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» 2012年03月12日 11時00分 UPDATE

アイデア発想実践記:【SCAMPERで考えた】スポーツを軸にした斬新なWebサイトを作るとしたら (1/2)

発想を手助けする7つのチェックリストを使うと、どのようなアイデアが生まれるか。アイデア想像メソッドを実践していく連載の第3回は、SCAMPER法を試してみました。

[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]

 世の中にあるさまざまな発想メソッドを実際に試して実験、検証する本企画。第3回は「SCAMPER法」を試します。仮想のお題を用意し、メソッドに忠実に従って検証。その結果を監修役である「アイデアプラント」代表、石井力重さんに評価してもらいました。

 SCAMPER法は、「ブレーンストーミング」の名付け親でもあるアレックス・オズボーンが開発したアイデア発想メソッド。創造性開発の研究家ボブ・エバールがまとめた7つのチェックリストを基に想像を膨らませていきます。

 SCAMPERの名称は、発想を手助けする下記項目の頭文字を取ったもので、既存製品・サービスの改良や改善案を考える際に用いると有効といわれています(参照記事:SCAMPER法――「10分以内にアイデア3つ出さなきゃ」をかなえる方法)。

  • S:Substitute(代用)
  • C:Combine(結合)
  • A:Adapt(適用)
  • M:Modify(修正)
  • P:Put to other users(転用)
  • E:Eliminate(除去)
  • R:Rearrange(再配列)

石井力重(いしい・りきえ)さんプロフィール

st_ishiirikie.jpg 石井さん近影

 1973年、千葉県生まれ。東北大学大学院理学研究科修士課程卒業。技術系商社から東北大学大学院博士課程(MOT専攻)、独立行政法人のフェローを経て、2009年4月にアイデアプラントを設立。現在は「ブレスター」「智慧カード」などアイデア創出支援ツールの企画開発、企業・団体向けの新事業・新製品開発支援、さまざまな創造技法を紹介するワークショップなど、多彩な活動を展開している。2011年6月には、東北地方のビジネス活性化と震災復興を目指す「Fandroid EAST JAPAN」を設立、同理事長に就任。仙台を拠点に、Androidアプリ開発技術者の育成と能力向上、アプリ関連ビジネスの活性化に尽力している。Webサイトは「石井力重の活動報告」


 今回の参加者は中山と、誠 Biz.ID編集部から鷹木編集長、上口さんの計3人です。以下の各ステップに沿って、事実と心の動きをなるべく客観的に淡々と描写してみます。

  • ステップ1:SCAMPER表とノートを用意し、ノートにテーマを書く
  • ステップ2:制限時間を設け、SCAMPER表の7つの視点に基づいてアイデアを出す(全ての質問に回答する必要はない。思い付かなければパスしてOK)
  • ステップ3:お互い、アイデアを共有する

 これだけです。手順は極めてシンプルですね。

お題:これまでにない、スポーツを軸にした斬新なWebサイトを作るとしたら

 用意した物は、人数分のSCAMPER表とメモ用紙、ペン。SCAMPER表は今回、参照記事から抜粋したもの使用しましたが、監修役の石井さんが公開しているシートを利用してもよさそうです。

リストが長い! これぜんぶやるの?

 SCAMPER表は大きく7カテゴリから成っていますが、それぞれにサブの項目があり、合計するとチェック項目は48個になります。

SCAMPER Questions(出典:『creativity UNBOUND』 ※翻訳は石井力重さんら) チェック
Substitute(代える、代用する) S1)代用可能な部分はどれか
S2)何を代わりに使うことができるか
S3)ほかに誰を含めることができるか
S4)ほかにどんなグループを含めることができるか
S5)代わりにどんなプロセスを使うことができるか
S6)代わりにどんなマテリアル(モノ)を使うことができるか
Combine(組み合わせる) C1)何を組み合わせることができるか
C2)ブレンドする(混ぜ合わせる)ことはできるか
C3)どんな種類のアンサンブル(取り合わせ)を使うことできるか、創ることができるか
C4)部分同士を、どのように組み合わせることができるか
C5)目的同士を、どのように組み合わせることができるか
C6)アプリケーション(応用方法)同士を、どのように組み合せることができるか
C7)マテリアル(モノ)同士を、どのように組み合せることができるか
Adapt(適応させる) A1)これは、ほかのどのような考えを思い付かせるか
A2)何かほかに、これに似たものはないか
A3)過去に似た状況はないか
Modify(修正する) M1)さらにTwist(ひねり、コトの意外な曲折)を加えることができないか
M2)その意味あいを、どのくらい変えることができるか
M3)色や外形を、どのくらい変えることができるか
M4)サウンド(音、騒音、音声)を、どのくらい変えることができるか
M5)何を加えることができるか
M6)高さ・高度をどれくらい増やせるか
M7)重さをどれくらい増やせるか
M8)強度をどれくらい増やせるか
M9)頻度をどれくらい増やせるか
M10)価値をどれくらい増やせるか
M11)何を減らすことができるか
M12)何を縮小することができか
M13)何を簡素化することができるか
M14)控えめに言うことができるのは、どんな部分か
M15)サイズをどれくらい小さくできるか
M16)重さをどれくらい軽くできるか
Put to other uses(ほかの使いみち) P1)そのままで、何かほかへ使えないか
P2)もし一部を変えたら、新たに生まれるほかの用途は何か
P3)ほかにどんなマーケットが受け入れるか
Eliminate(省略する、除去する) E1)何を、取り除くことができるか、省略することができるか
E2)ある部分がない時、どうやって実行するか
E3)何を犠牲にできるか
E4)あげてしまえるものは、何か
Rearrange(再調整する) R1)ほかに、どんなパターンが使えるか。
R2)ほかに、どんな配置が使えるか
R3)ほかに、どんなレイアウトが使えるか
R4)何を交換できるか
R5)何を置換できるか。言い換えられるか。
R6)何を、再結合できるか
R7)逆にしたらどうなるか
R8)上下逆さまにしたらどうなるか
R9)内外を裏返したらどうなるか

 全項目に一通り目を通すのにどれほどの時間が適当か分からなかったので、取りあえず20分と設定しました(この長さが適当だったかは、後に分かります)。

shk_sca01.jpg

 ストップウオッチでカウントダウンしながら、各自が質問に自問自答しては、ひらめいたアイデアをメモ用紙に書き出していきます。そして、始めてすぐに気が付いたのが「リストが長いなぁ、これぜんぶやるのかぁ」ということ。

 リストを読むだけではなく、実際に1つ1つ知恵を絞ろうとすると、48項目はちょっとしたストレスです。ただし、少し考えて何も思い付かなければ、パスして構いません。アイデアが出たら表のチェック欄に印を入れ、パスしたらそのままにします。

意外に、強制的にアイデアが出るぞ

shk_sca02.jpg

 もう1つストレスを感じたのが、質問項目が耳慣れない(堅苦しい)表現のオンパレードであること。例えば「アプリケーション(応用方法)同士を、どのように組み合せることができるか」や「代わりにどんなプロセスを使うことができるか」という問いかけです。

 一瞬「(アプリケーションを組み合わせるって)どういう意味だ?」、「(ここでいうプロセスという表現は)どう解釈するのが適切なの?」と思考にブレーキをかけながら進めることになりました。

 何も思い付かなければパスしていくのですが、パスの数が増えてくると、まるで自分が頭の悪い人間であるかのような錯覚に陥りますね。ついつい「何とかひねり出してやる……」と妙な意地を張る気持ちにもなってしまいます。

 とはいえ、質問項目が考える筋道を示してくれるので、強制的にアイデアを出すことができ、それなりに達成感は味わえます(出てきたアイデアが、本人が望んだモノであるかどうかはともかく……)。この辺は、何もない状態から発想せねばならなかったKJ法(第1回)やブレインライティング法(第2回)よりもとっつきやすいかなと思いました。

 ただ、アイデア出しは脳が疲れる作業です。10分を過ぎたころから脳みそがダレてきて、何も思い付かないときにウケ狙いやネタに走る瞬間はあります。それ自体は使えないアイデアかもしれませんが、自由な発想を邪魔しないためにも、多少のおふざけはあってもいいのではないでしょうか。

 制限時間の20分の数分前に全員が一通り終了したので、ちょっと早めに切り上げて発表に移りました。

shk_sca03.jpg
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