【アイデアトランプで考えた】初心者がやってみたくなるソーシャルゲーム(後編)アイデア発想実践記(2/2 ページ)

» 2012年05月08日 10時55分 公開
[シックス・アパート 中山順司,Business Media 誠]
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アイデアトランプを使用した感想

 SCAMPER法よりもはるかに使いやすかったアイデアトランプですが、使用した感想をまとめてみました。

(1)カードに書かれた表現が平易で分かりやすい

 何といっても指示が理解しやすいのが最大のポイント。アイデアを発想する際は時間が限られ、焦りもあるのでヒントは徹底的に直感的であるのが助かります。正直、試す前は「小学校低学年用だと、物足りなさを感じないかな?」なんて勘繰ったりしたのですが、ちょうどよかったです。SCAMPER法で味わった「指示が理解しにくいことによるタイムロス」もありませんでした。

(2)文字がもう少し大きいとベター

 1つ注文をつけるとしたら、トランプの文字フォントのサイズです。文字が小さいため、机に身を乗り出して文字を確認するケースが多発しました。結局、自分に近いところに置かれたカードを中心に選んでしまいました。また、ランダムにカードを並べたので角度によっては逆さまになり、首をひねりながら読もうとすることもありました。これもフォントが大きければ解決したでしょう。全体的にフォントサイズを大きくしてくれれば、全体が俯瞰(ふかん)しやすく、カードも選びやすかったように感じます。

(3)遊び心があってもよい

 今回はシンプルなトランプでしたが、「かるた」であっても面白いかなと。デザイン、色彩、フォントにもっと遊び心が加えられますし、うまく作りこめばビジネスの贈答品にもなるんじゃないでしょうか。いずれにせよ、こういったカード式だと打ち合わせのたびにリストを人数分プリントアウトする必要がなく、繰り返し使えるので手間が省けることにも気が付きました。


 ところで、今回もいつものようにお菓子をつまみながら発想しました。お菓子の山を中心にトランプをドーナツ状に配置したおかげで、カードに、お菓子に、積極的に手が伸びました。

 今回用意されていたお菓子の中にはおかきもあったのですが、ボリボリと大きな音が出るので、あまり打ち合わせには適していないかもしれないです。

反省点とメンバーのコメント

 以下、各メンバーのコメントです。

中山

ソーシャルゲームはおろか、ふだんからゲームというものに一切縁のない生活を送っているため、テーマが“ソーシャルゲーム”に決まったときは、「アイデアなんて出せないよぅ……」と弱気になってしまいました。それでも何とかアイデアをひねり出せたのは、トランプの指示のおかげです。まったくのノーアイデア状態でも、刺激次第でアイデアって(本人の意図に反して)出ちゃうものなんですね。


ホリウチ

人間、無茶なお題を与えられても、それなりの解決策を思いつくものなんだなと感じました。そういう意味では、1枚のカードをランダムに渡して、「30秒で何か考えて!」とやってもいいかも。ゲームとして面白くなるように、また良いアイデアが出やすくなるように、最後にベストアイデア賞に選ばれたカードの枚数は3倍くらいでカウントした方がいいと思います。ちなみに僕が悩まずに発言できたのは、他人の発言の時間、話を聞かずに考えていたからです!


上口

トランプのヒントが分かりやすい言葉で助かりました。たまに似たようなヒントのカードがあったのは、大勢でやる場合に備えてあえてだったのかもしれません。1つ改善点を挙げるとすれば、今回は30秒で1アイデアとなってしまったので、ゲーム感覚でするのなら1分間で何アイデア出せるかとしてもいいと思いました。



石井さん監修コメント

 今回は私が作った道具の使い方を自由に解釈して発想をしてもらいました。記事前編「【アイデアトランプで考えた】初心者がやってみたくなるソーシャルゲーム」のように、テーマの内容やメンバーの資質によって、発想時間の取り方を長くしたり、札の使い方を変えるのよい方法です。例えば、発想の得意なメンバーばかりであれば、テーブルにカードを広げる代わりに、各人に5枚ぐらいずつ配り、発想しながら手札を捨ててゆき、発想しにくいカードは一定のタイミングで他者に押し付けることができるなど。そうしたルールを設け、あえて難しい札を残して相手のギブアップを狙うような遊び方も面白いでしょう。逆に発想に不慣れであれば、人数を6人ぐらいにしてペアを構成してペアごとに番が回るようにすると、和気あいあいと回していけます。

 ちなみに、前編を読み私なりに面白いと評価したアイデアが3つありました。「婚活サイトと組み合わせる」「学力とリンクさせる」「寄付。いらない物を使ってゲーム参加」いずれも、面白い展開が考えられそうです。リアルの生活をより良いものしてくれたり、ゲームをしながら社会に新しい可能性を増やしてくれたり、と楽しいイメージが湧きました。

 記事中のコメントにもある通り、この時点で得られたものはコンセプトだけ。本来であれば、次に具体内容に踏み込むブレストをします。大量に出た中から優れたアイデアを1つを選び(例えば、「寄付。いらない物を使ってゲーム参加」)、「このコンセプトのソーシャルゲームのアイデアをパーツレベルでもいいので発想しよう」として、2段階目のブレストを行います。この時も、アイデアトランプをまた投入してもよいでしょう。例えばこんな感じです。

カードの指示 アイデア
手に入りにくいものを作る 歌とか、手作りの小物とか、世界に1品しかないものを持ち寄りあい、流通させる
何かの動きと一緒にやる ダイエットのための早朝の体操の時間と体力を、寄付金にして、早朝30分労働を寄付する

 という感じです。早朝30分軽作業的な運動して戻ってくると、ソーシャルゲームの中で使えるコインが3枚増えたり、キャラの体力ゲージが1つ上がる――となると結構、若者に面白い社会現象が起こりそうな気もします。


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