心者にはお薦めだ。家電量販店やPCショップなどで容易に入手できる。

 では65万円の控除がどれくらいの節税になるかを計算してみよう。例えば売り上げ900万円、経費180万円の個人事業主がいたとする。条件は独身、白色申告を行っている場合。所得税、住民税ともに控除されるのは基礎控除、社会保険料控除(国民年金、国民健康保険)。事業税は5%の税率で算出した。

shk_zei601.jpg 白色申告の場合

 白色申告の場合は青色申告控除の65万円がないので税額の合計は159万1000円となった。同じ条件で青色申告を行い、青色申告控除の65万円を受けると、

shk_zei602.jpg 青色申告の場合

 税額の合計は139万6000円となり青色申告により納税額は19万5000円減った。このようにそこそこもうかっている場合は、課税所得が65万円減ったことで所得税の税率20%、住民税の税率10%、合計65万円×30%の節税となる。所得税、住民税以外に翌年の国民健康保険も5万円ほど安くなるのでトータルは24万5000円ほど得をする。

 この節税額を見た読者は迷わず複式簿記による65万円の青色申告控除を狙うべきだ。さらに青色申告には65万円の控除以外にもメリットがある。

青色申告なら赤字を繰り越して節税できる

 青色申告なら赤字になった場合、3年間の繰り越しが可能となる。例えば開業時に設備などを購入し、初年度が赤字になったとしよう。翌年黒字化ができた場合、その黒字(利益)に対する税金を丸々納めるのではなく、前年の赤字分を引いてから税金の計算をすることが可能となる。

 例えば1年目が100万円の赤字、2年目は20万円の黒字、3年目は40万円の黒字、4年目は100万円の黒字になったとしよう。赤字の繰り越しができなければ赤字となった1年目は税金を納める必要はないが2年目から納税をすることになる。赤字の繰り越しができると、1年目はもちろん、2年目、3年目も利益がないことになるので税金を納める必要はない。4年目は100万円の黒字から40万円を引いた60万円分の黒字の部分だけが課税の対象となる。

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インフレ時代の確定申告
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