「シゴタノ!」の北真也さんに聞く「ライフハックの目的」3分LifeHacking(2/2 ページ)

» 2012年03月09日 11時30分 公開
[安齋慎平,ライフハッカー[日本版]]
ライフハッカー[日本版]
前のページへ 1|2       

入社3年目の部署異動を機に始めたライフハック

 では、北さんが今のようにライフハックを始めたきっかけを教えてください。

 最初は「ライフハック」という言葉すら知らず、ただビジネス書なんかをかじっていただけなんですが、ある時仕事でものすごく苦労したんですよ。

 新卒3年目になった当時、仕事内容が変わったんです。当時の上位上司からボコボコにされて心が折れそうになりました(笑)。要するにその仕事に関する作法を知らなかったんです。どうしたらいいのか分からなくなった時、ライフハック系の記事やブログを見つけて興味を持ちました。2007年頃のことです。当時、自己啓発系の本では心構えのようなものが多くてへきえきしていました。「あいさつをしましょう」って書いてあるけれど、今の私の状況はあいさつで解決できるのか……? みたいな(笑)。

 そんなどうすればよいか分からない状況の「どうすれば……」を具体的な手法として解決してくれたのが、ライフハックでした。タスクとスケジュールの管理という基本的な仕事の作法を教えてくれましたし、そこでGTDの考え方と出会いました。混沌とする自分の状況を整然としたかった私にとって、GTDのような情報管理術は願ったりかなったりのものだったわけです。当時、スティーブン・R・コヴィーの『7つの習慣』にもかなり影響を受けましたが、あれは自己啓発でありながら、再現可能な手法まで落とし込まれている珍しいタイプの本でした。

 加えて、アウトプットできない、アイデアが出てこないという悩みの中で「どうすればアイデアが出てくるようになるんだろう」という問題を解決してくれそうなツールが、ライフハック系ブログで紹介されていました。マインドマップのような発想ツールも紹介されていましたし、アウトプットの基礎となる情報収集ツールとしてEvernoteやRSSリーダーが紹介されていたんです。これらのツールを自分にあった形で使うようになってから、アイデアも出やすくなり、結果的には仕事の生産性も向上しました。

ライフハックとは何なのか?

 最後の質問になりますが、北さんにとってライフハックは何だと思いますか?

 仕組み作りとその試行錯誤の過程ですね。物事には「原因」と「結果」の2つがあると思います。例えばダイエットの話に置き換えてみると、「消費カロリーが摂取カロリーを上回ったからやせる」わけであって、決して「気合いを入れて運動をしたからやせた」わけではない。人によってはこれは一緒じゃないか? と思うかもしれませんが、気合いを入れて運動をしても、やり方が間違っていればやせないこともあります。

 ここで登場するのが具体的方法論です。精神論には再現性はありませんが、方法論には再現性があります。ライフハックというのは、原因に対して何らかの対処を行う仕組みを構築し、それをぐるぐるまわすことで結果を変えることなのだろうと思っています。でも、その仕組み自体もうまく機能しない可能性があるから、仕組み自体をトライ&エラーで組み直していく必要があるんです。

 例えば「ゴミ出し」を忘れるというエラーをしやすいなら、「前の日にゴミをまとめて玄関に置いておく」という対策を打てば、朝家を出るときに強制的に思い出させられますし、もっと単純に「Googleカレンダーのリマインダーに登録する」という対策を打つことでもエラーを防ぐことができます。このエラーを仕事上でのトラブルに置き換えてみると、トラブルを防ぐ方法は実際にはいくつも存在することが分かりますし、その方法を作り上げていくことがライフハックなんです。


 時間管理ツールなどを駆使されている北さんですが、同時に手帳には居酒屋などでもらえるフライヤーや旅先で撮った写真などがたくさん貼られていました。その手帳を見ながら、「楽しんで自己管理することがライフハックだと思うんです」とも話していました。

 「こんなこと言うのもあれですが、奥さんに『女子高生みたい』とあきれられています(笑)」(北さん)

前のページへ 1|2       

copyright (c) mediagene Inc. All rights reserved.

注目のテーマ