坂口 ああ、上から1枚が2枚、2枚が4枚と枝分かれさせて詳細化するわけですね。
開米 そうです。執念で試行錯誤してるうちに、ストーリーじゃなくてこっちの方が構造化しやすい、と分かったらこれに切り替えればいいだけですから。
坂口 そっか、付せんを使ってるとそれは楽ですね……。
開米 そうなんですよ。パンデミックの話は一直線のストーリーになりましたけど、実際に構造化してみるといつもそうとは限らなくて、ロジックツリーのような階層型がいいときもあるしサークル型になるときもあるし、始める前は大抵何が何だか分かりません。でも付せんにバラバラに書いておけば、そのどれにでも対応できるんです。だから私は付せんを愛用してます。
坂口 なるほど……分かりました! 僕もやってみます!
ということで坂口さんとの話は終わりましたが、実際、付せんというのは「大量の情報を一覧しつつ試行錯誤しながら考える」ためには最高のツールです。PCの描画やアイデアプロセッサのようなソフトでもそれに近いことはできますが、残念ながらPCの画面の狭さと、「手書きでない」ことが難点です。
説明書を書いていて「どう書けばうまく伝わるか分からず困るとき」のかなりの割合は、「説明しなければいけない情報量が多いとき」です。だから、そんなときこそいったんPCを離れて、二度手間のように思えても手書き付せんで論理構造を整理してみてはいかがでしょうか。
当連載では、「分かりにくい説明書を改善したい」という相談を歓迎しております。「改善案のヒントがほしい」という例文があれば遠慮無く開米へお送りください(ask@ideacraft.jp)。今回のような連載での紹介は、許諾をいただいた場合のみ、必要に応じて内容を適宜編集したうえで行います。
当記事についてのご意見ご感想ご質問等は「twitter:@kmic67」宛でも受け付けております。中には記事では書ききれない情報もあります。物足りなく思った時はぜひ「twitter:@kmic67」宛に質問を飛ばしてみてください。
著者・開米瑞浩氏が講師となって「わかりやすく書く力を身につけたい」人を対象としたワークショップを開催します。取りあえず自分の知っていることは書いてみたけれど、それが「分かりやすく」書けている自信は全然無い……そんな方のために、「わかりやすく書くためにどんな試行錯誤をすればいいかが体感できる」ワークショップとなっています。
IT技術者の業務経験を通して「読解力・図解力」スキルの再教育の必要性を認識し、2003年からその著述・教育業務を開始。2008年は、「専門知識を教える技術」をメインテーマにして研修・コンサルティングを実施中。近著に『ITの専門知識を素人に教える技』、
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.