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» 2012年04月25日 10時00分 UPDATE

名刺は99枚しか残さない:名刺に隠されたビジネススキルを5項目で判定する

名刺には“戦闘力”があることを説明しましたが、肝心な戦闘力は名刺を漫然と眺めていても分かりません。この戦闘力を判定する方法を紹介します。

[荒木亨二(荒木News Consulting),Business Media 誠]
『名刺は99枚しか残さない』 本連載はメディアファクトリー新書『名刺は99枚しか残さない』からの転載です

 名刺には“戦闘力”があることを説明しましたが、この戦闘力=名刺の人物のビジネススキルはどうやって判定するのでしょうか。今回はこのビジネススキルをおおまかに算定する方法をお伝えしておきましょう。

 それほど難しくはありません。まずはビジネススキルを、

  1. コミュニケーション力
  2. 思考力
  3. 実行力
  4. 自己管理力
  5. 未来構想力

 の5項目に分け、それぞれ1〜5点で採点してみるのです。最高25点、最低5点。オール3なら15点になります。それぞれの「ビジネス力」を判断する際のキーワードを3つずつ挙げておきますので、これを参考に採点してみてください。

ビジネススキル判定のキーワード

  1. コミュニケーション力……理解力・表現力・社会的ステイタス
  2. 思考力……分析力・発想力・判断力
  3. 実行力……決断力・行動力・俊敏性
  4. 自己管理力……目標管理能力・内省力・精神力
  5. 未来構想力……予見性・人生観・ビジネス観

 また、公式にある「あなたとの親密度」は、個人的な「友人」や「仲よし」を意味しているのではありません。ビジネスパートナーとして、互いに信頼できる関係を築けているかどうか。ビジネスの現場で、「戦友」として共に戦えるかどうかがポイントになります。採点は、次のような基準で行います。

あなたとの親密度による採点

  • どんな人物だったか記憶にない=0点
  • 信頼し合える関係とはいえない=0.5点
  • ごく普通に会話できる関係である=1点
  • 信頼し合える関係である=2点
  • 特に信頼し合える関係である=3点

 ここでもう一度、ビジネス戦闘力を求める前回の式を思い出してください。

  • 名刺のビジネス戦闘力=名刺の人物のビジネススキル×あなたとの親密度

 ポイントは、この公式が掛け算になっていること。つまり、名刺の人物のビジネススキルがいくら高くても、あなたと「信頼し合える関係とはいえない」ならば、ビジネス戦闘力はその半分(0.5倍)になってしまいます。逆に、ビジネススキルがそれほど高くなくても、あなたと「信頼し合える関係である」ならば、ビジネス戦闘力は一気に2倍に跳ね上がります。

本誌編集長のビジネス戦闘力を採点

st_dw01.jpg ※この囲み内はWebのみの書き下ろしになります

 と、計算式の話ばかりをしても、なかなかイメージが湧かない人も多いかと思います。そこで今回は、私が絞り込んだ名刺の中から、実際にある人物のビジネススキルを判定してみることにします。

 選んだ名刺は本誌「誠 Biz.ID」の鷹木創編集長。彼とのビジネス上のお付き合いは1年半くらい、普段はメールや電話でやりとりをする程度ですが、何かビジネスの企画が持ち上がったときは飲みにいく間柄です。

 まずは鷹木さんの名刺をじっと見つめます。そして、これまでの彼の仕事ぶりやそのとき交わした会話、私が彼に抱いた感情などを思い浮かべます。具体的なビジネスシーンをイメージすると、より判定がしやすくなります。それでは上述した5項目のビジネススキルに従い、彼を順に採点していきましょう。

コミュニケーション力、社会的ステイタスを算出

 1番目はコミュニケーション力、ビジネスでもっとも必要とされる要素ですね。コミュニケーションというと、じかに相手と会話をするシーンをまっさきに思い浮かべるでしょうが、実はそれだけではありません。電話やメール、ファックスなど、意志を互いに伝え合うあらゆる手段やシーンも、コミュニケーションに相当します。まずはコミュニケーション力の最初のキーワード、理解力という観点から鷹木さんを採点してみます。

 彼は私の言っていること、考えていることを、即座に理解してくれます。例えて言うならば、私が「1」言えば彼は「10」まで察します。これは直接の会話に限らず、メールでも電話でも一緒、私の考えていることはほぼそのまま、彼に伝わります。つまり、鷹木さんの理解力は非常に良いと私は判断しました。

 次は表現力です。鷹木さん自身が考えていることを、私にどれだけ正確に伝えることができるか。これに関しては、とても印象深い出来事がありました。彼から新しいビジネスの企画をもちかけられたのですが、それは私が苦手なIT分野だったので、なかなか企画のイメージが湧きませんでした。すると、彼は私がよく知っているビジネス事例を参考に挙げながら、企画の趣旨を分かりやすく説明してくれました。相手によって話の仕方を変えることができる柔軟性は、表現力が豊かな証拠。彼の表現力はとても良いと言えます。

 最後は社会的ステイタスです。鷹木さんはWebサイトの編集長、取材のため多様な業界のビジネスマンと日々接しています。若手の営業マンに取材することもあれば、老舗企業の経営者とお酒を飲む機会もあります。こんなとき、彼は取材相手に気持ち良く喋ってもらうため、事前の業界研究を怠らず、役職に合ったテーマ設定を心がけ、上手に相手の話を引き出します。このような配慮ができるため、彼はいつも多くのビジネスマンに好かれます。

 ただし、そんな彼の気配りは、たまに裏目に出ることもあります。大勢のビジネスマンが集まる会議になると、彼は調整役に徹するあまり、出席者1人ひとりに対するサポートがやや甘くなります。この結果、彼の社会的ステイタスはちょっと低めに算定しました。

つまり、採点はいくつ?

 理解力や表現力はとても良く、社会的ステイタスはやや良い。このような結果から、私は鷹木さんのコミュニケーション力を4点としました。ちなみにビジネススキル判定に用いるキーワードはあくまでも判断基準であり、良い・普通・悪いといった具合に、感覚的に判断するだけで十分です。以下、同じ要領で、具体的なビジネスシーンをイメージしながら、ビジネススキルの各項目を採点していきます。

 今回は誌面の都合により省略しますが、鷹木さんのビジネススキルのその他の項目は、思考力5点、実行力4点、未来構想力5点。ただし彼の自己管理力は1点。つまり総合で15点。25点満点の15点は、それなりに高い評価と言えます。

 ビジネススキルの採点を終えたら、その点数に鷹木さんとの親密度の点数を掛けます。私は「特に信頼し合える関係である=3点」と考えていますので、15点×3点=45点となります。ちなみに特に信頼し合える関係と思えるようになったのはつい最近のこと、1年前は「ごく普通に会話できる関係である=1点」でした。もしその時点で彼を採点したなら、15点×1点=15点という結果になります。ビジネススキルが一緒でも、関係が変わることにより、鷹木さんのビジネス戦闘力は一気に3倍になったのです。

 このように文章で書くと、やや面倒で難しい作業のように思われるかもしれません。しかし実際は、頭のなかでさっと計算できるものです。なぜなら、すでにあなたのなかには、相手に対する評価がある程度定まっているはずですから。ビジネススキルの判定に要する時間は、1人あたりおおよそ1〜2分を目安に挑戦してみてください。

 ビジネス戦闘力をアップさせるには、いかに相手と信頼し合える関係になれるか、というポイントがお分かりいただけたでしょうか。でも、相手のビジネス戦闘力をアップさせることばかりを考えてはいけません。何よりもあなた自身のビジネス戦闘力もアップさせなければ、ビジネスの戦友とは成り得ないからです。


 これはつまり、こういうことです。

 実際のビジネスにおいて、名刺手帳片手に勝負を挑んでいくのは、あくまでもあなた自身。ビジネスで成果を上げて賞賛されるのも、思ったような結果が出せなくて落ち込むのも、他でもない、あなた自身です。名刺手帳に収まっている名刺99枚は、それをくれた人がそれぞれ誰かと戦うわけではなく、懸命に戦っているあなたを支え、励まし、バックアップし、惜しみなく力を貸してくれる存在。

 要するに99枚の名刺は、戦うあなたをサポートする存在にすぎません。名刺が持っているビジネス戦闘力は、あくまでもあなたをサポートしてくれる力になります。そうであるなら、あなたと名刺の人物が強い絆で結ばれていればいるほど、あなたをサポートしてくれる力が強まるのは当然といえます。


 次回(4月27日公開)はそもそもなぜ名刺は99枚しか残さないのかの理由をお伝えします。

連載「名刺は99枚しか残さない」について

 名刺を99枚まで絞り込むと、驚くほどにビジネスを回せるようになる――。本連載は4月27日発売のメディアファクトリー新書『名刺は99枚しか残さない』から、序盤の一部を転載したものである。

 「ビジネスの本質はいたずらに名刺を増やすことではなかった。名刺を減らすという“逆転の発想”こそが人脈を呼び込み、ビジネススタイルを劇的に変えた」。本書は、十数年にわたってコンサルティング業を手掛けてきた著者の経験に基づく、実践的なビジネス書である。

 名刺を99枚に絞り込む「9つの法則」、名刺を人脈やプロジェクトごとに収納する「4つのファイリング法」など、まずは「99枚名刺手帳」の作り方を詳細に解説。さらには、ビジネスアイデアに効果的な発想をもたらす「名刺サーフィン」や「名刺マインドマップ」など、著者が編み出したオリジナルの名刺活用テクニックを初公開する。

 おそらく世界でも類を見ない名刺活用法となるだろう本書。ぜひとも実際に本書を手に取り、世界に1冊しかない「あなただけの名刺手帳」を作っていただきたい。

著者紹介:荒木亨二(あらき・こうじ)

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 1971年、千葉県生まれ。ビジネスコンサルタント。荒木News Consulting代表。早稲田大学教育学部で心理学を学び、卒業後、帝人に入社。半年で退職。その後PR会社で働きながら独自のマーケティング理論を確立し、28歳でフリーランスとして独立。以降、全国展開する書店の経営企画室向けにマーケティングリポートの執筆やセールスプロモーションのプランニングなどを手掛ける。その他、PRコンサル、新規ビジネスのプランニング、カルチャースクールの企画開発など、業界をまたいで中小企業経営者のサポートを行う。


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